19日の外国為替市場で、円はアメリカのドルに対してだけでなく、ヨーロッパのユーロ、そして中国の人民元に対しても大きく値下がりました。
こうした状況について、ソニーフィナンシャルグループの尾河眞樹チーフアナリストは「さまざまな通貨と比べても円は独歩安になっている。中国は足もとの景気が悪化して金融緩和を行っている点でほかの通貨と状況は違うが、それでも円よりは強い」と指摘しています。
そのうえで、「世界的にインフレが加速して主要国が金融引き締めを行うなか、日銀は金融緩和を維持して円だけが取り残されている。これが足もとの円安の背景だ」と話しています。
また、今後の見通しについては「アメリカの長期金利の上昇傾向がさらに続けば1ドル=130円台も視野に入ってくる。日本の金融政策だけが緩和的であることの影響は大きく、幅広い通貨に対し、円安傾向は当面続くだろう」と分析しています。

円相場 128円台まで値下がり 2002年5月以来 円安水準更新
19日の外国為替市場、円相場は1ドル=128円台まで値下がりしておよそ20年ぶりの円安水準を更新しました。また、ユーロに対しても、1ユーロ=138円台と、およそ6年8か月ぶりの円安水準まで値下がりしました。
19日の東京外国為替市場は、アメリカで金融引き締めが強まって長期金利が上昇し、日米の金利差が拡大するとの見方を背景に、より利回りが見込めるドルを買って円を売る動きが一段と強まりました。
円相場は、一時、1ドル=128円台まで値下がりし、2002年5月以来、およそ19年11か月ぶりの円安水準を更新しました。
午後5時時点の円相場は、18日と比べて1円43銭安い1ドル=128円6銭から8銭となっています。
一方、ユーロに対しても、およそ6年8か月ぶりとなる1ユーロ=138円台まで値下がりし、18日と比べて1円68銭安い1ユーロ=138円32銭から36銭となっています。
ユーロはドルに対して、1ユーロ=1.0801から03ドルでした。
市場関係者は「アメリカやヨーロッパは金融引き締めを進める姿勢を強めているだけに、緩和策を続ける日銀との政策の違いが際立ち、円が売られやすくなっている。ただ、このところ円安が急速に進んだだけに、投資家の間では政府・日銀の対応や発言に関心が集まっている」と話しています。