ウクライナと連携 ベラルーシ人志願兵 “ロシアと徹底し戦う”

ロシア軍と激戦を繰り広げているウクライナの部隊と連携して戦闘に参加しているベラルーシ人の志願兵が、NHKの取材に応じ、ウクライナのためにロシア軍と徹底して戦う姿勢を示しました。
そうすることで、ベラルーシに対して強まるロシアの影響力を排除することにもつなげたいとする考えを強調しました。

取材に応じたのは、ウクライナでロシア軍と戦い、現在は、首都キーウにいるというベラルーシ人のデニス・キット氏です。

キット氏は、ベラルーシ人の志願兵で作られた部隊の一員として先月初め、キーウ近郊のブチャの周辺でウクライナ軍と連携して作戦を行ったということです。

キット氏は、アメリカなどがウクライナに供与している対戦車ミサイル「ジャベリン」も使用したとしたうえで「ロシア軍の車両は予想以上の数だったので、すべてを阻止できず、6人の仲間を失ったが、ロシア軍の兵士数十人を戦死させたほか、複数の装甲車やトラックを破壊した」と述べました。

キット氏は、ベラルーシのルカシェンコ大統領が、同盟国ロシアのプーチン大統領の後ろ盾を得て反政権派を弾圧するなど強権的な統治を続けていることにも強く反発しています。

キット氏は、ベラルーシにとってウクライナは兄弟のような存在だとして「ウクライナの自由を取り戻すことは、ベラルーシの将来にとっても大事なことだ」と述べ、ウクライナのためにロシア軍と徹底して戦う姿勢を示したうえで、ベラルーシに対して強まるロシアの影響力を排除することにもつなげたいとする考えを強調しました。

ベラルーシ人の志願兵 訓練の様子は

ウクライナ軍を支援するため、ロシアの同盟国であるベラルーシからも多くの志願兵がウクライナに赴き、ロシア軍と戦っています。

ポーランドの首都ワルシャワを拠点にベラルーシ人の志願兵を送り込む活動をしている団体は、志願兵を対象に訓練を行っていて19日、その様子がNHKに公開されました。

訓練は、けがをした仲間を助ける応急救護を学ぶもので、およそ10人が参加しました。

団体の代表を務めるパベル・クフタ氏が講師を務め、手当てをする場合は、危険を察知しやすくするため、戦闘が行われている方向に背を向けてはならないと注意を促したうえで、自動小銃などの武器をけが人の体の側面に押し当てて固定する必要があるなどと指摘しました。

また、血液による病気の感染を防ぐため手袋をつけることが望ましいとしたうえで、止血帯の使い方などを説明しました。

訓練を受けた志願兵たちはワルシャワの拠点を車で出発し、ウクライナに向かいました。

クフタ氏は「最初から戦闘に加わらせたりはしない。まずはキーウに派遣し、そこで銃の扱い方などを学ぶ。 訓練期間は、人によって異なるが、数週間ほどだ」と話していました。

「ウクライナの人たちを1人でもいいから救う」

ベラルーシ人の部隊に志願兵として参加する23歳の男性は、訓練のあと、NHKの取材に対して「救護について実際に学んだのは初めてだ。訓練を何度も繰り返すことで恐怖と戦うことができるようになると思う」としたうえで「ウクライナの人たちをたとえ1人でもいいから救うことができれば、それだけでも達成感を得られる」と話していました。

この男性は、おととし、ロシアと連携を深めるベラルーシのルカシェンコ政権に反対するデモに参加して身柄を拘束されたということで「真に愛国的で、殺される危険を覚悟で反政府活動をしているベラルーシ人がいることを知ってほしい」と訴えていました。

また、35歳の別の男性は、志願兵としてウクライナに行く目的について「ただ座って待っているというわけにはいかなかった。単に行くしかないということだ」と話しました。

そして「将来のベラルーシのために戦いに行く。ウクライナが負けてしまったら、世の中は一層悪くなるので、ウクライナは勝たなければならない。そうすればベラルーシも自由になる」と話していました。