ロシア ウクライナ東部で攻勢 マリウポリでは降伏重ねて迫る

ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシア軍は19日、東部の各地で攻勢を一段と強め、要衝マリウポリではウクライナ側の部隊に対して降伏を迫っています。ウクライナ側がこれに応じる姿勢を示さない中、ロシア国防省は日本時間の20日夜以降、武装を解除して降伏するよう重ねて迫り、圧力を強めています。

ロシア国防省は19日、東部のルハンシク州やドネツク州にあるウクライナ軍の拠点だとする合わせて8か所をミサイルで攻撃したと発表するなど、東部の各地で攻勢を一段と強めています。

ロシアのショイグ国防相は19日、軍の幹部を集めた会議で作戦の継続を強調したほか、ラブロフ外相はインドのメディアとのインタビューで、「新たな段階が始まっている。作戦全体で重要な節目になる」と述べました。

こうしたなか、東部ハルキウ州の知事は19日、SNSに投稿し、ハルキウでのロシア軍による攻撃で少なくとも3人が死亡し、16人がけがをしたことを明らかにしました。

国連人権高等弁務官事務所は、ロシアによる軍事侵攻が始まったことし2月24日から今月18日までに、ウクライナで170人の子どもを含む少なくとも2104人の市民が死亡したと発表しましたが、実際の死傷者の数はこれを大きく上回るとみられています。

こうした状況についてウクライナのマリャル国防次官は19日、NHKとのオンラインインタビューに応じ、「今後数週間が決定的に重要だが、私たちには重火器や航空機が不足しており、補充が必要だ」と述べ、西側諸国に対し、武器のさらなる供与を求めました。

また、ロシアが攻勢を強めている東部の要衝マリウポリについて、「非常に厳しい状況に置かれている。ロシア軍は都市をほぼ壊滅させ、地球上から消し去ったと言える」と述べました。

マリャル国防次官によりますと、マリウポリでウクライナ側の部隊が拠点としていて、ロシアが包囲したと主張する製鉄所には、数百人の市民がとどまり、生後4か月の赤ちゃんも含まれているということです。

製鉄所をめぐって親ロシア派の武装勢力は19日、新たに投入された部隊の一部が攻撃を開始したとする一方、ロシア国防省はウクライナ側の部隊に降伏を迫りました。

降伏の期限は日本時間の19日午後10時にすぎましたが、ウクライナ側は、降伏に応じる姿勢は示していません。

これを受けてロシア国防省は、現地時間の20日午後2時、日本時間の20日午後8時以降、武装を解除して降伏するよう重ねて迫りました。

マリウポリの完全掌握をめざすロシア軍はウクライナの部隊に対して、「このままでは全員に耐え難い運命が待ち受けている」と警告するなど、圧力を強めています。