ウクライナ東部2州掌握へ ロシア軍が攻勢 西部もミサイル攻撃

ロシア軍が侵攻を続けるウクライナで18日、西部リビウの軍事施設などが攻撃を受け、地元の州知事は7人が死亡したと発表するなど、各地でロシア軍のミサイル攻撃が続いています。
一方、ロシア軍は、東部の要衝マリウポリで降伏を迫りながら完全掌握を目指し、第2の都市ハルキウでも攻撃を続けていて、東部2州の掌握を急ぎたい考えとみられます。

ロシア国防省は18日、東部ハルキウ州や、南東部ザポリージャ州などで16の施設をミサイルで攻撃し、指揮所や弾薬庫などを破壊したとしたほか、ハルキウ州のイジューム近郊でウクライナ軍のミグ29戦闘機を撃墜したなどと発表しました。

さらに西部リビウ州のコジツキー知事は、日本時間の18日午後、リビウにある軍事施設や自動車整備の施設が合わせて4発のミサイル攻撃を受け7人が死亡したと明らかにしました。

一方、ロシア軍は、東部の要衝マリウポリの完全掌握に向けて、ウクライナの部隊が拠点とする製鉄所を包囲したと主張したうえで「武器を置いた者は命を保証する」などと呼びかけ、日本時間の17日夜までに武装を解除して降伏するよう要求しました。

ただ、ウクライナ側は、降伏の要求に応じておらず、ロシア国防省は、「これ以上、抵抗を続ければ全滅させる」と警告していて、ロシア軍による攻撃がいっそう激しくなるおそれがあります。

またウクライナ東部では、17日には、第2の都市ハルキウの中心部などでもロシア軍による砲撃があり、地元の州知事は5人が死亡、20人がけがをしたことを明らかにしました。

ウクライナのゼレンスキー大統領は17日に公開した動画で、「一般の住宅地や民間人に対する攻撃で意図的なテロ行為にほかならない」と強く非難しました。

ロシア軍は、要衝マリウポリに対し、降伏を迫りながらこの都市の完全掌握を目指すとともにハルキウやその周辺のイジュームからさらに南下し、北側からと南側から挟み込む形で、東部2州の掌握を急ぎたい考えとみられます。

“人道回廊 2日連続で開くことできず” ウクライナ副首相

ウクライナのベレシチュク副首相は18日「人道回廊」と呼ばれる住民の避難ルートを2日連続で開くことができなかったとSNS上で明らかにしました。

この中で副首相は「ロシア軍が東部などで攻撃とルートの封鎖を続けていて、安全上の理由から避難ルートを開くことができない」と、ロシア側の攻撃が避難を妨げていると批判しました。

「人道回廊」と呼ばれる避難ルートは、先月からウクライナ側とロシア側の停戦をめぐる交渉の成果の1つとして運用が始まり、一時は1日で1万人以上の市民が避難しました。

しかし、副首相によりますと、避難できた人は、今月16日にはウクライナ全土で合わせて1400人ほどにとどまっています。

中でもロシア軍の激しい攻撃が続く東部マリウポリでは、避難ルートについて、ICRC=赤十字国際委員会の支援チームが今月1日、安全が確保できず引き返したと発表するなど、住民の避難が難航しています。