ロシア軍 マリウポリで降伏呼びかけ 欧米 軍事支援継続を表明

ウクライナ東部のマリウポリでは、ロシア軍が新たな部隊を投入する一方で、ウクライナ側に重ねて降伏を呼びかけるなどゆさぶりをかけながら掌握をねらっています。
東部各地で激しく抵抗するウクライナ軍を支えようと、欧米各国は軍事支援を続けると表明しました。

ウクライナ東部の要衝マリウポリでは、ウクライナ側の部隊が拠点とし、子どもを含む数百人の市民がとどまっている製鉄所をロシア側が包囲したと主張しています。

ロシア側は19日、ここに新たな部隊を投入し、攻撃を開始したとする一方、ロシア国防省が日本時間の20日夜8時以降、武装を解除して降伏するようウクライナ側に重ねて呼びかけ、ゆさぶりをかけながら掌握をねらっています。

戦況についてイギリス国防省は、東部でロシア軍の攻撃が激しさを増しているとしながらも「ウクライナ軍はロシア軍の進軍の多くを撃退している」と指摘していて、東部の各地でウクライナ軍は激しい抵抗を続けています。

こうした中、アメリカのバイデン大統領は日本を含むG7=主要7か国やNATO=北大西洋条約機構の首脳などと19日、テレビ会議を行い、ウクライナに対して軍事や経済、人道面での支援を続けていくことを確認しました。

また、ドイツのショルツ首相は、ウクライナがドイツ企業から対戦車兵器などを調達するための費用をドイツ政府が肩代わりすることを明らかにし、ウクライナ軍を支える姿勢を鮮明にしています。

一方、アメリカ国防総省の高官は19日、東部での攻防について「これらの攻撃はロシア側が計画しているより大規模な軍事作戦の前ぶれだと考えている」と指摘し、ロシア軍が今後、さらに大規模な攻撃に乗り出すことが懸念されます。

ゼレンスキー大統領 “限りなく厳しい”

ウクライナのゼレンスキー大統領は19日に公開した動画で、激しい戦闘が続くウクライナ東部の要衝マリウポリについて「現状は変わっておらず、限りなく厳しい。避難ルートを設置する努力をロシア軍が妨げている。そしてロシア側は、占領した地域の住民を強制的に移動させようとしている。すでにロシア側の支配地域に移動させられた数万人のその後の状況は分かっていない」と述べました。

また、ドンバスなど東部地域への攻撃が著しく増えたと指摘したうえで、ロシア軍が、意図的に市民を殺害し住宅地や民間インフラを破壊し、国際的に禁止されているものを含めあらゆる武器を使っているとして「この戦争において、ロシア軍はおそらく世界で最も野蛮で、非人間的な軍隊としてその名を世界史に永遠に刻むことになるだろう」と強く非難しました。

また各国に対して「ウクライナが必要としている武器を持っているのであれば、自由を守ることを助けるのは、道徳的な義務だ」と述べ、武器の供与を改めて求めました。