原発事故 東電に賠償命令 国への訴えは退ける さいたま地裁

東京電力福島第一原子力発電所の事故で福島県から埼玉県に避難した住民などが国と東京電力に賠償を求めていた裁判で、さいたま地方裁判所は東京電力に対して合わせて6500万円余りを支払うよう命じました。
一方、国への訴えは退けました。

2011年に起きた東京電力福島第一原子力発電所の事故で福島県から埼玉県内に避難した住民など95人は、仕事や地域のつながりを失い平穏な生活を奪われたなどとして国と東京電力に対して合わせておよそ11億円の賠償を求めていました。

裁判では国の責任が大きな争点となり、原告は事故の9年前に地震活動の「長期評価」が政府の地震調査研究推進本部から発表された時点で、原発のすべての電源が失われる可能性を国は予測できたなどと主張していました。

これに対して国は「長期評価」について、検証に耐えうる根拠はないと判断されていたなどとして訴えを退けるよう求めていました。

20日の判決で、さいたま地方裁判所の岡部純子裁判長は「『長期評価』によって主要な建屋がある敷地の高さを超える津波が来ると予測できたにもかかわらず、国は規制の権限を行使しなかったことから重大な責務を果たしたとはいえない」と指摘しました。

一方で「予測できた津波は今回の津波との違いが非常に大きく、国が規制の権限を行使しても事故を回避できたとは認められない」として国に対する訴えは退けました。

そのうえで、東京電力に対して原告のうち63人に合わせて6500万円余りを支払うよう命じました。

東京電力「改めて心からおわび」

判決について東京電力は「原発の事故により福島県民をはじめ広く社会のみなさまに大変なご迷惑とご心配をおかけしていることについて、改めて心からおわび申し上げます。判決については今後内容を精査し対応を検討して参ります」というコメントを出しました。

原告側 「裁判所の判断 納得できない」控訴を検討

判決について原告の弁護団の事務局長を務める吉廣慶子弁護士は「『長期評価』で敷地の高さを超える津波を予測できたと認定したのは評価できるが、今回の津波はたまたま想定と違ったから国が権限を行使してもしなくても事故を回避できなかったという裁判所の判断には納得できない。あしたからまた闘っていきたい」と述べ、控訴を検討する考えを明らかにしました。

また、原告の瀬川芳伸さんは「きょうの判決を聞いて落ち込んだが、弁護団がこれからも頑張ると言ってくれたことに力をもらえた」と話していました。

経済産業省「復興 前面に立ち対応」

判決について経済産業省は「判決の内容に関わらず、原子力災害からの復興について引き続き前面に立って対応してまいります」というコメントを出しました。