中国 上海 感染対策ガイドライン公表も経済活動の再開は不透明

新型コロナウイルスの感染拡大で厳しい外出制限が続く中国の上海では、おととし以来とみられる感染者の死亡が明らかになりました。当局は、感染対策を徹底したうえで、企業の活動を認める方針を示していますが、全面的な経済活動の再開につながるかは不透明です。

中国の上海では、新型コロナウイルスの1日の感染者数が17日、無症状の人を中心に2万2248人確認され、11日連続で2万人を超えるなど、過去最悪の水準が続いています。

また、上海市当局は、いずれも高齢で基礎疾患のある感染者3人が17日、死亡したと明らかにしました。

上海で感染者の死亡が明らかになるのは、おととし4月以来とみられます。

市内各地で厳しい外出制限が続く中、当局は16日、企業の生産活動の再開に向けた感染対策のガイドラインを公表しました。

対策を徹底したうえで、企業の活動を認める方針を示し、経済への影響を最小限に抑えたいねらいがあるとみられます。

ただ、外部との接触を避けるため、従業員が工場などの勤務先で寝泊まりする必要があるなど厳しい条件となっていて、全面的な経済活動の再開につながるかは不透明です。

こうした中、上海にある日本総領事館の赤松秀一総領事は今月15日付けで上海市の副市長に対し、現地の日系企業について「サプライチェーンが分断され、人事異動が実現できず、事業計画も立てられないなど広範囲にわたって深刻な影響が生じている」として、対応の改善を求める書簡を送っています。

上海以外でも外出制限など相次ぐ

中国では、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、先月以降、上海以外にも外出などの制限を行う都市が相次いでいます。

このうち、
▽内陸部、陝西省の中心都市・西安では、16日から19日までの4日間、全市民を対象に外出制限を行っています。
西安では、去年12月からことし1月にかけて、全市民を対象にした厳しい外出制限が行われたばかりです。

また、
▽先月11日から全市民の外出制限が始まった東北部、吉林省の中心都市・長春では、感染者が減ったとして、今後、制限を緩和するとしていますが、1か月以上たった今も、一部を除いて制限が続いています。

さらに、
▽日系企業も多い東部、江蘇省の蘇州では、今月に入って市内で段階的に移動などの制限が始まっていて、16日からは主要な地域でも制限が始まっています。

野村ホールディングスの香港にある現地法人の調査によりますと、今月11日の時点で、都市の一部も含めて、外出などの制限が行われた中国の都市は45に上るということで「多くの都市で大規模な検査が行われていることなどを考慮すれば、ゼロコロナ政策の影響はこれよりもかなり大きい可能性がある」と指摘しています。