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G20閣僚級会合 今夜開幕 ロシア出席の見通し 軍事侵攻で対立か

ロシアによる軍事侵攻以降、G20=主要20か国の初めての閣僚級の会合となる財務相・中央銀行総裁会議が日本時間の20日夜からワシントンで開かれます。ロシアが出席する見通しになっているうえ、軍事侵攻をめぐる各国の立場が異なるため議論は対立が避けられない見通しです。
G20の財務相・中央銀行総裁会議は、日本時間の20日夜11時からワシントンで開かれ、日本からは鈴木財務大臣と日銀の黒田総裁が出席します。

今回の会議は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻以降、G20としては初めての閣僚級の会合で、ロシアのシルアノフ財務相はオンラインで出席する見通しです。

アメリカのイエレン長官は、ロシアが出席する場合には多くの会議に欠席すると発言し、ロシア排除を求めてきましたが、重要な議論を行う場には出席することになりました。

会議は、減速が懸念される世界経済が焦点で、アメリカや日本などG7はロシアによる軍事侵攻は、エネルギーや食糧価格の上昇につながり、大きなリスクだ、と訴える見通しです。

これに対してロシア側は、欧米などによる制裁が世界経済を混乱させていると反論するとみられ、中国などが同調する可能性もあります。

G20には、G7各国のほか、ロシアや中国に、ブラジル、インド、南アフリカを加えた新興5か国「BRICS」、それに今回の議長国のインドネシアやサウジアラビアなどが参加しています。

ロシアへの対応で各国の立場が異なる中、議論は対立が避けられない見通しです。

共同声明という形で会議の議論の成果をまとめるのも難しい状況で、G20という国際的な政策協調の枠組みが問われる事態になっています。

ウクライナ情勢 世界経済に与える影響が議論の焦点

今回のG20では、ウクライナ情勢が世界経済に与える影響に関する議論が最大の焦点となります。

IMF=国際通貨基金は、会議を前にした19日ことしの世界経済の成長率の見通しを前回・3か月前よりも0.8ポイント低い3.6%へと下方修正しました。

世界経済の減速について、日本やアメリカなどG7=主要7か国は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻でエネルギーや食糧など原材料価格の上昇に拍車がかかっているためとする立場です。

一方、ロシアは欧米などによる金融や貿易面の大規模な制裁が、世界経済の混乱の要因だ、と主張するとみられ、中国が賛同する可能性があります。

G20ではウクライナ問題のほかにも、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う途上国へのワクチンの普及や、感染症や気候変動に対応するための低所得国への融資拡大、それに、欧米の金利の引き上げが新興国経済に与える影響など、継続して議論すべきテーマがあります。

しかし、ウクライナ問題をめぐって対立が避けられない今回は、共同声明という形で議論の成果をまとめるのも難しい情勢です。

G20 ロシアをめぐる経緯

G20は、日本やアメリカなどG7=主要7か国と、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの「BRICS」などの新興国を加えた19か国と、EU=ヨーロッパ連合が参加しています。

アジア通貨危機などを受けて、1999年、20の国と地域の財務相と中央銀行の総裁が世界経済や国際金融の課題を議論する場として始まり、リーマンショックが起きた2008年以降は、G20の首脳による会合も開かれてきました。

国際的な課題に協調して対処するための枠組みとして機能してきましたが、ことし2月のウクライナへの軍事侵攻をきっかけに、ロシアへの対応をめぐりG20の内部で対立が生じています。

先月24日、アメリカのバイデン大統領が、ことし11月にインドネシアで行われる予定のG20サミットからロシアを排除すべきだと訴えました。

さらに今月6日、イエレン財務長官も議会の公聴会で「ロシアが出席する場合は多くの会議に出席しない」と発言しましたが、18日には重要な議論を行う場には出席することを明らかにし、発言を見直しました。

これに対して、議長国のインドネシアはメンバーは、すべて出席することが前提だという考えを繰り返し説明してきたほか、中国も「誰もG20を分裂させることはできない」などと、アメリカに反発してきました。

G20にはメンバーの除名などについて明確なルールはなく、ロシアの参加をめぐり、水面下でつばぜり合いが続いてきました。

前回の会合でも議論紛糾

ウクライナ情勢をめぐっては、ことし2月にインドネシアのジャカルタで開かれた前回の会合でも議論が紛糾しました。

会合で採択された共同声明では、当時、急速に緊迫化の度合いを高めていたウクライナ情勢について「発生中の地政をめぐる緊張」と位置づけました。

しかし、日本政府関係者によりますと、共同声明を作成する中で、関係国の間ではこうした表現を入れるかどうかをめぐって、調整が難航したということです。

G20 ロシアと各国との “距離”

今回のG20に先だつ今月7日の国連総会では、ロシアの人権理事会の理事国としての資格を停止するよう求める決議案が採決されました。

この採決では、EU=ヨーロッパ連合を除くG20のメンバーの19か国のうち、G7とオーストラリア、韓国、アルゼンチン、トルコの11か国が賛成したのに対し、新興5か国「BRICS」のうちロシアと中国の2か国が反対、ブラジル、インド、南アフリカは棄権しました。

メキシコ、サウジアラビア、それに議長国のインドネシアも棄権しました。

G20には、政治的・経済的な結びつきからロシア寄りの新興国もあり、今回の会議でも世界経済の現状やリスクについて各国が一致した認識を示すのは、極めて難しい状況となっています。

ロシアへの経済制裁 対応分かれる

ロシアへの経済制裁をめぐって、G20に参加する国と地域の間で対応が分かれています。

ロシアを除くG20のうち、経済制裁を科しているのは10の国と地域です。

具体的には
▽EU=ヨーロッパ連合
▽G7=主要7か国のアメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、日本と
▽韓国、オーストラリアです。

一方、ロシアへの経済制裁を科していないのは
▽ブラジル、インド、中国、南アフリカの「BRICS」4か国と
▽インドネシア、サウジアラビア、メキシコ、アルゼンチン、トルコの合わせて9か国です。

先進国と新興国という立場の違いがあるほか、ロシアとの政治や経済の結びつきの強さも異なっていて、G20として一致した対応を見いだせるのかが焦点になります。

日米 財務相会談へ 円安についても意見交換か

G20=主要20か国の財務相・中央銀行総裁会議に出席する鈴木財務大臣は、ワシントンに滞在中にアメリカのイエレン財務長官と会談します。

会談では、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアに対して、両国が連携して対応していくことを確認する見通しです。

また、外国為替市場で加速している円安についても、意見を交わすものとみられます。

鈴木財務大臣は、ワシントンに出発する前の19日、円安について「現状の経済状況を考えるとデメリットをもたらす面が強い」「アメリカなどの通貨当局と緊密な意思疎通を図りながら、適切に対応していきたい」と述べました。

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