【随時更新】ロシア ウクライナに軍事侵攻(20日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交などウクライナ情勢をめぐる20日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

プーチン大統領 “作戦の目的は地域の住民を助けること”

ロシアのプーチン大統領は、20日、クレムリンで行われた会合の中で「ウクライナ東部ドンバス地域の悲劇によって、われわれはウクライナでの軍事作戦を開始することを余儀なくされた。作戦の目的はこの地域の住民を助けることだ。われわれは一貫した行動をとり、この地域の人々の生活を正常化させ、よりよい生活を実現させる」と述べました。
ウクライナへの軍事侵攻を、プーチン大統領はウクライナ東部のロシア系住民を救出することが目的だと主張し、改めて正当化した形です。

ロシア大統領府 停戦交渉「草案提示」 ウクライナも検討の考え

ロシア大統領府のペスコフ報道官は20日、ロシアとウクライナとの停戦交渉について「われわれは草案をウクライナ側に提示した。ボールは彼らの側にあり、彼らの回答を待っている」と述べました。

一方で、ペスコフ報道官は「何度も言っているが、ウクライナ側の作業のペースには大いに不満があり、彼らは交渉のプロセスを強化することに意欲を示していない」と述べ、ウクライナ側を批判しました。

ロシア軍が、ウクライナの首都キーウ周辺で多くの住民の殺害に関与したと疑われていることに加え、東部のマリウポリで攻撃を強める中、ウクライナ側は交渉を打ち切る姿勢を示唆していて、ロシア側としては揺さぶりをかけるねらいもあるとみられます。

これに対し、ウクライナ代表団のポドリャク大統領府顧問は「先月トルコで開かれた交渉でわれわれは提案を示し、ロシア側はそれを検討して対案を示してきた。今度はわれわれが、政治的、法的な観点を含めて比較検討し、結論を出す番だ」と述べ、ロシア側が提示した草案を検討していく考えを示しました。

“第2次世界大戦以降 最も急速に拡大している難民危機”UNHCR

UNHCR=国連難民高等弁務官事務所のまとめによりますと、ロシア軍の侵攻を受けてウクライナから国外に避難した人の数は、19日の時点で500万人を超え、503万人余りとなっています。

主な避難先は、
▼ポーランドがおよそ282万人、
▼ルーマニアがおよそ75万人、
▼ハンガリーがおよそ47万人、
▼モルドバがおよそ42万人などとなっています。

また、▼ロシアに避難した人は、およそ54万人となっています。

さらに、ウクライナ国内で避難している人の数は710万人に上るとしています。

その結果、ウクライナの人口の4分の1以上にあたる1200万人を超える人々が避難を余儀なくされていて、UNHCRは、第2次世界大戦以降、最も急速に拡大している難民危機だとしています。

UNHCRは「この戦争は多くの苦しみとかつてない規模の避難民をもたらしている。必要な支援は膨大で、刻一刻と増えている」と強い危機感を示しています。

ロシア議会下院 副議長「日本の決定は説明が必要だ」

日本政府がウクライナに自衛隊が保有する化学兵器に対応した防護マスクと防護服、それにドローンを提供する方針を示したことについて、ロシア議会下院のヤロバヤ副議長は19日、ロシアの国営通信社に「日本の決定には早急な説明が必要だ」と述べ、反発しました。そのうえで「ウクライナの民族主義者が市民に対して化学兵器や生物兵器による攻撃を準備しているとみなす根拠を与えている」と主張し、議会で審議していく考えを示しました。

ウクライナ副首相「女性 子ども 高齢者の人道回廊設置で合意」

ウクライナのベレシチュク副首相は戦闘が続くマリウポリからの避難ルートについて「女性、子ども、高齢者のための人道回廊を設置することで合意できた」と20日、自身のフェイスブックに投稿し、設置に向けてロシア側と合意したことを明らかにしました。
副首相は20日の現地時間午後2時、日本時間午後8時にマリウポリ市内に集合場所を設け、避難を希望する市民を南東部のザポリージャまで移動させるとしています。ロイター通信がマリウポリのボイチェンコ市長の話として伝えたところによりますと、市内には今も市民10万人が取り残されているとみられ、ウクライナ側はおよそ6000人の市民を90台のバスを使って避難させる計画だということです。ただウクライナ側では避難ルートの合意はあくまで初期段階のものだという情報もあり、現地で激しい戦闘が続いていることから計画に変更が生じる可能性も指摘されています。

マリウポリ指揮官「最後の訴えになるかも」米メディア

ウクライナ東部の要衝マリウポリではウクライナの準軍事組織「アゾフ大隊」とウクライナ軍の海兵隊が数百人の市民とともに製鉄所に追い詰められ、ロシア軍や親ロシア派の武装勢力に包囲され激しい攻撃にさらされています。
こうした中、アメリカの複数のメディアは海兵隊の指揮官のひとりを名乗るセルゲイ・ボリナ氏に取材したとする記事を掲載しました。このうち有力紙ワシントン・ポストはボリナ氏がSNSに投稿したとする動画を紹介していて、ボリナ氏はその中で「世界に向けた声明だ。これが最後の訴えになるかもしれない。われわれにはあと数日、あるいは数時間しか残されていないかもしれない」などと持ちこたえるのが困難になっている状況を説明しました。
そのうえで製鉄所には多くの市民やおよそ500人のけが人がいるとして、各国の指導者に対し「私たちを救出してほしい。第3国に連れて行き、安全を提供してほしい」と訴えています。またボリナ氏はCNNテレビの取材に対し、けが人がいるものの提供できる医療は限られているなどとしたうえで、製鉄所の内部の状況を「危機的だ」と答えています。

追放のロシア外交官ら8人 羽田空港から出国

ウクライナ情勢をめぐって日本政府がロシアの外交官など8人を追放する措置をとったことを受けて、外交官らは羽田空港から20日午後、羽田空港から出国しました。日本が複数の外交官などを一斉に追放することは極めて異例で、8人は主に情報収集部門を担当していたとみられています。
日本政府は今月8日、日本に駐在するロシア大使館の外交官とロシア通商代表部の職員合わせて8人を国外に追放することを発表しました。関係者によりますと、8人は日本国内で主に情報収集部門を担当していたとみられ、中堅の幹部クラスも含まれています。また警察当局が重要人物だとしてマークしていた人物もいるということです。
外交官らは午前10時ごろ、他の関係職員や家族などと一緒に東京 港区のロシア大使館からバスで羽田空港に向かいました。そしてロシア側が用意したチャーター機に乗り込み、飛行機は正午すぎに離陸してロシアに向かいました。日本が複数の外交官などを一斉に追放することは極めて異例でロシア側は対抗措置を取るとみられていますが、具体的な内容については明らかになっていません。

「最恵国待遇」撤回など盛り込んだ改正法が成立 参院本会議

ロシアに対する制裁措置として貿易上の優遇措置などを保障する「最恵国待遇」の撤回などを盛り込んだ法律が20日の参議院本会議で可決・成立しました。
このうち改正関税暫定措置法はロシアに対する制裁措置として貿易上の優遇措置などを保障する「最恵国待遇」を撤回し、ロシアからの輸入品への関税を引き上げるための必要な内容が盛り込まれています。
また改正外国為替法はロシアが制裁の抜け穴として暗号資産を悪用できないよう、制裁の対象者が第三者に暗号資産を移転するのを規制することなどが盛りこまれています。
2つの法律は20日午前に開かれた参議院本会議で採決が行われ、改正関税暫定措置法は自民・公明両党や立憲民主党などの賛成多数で、また改正外国為替法は全会一致で可決・成立しました。政府は今回の法律改正で制裁の実効性を高めるとともに国際社会と協調することでロシアへの厳しい姿勢をより鮮明にしたい考えです。

国の支援対象外の避難民に支援金支給などの方針 宮城 石巻

ウクライナからの避難民を受け入れている宮城県石巻市は、国の生活費の支援の対象外となる人に独自の支援金を支給するなど、今後も避難民が増えることや滞在が長期にわたることを想定した具体的な支援方針を固めました。
石巻市には先月26日にウクライナ人の60代の女性が市内に住む娘を頼って避難してくるなどウクライナから3人の避難民が移り住んでいます。
市の支援方針では国の生活費の支援の対象外となっている家族や知人がいる避難民に対し、必要に応じて生活保護制度に準じた独自の支援金を毎月支給するということです。また孤立防止のために訪問活動や悩みの聞き取りを積極的に行い、状況に応じて住居や働く場所の確保や日本語教育、体調確認や医療の提供などを支援することにしています。
市は東日本大震災での被災者支援のノウハウを生かして社会福祉協議会やNPO、医療機関などと連携し、一人一人の状況にあった支援に当たるとしています。

ゼレンスキー大統領 “マリウポリ 限りなく厳しい”

ウクライナのゼレンスキー大統領は19日に公開した動画で、激しい戦闘が続くウクライナ東部の要衝マリウポリについて「現状は変わっておらず限りなく厳しい。避難ルートを設置する努力をロシア軍が妨げている。そしてロシア側は占領した地域の住民を強制的に移動させようとしている。すでにロシア側の支配地域に移動させられた数万人のその後の状況は分かっていない」と述べました。またドンバスなど東部地域への攻撃が著しく増えたと指摘したうえで、ロシア軍が意図的に市民を殺害し住宅地や民間インフラを破壊し、国際的に禁止されているものを含めあらゆる武器を使っているとして「この戦争においてロシア軍はおそらく世界で最も野蛮で、非人間的な軍隊としてその名を世界史に永遠に刻むことになるだろう」と強く非難しました。また各国に対して「ウクライナが必要としている武器を持っているのであれば、自由を守ることを助けるのは道徳的な義務だ」と述べ、武器の供与を改めて求めました。

国連安保理 ウクライナ東部への攻勢を各国が非難

国連の安全保障理事会でウクライナ情勢をめぐる会合が開かれ、ロシア軍が東部への攻勢を強めていることに各国から非難が相次ぎましたが、ロシアの代表はウクライナ側が市民を人間の盾にしていると主張したうえで軍事作戦を強行する姿勢を崩しませんでした。
国連安保理では19日、ウクライナからの避難民や人道状況について協議する会合が開かれました。会合ではロシア軍がウクライナ東部への攻勢を強めていることに各国から非難が相次ぎ、このうちアイルランドのコーブニー外務・国防相は「この戦争はプーチン大統領が決めればすぐに終わらせることができるはずなのに、われわれは新たな攻撃が行われているのを目の当たりにしている。狂気の沙汰であり歴史によって厳しく裁かれるだろう」と非難しました。またウクライナのキスリツァ国連大使は東部マリウポリの製鉄所には子どもを含む多くの市民が身を寄せているとして「市民を避難させなければならないのに、ロシアはそれを認めず砲撃を続けている」と非難したうえで、安保理も世界の平和と安全を維持する責任を果たせていないと厳しく指摘しました。
これに対してロシアのポリャンスキー国連次席大使はウクライナ側が市民を人間の盾にしていると主張したうえで「ドンバスを解放しウクライナを非軍事化し、ロシアへの脅威を排除する軍事作戦の目的は確実に達成されるだろう」と述べ、国際社会の非難にもかかわらず軍事作戦を強行する姿勢を崩しませんでした。

アメリカ国防総省 航空機の供与明らかに

ウクライナへの軍事支援をめぐって、アメリカ国防総省のカービー報道官は19日の記者会見で「ウクライナが追加の航空機と航空機の部品を受け取った」と述べ、航空機の供与が行われたことを明らかにしました。
カービー報道官は航空機の種類や供与した国について明らかにしませんでしたが、アメリカなどの複数のメディアはウクライナがアメリカ以外の国から戦闘機を受け取ったと報じました。またカービー報道官はアメリカは航空機の部品の輸送を支援したと明らかにする一方、航空機自体の輸送はしていないと強調しました。そのうえで「ウクライナは今、2週間前よりも多くの戦闘機を使えるようになっている。これは同じ種類の航空機を扱った経験があるほかの国々が航空機を稼働させるのを支援したからだ」と述べました。
ロシア軍がウクライナ東部での攻撃を強める中、ウクライナ側はさらなる軍事支援を求めていて、アメリカなど西側諸国からの兵器の供与が加速しています。

ウクライナのサッカーチーム 慈善試合で停戦訴える

トルコの最大都市イスタンブールでは19日、ウクライナのサッカーチームが慈善試合に臨み停戦の実現を訴えました。
慈善試合に臨んだのは戦闘が続く東部の都市ドネツクのプロサッカーチーム「シャフタール・ドネツク」です。ことし2月のロシアによる軍事侵攻でウクライナでプレーができなくなりましたが、今月上旬に拠点をイスタンブールに移して周辺の国のチームとの慈善試合を通じて停戦の実現を訴えています。
19日はトルコの強豪チーム「フェネルバフチェ」との慈善試合に臨み、ウクライナの国旗を身にまとった選手たちはトルコに避難してきたウクライナの子どもたちにエスコートされピッチに姿を見せました。ピッチの中央には「平和のためのフットボール」というメッセージが書かれ、試合前には全員で黙とうをささげ軍事侵攻で犠牲になった人たちを悼みました。
試合のあと、シャフタール・ドネツクのキャプテンは会見で「私たちの明確なメッセージはこの戦争を止めなくてはいけないということだ。ロシアは撤退し、私たちの子どもたちを手にかけるのをやめなくてはならない」と訴えていました。スタジアムには1万人余りが詰めかけ、入場料は軍事侵攻で被害にあった人のために寄付されるということです。

イギリス国防省「ロシア軍進軍の多くを撃退」

イギリス国防省は19日、ウクライナでの戦況分析を公表し、ウクライナ東部でのロシア軍の活動について「砲撃が増え続けている」などとして攻撃が激しさを増しているという認識を示す一方「ウクライナ軍はロシア軍の進軍の多くを撃退している」と指摘しました。また「ロシア軍は自然環境や後方支援、技術的な問題や士気の高いウクライナ軍の回復の影響を受け続けている」としています。そのうえで「ロシア軍はマリウポリでの抵抗を抑え込めておらず、住民をねらった無差別攻撃も速やかに目的を達成できていないことを示している」としています。

ウクライナ国防次官「今後数週間が決定的に重要」

ウクライナのマリャル国防次官がNHKとのオンラインインタビューに応じ、ロシアが攻勢を強めている東部の要衝マリウポリについて「非常に厳しい状況に置かれている。ロシア軍は都市をほぼ壊滅させ、地球上から消し去ったと言える」と述べました。そしてロシアが包囲したと主張する製鉄所には数百人の市民がとどまり、中には生後4か月の赤ちゃんも含まれていると明らかにしたうえで、市民を避難させるための人道回廊の設置を改めてロシア側に求めました。
ロシア軍による攻勢については「ロシア軍はこれまでに1300発のミサイルを発射し、今もなおウクライナの大部分を破壊するのに十分な量のミサイルを保有している」と述べ、ミサイル防衛などの支援について西側諸国と協議していることを明らかにしました。そのうえで「今後数週間が決定的に重要だが、私たちには重火器や航空機が不足しており補充が必要だ」と述べ、西側諸国に対し武器のさらなる供与を求めました。

ドイツ政府 ウクライナ兵器調達費用を肩代わり

ドイツのショルツ首相は19日の記者会見でウクライナへの軍事支援を続けるため、ウクライナがドイツ企業から対戦車兵器などを調達するための費用を肩代わりすることを明らかにしました。
ドイツは対戦車兵器や携帯型の地対空ミサイルの供与をすでに表明していますが、ショルツ首相は会見で軍から供与できる兵器の数が上限に達する可能性があるという認識を示しました。こうした状況でもウクライナへの軍事支援を続けるため、ドイツで兵器を製造する企業がすぐ用意できるもののリストを示したうえで、ウクライナが調達するための費用をドイツ政府が肩代わりして拠出するということです。ショルツ首相は「これまでと同じように対戦車兵器や防空のための機器などが含まれる」と説明したうえで、ロシアのプーチン大統領に対し「ウクライナから撤退し、このひどい戦争をやめよ」と呼びかけ、戦闘の停止と軍の撤退を強く求めました。
ドイツでは与野党の一部の議員などから戦車などの強力な兵器の供与を求める声が上がっていますが、これについてショルツ首相は今回は踏み込みませんでした。

国連事務総長 復活祭にあわせ人道的な停戦呼びかける

ウクライナ情勢をめぐって国連のグテーレス事務総長は19日、ニューヨークの国連本部で記者会見し、ウクライナやロシアの正教会の復活祭にあわせて今月21日からの4日間の人道的な停戦を呼びかけました。停戦が実現すれば避難を希望する市民が安全に移動することができるほか、国連もウクライナ東部のマリウポリなど深刻な被害を受けた地域に人道支援物資を搬入できると強調しています。
会見は国連本部に設置されている平和と非暴力を象徴するモニュメントの前で行われ、グテーレス事務総長は「命を救い流血と破壊を止めよう。銃を沈黙させ、危険にさらされている多くの人たちのために安全への道をつくるよう求める」と訴えました。

バイデン大統領 ウクライナ支援継続を確認

アメリカのバイデン大統領は日本を含むG7=主要7か国の首脳などと19日、テレビ会議を行い、ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナに対して引き続き軍事や経済、人道面での支援を行っていくことを確認しました。
会議はバイデン大統領や岸田総理大臣などG7各国の首脳に加え、EU=ヨーロッパ連合やNATO=北大西洋条約機構の首脳などが出席して1時間半近く行われました。
ホワイトハウスが発表した声明によりますと、会議ではウクライナに対する支援に加えG7やEU、それにNATOが緊密に連携しながらロシアへの経済制裁を継続する方針も改めて確認したということです。
アメリカは先週、ウクライナ東部への大規模な攻撃に対応するためとして砲撃システムなど8億ドル、日本円にしておよそ1000億円の軍事支援を発表しています。
バイデン大統領は19日、訪問先で記者団から「砲撃のための兵器を追加で送るつもりはあるのか」と問われた際「そのつもりだ」と答え、追加支援を検討する考えを示しています。

アメリカ国防総省高官「大規模な軍事作戦の前触れ」

アメリカ国防総省の高官は19日、東部ドネツク州の南西や東部ハルキウ州のイジュームの南でロシア軍による限定的な軍事作戦が始まっているのが確認できるとしたうえで「これらの攻撃はロシア側が計画しているより大規模な軍事作戦の前触れだと考えている」と指摘しました。
これらの地域では長距離砲撃による支援を受けたロシア軍部隊が地上戦を展開していて、ウクライナ側がこれに反撃しているということです。またこの高官はロシア軍がウクライナへ投入する部隊の再編成を続けていて、すでに追加の部隊を投入したのも確認されていると明らかにしました。そのうえでロシア軍が戦力の増強や物資の補給の態勢を整える動きを続けているとして、ウクライナ東部への大規模な攻撃への準備を進めているとの認識を示しました。
ウクライナ東部についてはロシア軍の前線の部隊に対しロシア領内からの物資の補給ルートが短い一方、ウクライナ側も戦力を補充するルートを持っているとして戦闘が長期化する可能性があると指摘しました。
また東部の要衝、マリウポリについては引き続きロシア側とウクライナ側との間で戦闘が続いているとの認識を示しました。
一方、この高官はロシア軍の戦力がウクライナへの軍事侵攻を始めた時期のおよそ75%に低下したとの分析を明らかにしました。

ウクライナ公共放送 動画投稿サイトで国内外に発信

ウクライナの公共放送は動画投稿サイト、ユーチューブで現地の状況を連日、国内外に英語で発信しています。
19日に公開された放送ではロシア軍が東部のドンバス地域に激しい攻撃を始めたことを伝えています。このうちドネツク州では市民5人が死亡し、子どもを含む6人がけがをしたほか、ルハンシク州でも4人が死亡したと伝えています。
映像では建物の壁が破壊されレンガなどが散らばっている様子や、集合住宅近くの爆発でできたとみられる大きな穴について伝えています。

岸田首相 計3億ドルの借款を表明

ウクライナ情勢をめぐって日本時間の19日午後11時ごろからアメリカのバイデン大統領の呼びかけでG7=主要7か国などの首脳らによるテレビ会議が1時間余り行われ、岸田総理大臣も参加しました。
この中で岸田総理大臣は「ロシアによる非道な侵略を終わらせ、平和秩序を守るための正念場を迎えている」と指摘し、G7と連携しながらロシアに対する広範かつ強力な制裁を行っていると説明しました。そのうえでウクライナ経済の下支えが急務だとして、これまで表明していた1億ドルの借款を積み増して合わせて3億ドルの借款を行うと表明しました。また自衛隊が保有する化学兵器に対応した防護マスクと防護服、それにドローンを提供する方針を説明しました。さらに「今回の侵略のインパクトはヨーロッパにとどまらず東アジアにも及んでいる」と述べ、アジア諸国に対し積極的に連携を呼びかけていると強調しました。
そして会議に参加した首脳らはロシアによる民間人への残虐な行為は重大な国際人道法違反で断じて許されず、東部のマリウポリやドンバス地域での攻防が激化する中、市民への被害が深く懸念されるとして、引き続きウクライナ政府と国民をさまざまな形で迅速に支えていくことが共通の責務だという認識で一致しました。

国連 “少なくとも2104人の市民が死亡 うち170人は子ども”

国連人権高等弁務官事務所は、ロシアによる軍事侵攻が始まったことし2月24日から今月18日までにウクライナで少なくとも2104人の市民が死亡したと発表しました。このうち170人は子どもだとしています。
地域別でみると東部のドネツク州とルハンシク州で739人、キーウ州や東部のハルキウ州、北部のチェルニヒウ州、南部のヘルソン州などで1365人の死亡が確認されているということです。またけがをした市民は2862人に上るとしています。
しかしロシア軍による激しい攻撃が続いている東部のマリウポリなどでの死傷者の数について、国連人権高等弁務官事務所は集計が遅れていたり確認がまだ取れていなかったりして今回の統計には含まれていないとしていて、実際の死傷者の数はこれを大きく上回るとの見方を示しています。