この夏も暑くなりそう… 熱中症対策 この時期大切なこと

この夏も高温が予想され、暑くなりそうです。また暑い夏がやってきます。
でも夏はまだ先のこと…
そう考えている方もいらっしゃるかもしれません。しかし熱中症を防ぐため、本格的に暑くなる前のこの時期からできる、重要なことがあるんです。

それが「暑熱順化(しょねつじゅんか)」
ご存じでしょうか?

■「暑熱順化」とは…

熱中症のメカニズムに詳しい帝京大学医学部附属病院 高度救命救急センターの三宅康史センター長によりますと、人間の体は体温が上がると皮膚血管を広げて血流量を増やし体の表面から熱を逃がすほか、汗による気化熱で体温を下げます。しかしこうした能力は1年中同じわけではなく、2週間ほどかけて徐々に暑さに慣れることで高まっていくということです。これを「暑熱順化」といいます。

■「暑熱順化」できていないと… 熱中症リスク高に

特に急に気温が上がる時期は「暑熱順化」がまだできていないため熱が逃げにくく、汗がうまくかけずに熱中症になるリスクが高くなるといいます。

三宅センター長によりますと
▽急に暑くなった日やその翌日は外で働く人やスポーツをする子どもたちは運動で体に熱が生じるため熱中症になりやすく
▽それ以降も暑い日が続くと夜も気温が高くなりはじめ、外出する機会の少ないお年寄りや持病がある人の発症が目立ち始めるということです。

■消防隊員「暑熱順化」機能高める訓練 千葉

千葉市内では真夏でも重装備で活動しなければならない消防隊員の「暑熱順化」の機能を高めるため毎年この時期から訓練をしていて、千葉市花見川消防署で18日、実演してもらいました。

訓練1. 防火服 ヘルメット 手袋付けランニング

消防隊員はまず防火服やヘルメット、それに手袋を付けた状態で敷地内をランニングします。

訓練2. ボンベ背負い総重量20キロで階段を上り下り

これだけでも重さは10キロほどありますが、水分補給をしたあとはさらに負荷をかけるためボンベを背負います。装備の総重量は20キロになり、この状態で6階建ての訓練用の建物の階段を全速力で上り下りしました。2~3往復すると隊員からはしたたり落ちるほど汗が噴き出していました。

千葉市消防局では真夏の活動中に熱中症になる隊員がいるため4年前からこの訓練を市内の消防署に取り入れているということです。訓練は毎回1時間くらいで少なくとも1週間に1回程度、真夏にかけて続けていくということです。
訓練に参加した隊員は「真夏の消火活動では炎の熱もあり暑さで頭が痛くなる時もあります。訓練はサウナで服を着ながら運動するくらいの暑さです」とか「ことし初めてなので疲れました。自分の体を暑さに慣れさせていきたい」などと話していました。

花見川消防署の中村暢 警防係長は「過酷な環境下でも活動できるよう『暑熱順化』訓練を取り入れて真夏の活動に耐えられるようにしたい」と話しています。

もちろんこれは消防隊員の訓練ですので、一般の人は無理の無い範囲でお願いします。

■「暑熱順化」 何をする?

ことしはコロナ禍の3度目の夏となりますが、外出をしていないことによる影響も大きいということで意識的な「暑熱順化」が重要だといいます。では具体的にどうすればよいのでしょうか?

1. 三宅センター長 “散歩・入浴で汗をかく”

三宅センター長によりますと、気温が高くなりはじめ、やや暑いなと感じるくらいの日に
▽外で30分ほど散歩をしたり
▽家でも週に2回程度はしっかりとお湯につかって入浴するなど
少しずつ汗をかいておくと「暑熱順化」が進むということです。

2. 日本気象協会がまとめる「暑熱順化」のポイント

また日本気象協会は熱中症になる人を減らすため、専門家の監修でウェブサイトを公開し「暑熱順化」のポイントを詳しくまとめています。

<屋外>ウォーキング30分・ジョギング15分・サイクリングも

▽屋外なら一駅分よけいに歩くことや、できるだけ階段を使うなど意識して少し汗をかくことが大事だとしています。目安としてウォーキングは30分、ジョギングなら15分。頻度は週5日程度が望ましいとしています。
通勤や買い物の際のサイクリングも取り入れやすく、30分を目安に週3回程度が望ましいということです。

<屋内>ストレッチ・入浴で汗をかく

▽屋内ならストレッチを一日30分程度、週5回から毎日程度が望ましいということです。室内の温度には注意が必要です。また二日に1回を目安に湯船に入って意識的に汗をかくこともあげています。いずれの数字もあくまで目安で、その日の体調や気温に応じて無理のない範囲で行い水分や塩分を補給してほしいとしています。

■「暑熱順化」 いつから行う?

また地域ごとに暑熱順化を始める時期の目安にしてもらうため、気象データや過去の熱中症のデータなどをもとに「暑熱順化前線」を独自に算出しています。
今月6日の発表では
▽沖縄は4月中旬とすでに開始時期に入っていて
▽九州でも4月下旬と、もうまもなく
▽大阪では5月上旬
▽東京は5月中旬が目安としています。

日本気象協会は気象データを見ながら夏までにもう一度、暑熱順化前線を更新することにしていて「暑熱順化には数日から2週間ほどかかるため、情報を参考に早めに取り組んでほしい」と呼びかけています。また数日暑さから遠ざかると効果は弱まってしまうため、その点にも意識しておいてほしいとしています。

■専門家「気温が上がる前に汗をかいて備えて」

三宅センター長は「最近では4月でも夏日となるような日が増えていて、そうした日にはまだ体が暑熱純化できていないので暑い間はあまり無理せず、気温が上がる前や涼しい日に外で体を動かして汗をかいて備えていくことが安全だと思う」と指摘しています。