中国 1月から3月までのGDP伸び率 去年同期比プラス4.8%

中国のことし1月から3月までのGDP=国内総生産の伸び率は、去年の同じ時期と比べてプラス4.8%でした。伸び率は前の3か月を上回りましたが、国内各地で新型コロナウイルスの感染が広がっていて、先行きの不透明感は強まっています。

中国の国家統計局が18日発表した、ことし1月から先月までのGDPの伸び率は、物価の変動を除いた実質で、去年の同じ時期と比べてプラス4.8%でした。

経済の減速が続く中で、伸び率は、プラス4%だった前の3か月を上回りました。

先月にかけての中国経済は、政府の景気対策を受けてインフラ投資が伸びたほか、2月までは個人消費も持ち直しの動きがみられていました。

しかし、先月に入って各地で新型コロナウイルスの感染が急速に拡大し、徹底して感染を抑え込もうとするゼロコロナ政策のもと、複数の都市で厳しい外出制限が行われました。

その影響で工場の操業停止が相次ぎ生産活動が停滞したほか、飲食業の売り上げが大幅なマイナスとなるなど、個人消費も低迷しました。

先月下旬から始まった最大の経済都市 上海での外出制限は今も続いていて、今後、その影響がより大きく表れるとみられるほか、ウクライナ情勢を受けたエネルギー価格や原材料価格の国際的な高騰が企業経営を圧迫していて、中国経済の先行きには不透明感が強まっています。

中国政府の目標は「5.5%前後」

中国政府はことしの経済成長率の目標として「5.5%前後」を掲げています。

一方、3か月ごとのGDPの伸び率をみると、今回を含めてこのところ3四半期連続で5%を下回っていて、先行きへの不透明感が強まる中、目標の実現は難しいとも指摘されています。

ゼロコロナ政策がリスクに

中国経済に打撃を与えているのが、国内での感染拡大と、感染の徹底的な封じ込めを図る、ゼロコロナ政策に基づく厳しい外出制限です。

中国では3月以降、感染力の強いオミクロン株の感染が拡大し、街の全域か一部で外出制限がとられた都市が、上海のほか、人口およそ1700万の南部の広東省深センや、人口およそ1000万の東北部の黒竜江省ハルビンなど40を超えるという調査もあります。

厳しい制限がとられたところでは、外出が全く認められなかったり、生活必需品の買い物などごく一部に限られたりして、工場の操業停止や個人消費の落ち込みにつながっています。

また、感染対策が貨物トラックの運転手不足や飛行機の貨物便の減少につながり、物流にも混乱が生じているため、部品の供給が滞って工場の操業停止や生産減少の原因にもなっています。

人口およそ900万の東北部・吉林省の中心都市、長春では、3月11日から外出制限が始まり、1か月以上たった今も一部を除いて制限が続いています。

長春はトヨタ自動車の工場があるなど、自動車メーカーや関連企業が集積し、製造業が盛んな都市ですが、ほとんどの企業が操業停止を余儀なくされています。

現地にある日系の鋼材加工メーカーの社長を務める久間毅之さんによりますと、外出制限は、当日、急に当局から通知が来て始まったため何の準備もできず、生産が止まり、事務処理も滞ったということです。

17日から一部の従業員の出社が認められましたが、工場は当局が封鎖してセンサーを設置したため、仮に出勤すると処分を受けるおそれもあったということです。

また、住んでいるマンションからは外に出られない状況が続き、食品の購入もマンションを通じて週に1回だけで、野菜の価格は通常の3倍から4倍になっている上、一時は食品がなかなか手に入らず、生活面でも大きな負担を感じているといいます。

久間さんは「コロナそのものよりも政策によって生み出される恐怖に対して住民の心理的な負担が大きいと感じます。ゼロコロナ政策が厳しく取られる中で中国で事業を行うリスクが高くなっているようにも思います」と話していました。

中国での感染拡大をめぐっては、国際情勢を分析しているアメリカの調査会社が年初にことしの最大のリスクとしてゼロコロナ政策が失敗し世界経済が混乱する可能性をあげましたが、物流の混乱などによる部品不足から日本でも、一部の企業が工場を一時、停止する事態が起きていて、中国国外での影響も広がり始めています。

ウクライナ情勢受け原材料価格上昇 企業経営圧迫

中国では、景気減速が続くなか、高止まりしている原材料価格がウクライナ情勢を受けてさらに上昇し、中小企業などの経営を圧迫しています。

このうち南部の広東省東莞にある非鉄金属の部品メーカーでは、主力製品に使われるアルミニウムやすずの仕入れ価格が最高値を更新し続けています。

去年、世界経済がコロナ禍から急速に回復したことを背景に原材料価格が高騰した影響で去年1年間の利益は前の年と比べて1割ほど落ち込みました。

ことしに入ってからは価格はやや低下していましたが、ロシアのウクライナ侵攻以降、再び上昇に転じ、年末と比べると2割ほど上がっているということです。

現在は、アルミニウム1トンあたり2万2000人民元、日本円にして40万円余りとおととしの2倍近くに上っています。

このためメーカーでは一部の製品の価格を引き上げるとともに、付加価値が高く、利益の出やすい5Gや電気自動車などの部品の受注を増やすといった対応をとっています。

ただ、製品価格が上がることで、売り上げに応じて課される税負担が膨らむほか、値上げによって取引先が離れていく懸念もあり、経営をめぐる不透明感が増しているということです。

非鉄金属部品メーカーの索有喜副総経理は、「利益の少ない受注を減らして赤字になるリスクを避けながら品質を高め、付加価値の高い製品の受注を伸ばすしかない」と話しています。

中国では、企業が製品を出荷する際の値動きを示す「生産者物価指数」が、前月比で、3月まで2か月連続で上昇していて、国際的な原材料価格の上昇が企業経営の重荷となる懸念が広がっています。

国家統計局の報道官「経済の下押し圧力 強まっている」

新型コロナウイルスの感染拡大が中国経済に与える影響について、国家統計局の付凌暉報道官は、18日の記者会見で「感染拡大が広範囲にわたり頻繁に起きていることが経済運営への影響を大きくしている。小売りや飲食、旅行などの消費は減少し、関連産業に影響を与えると同時に、操業の停止や減産が行われ、物流も影響を受けていることが生産を制約している」と述べました。

また、ウクライナ情勢については「エネルギーや農産物の生産減少や輸出規制の強化をもたらし、世界の供給に影響を与える。需給がひっ迫し不確実性が高まっているため原材料価格が高い水準で変動する可能性が高くなる」と述べて影響に懸念を示しました。

そのうえで「外部の不安定さと不確実性が増していることや、国内の感染拡大など予想していなかった突発的な要因で経済の下押し圧力が強まっている。金融面での実体経済への支援とマクロ経済政策の実行力を強化する」と述べました。

専門家「“内憂外患” で日本へも影響」

中国経済に詳しい大和総研の齋藤尚登主席研究員は、中国経済の現状について「ゼロコロナ政策で新型コロナウイルスの感染を抑え込んできたのに、ここに来て上海などで感染の再拡大が起きた。さらにウクライナ情勢を受けてエネルギーや原材料価格が大きく上がるかもしれない状況に見舞われ、まさに“内憂外患”の状況だ」と述べました。

そのうえで「特に上海では現在もロックダウンを解くことが難しい状況で、3月よりも4月のほうが状況は悪くなっている。経済の下振れ圧力も4月のほうが大きいとみられる」として、ゼロコロナ政策による経済へのマイナスの影響を引き続き注視すべきだとしています。

また日本への影響については「ロックダウンで物流が滞ると非常に大きな影響が出てくる。例えば上海の場合、自動車産業やエレクトロニクス産業が集積しているため、日本の自動車メーカーの日本国内の生産が停止になったり、減産を余儀なくされたりする状況が起きてしまう」と指摘しました。

そして、中国のGDPの伸び率が1ポイント下がった場合、輸出の減少などを通じて日本のGDPの伸び率も0.2から0.3ポイント押し下げられるとの試算を示しました。

さらに、中国経済の先行きについて齋藤主席研究員は「ゼロコロナと経済の両立が難しい中、ゼロコロナを優先して傷の浅いうちに封じ込め、経済をもう一度活性化していく必要がある。早ければ5月、遅くとも6月にはコロナを抑え込み、景気を立て直していく政策に転換できるかどうかが大きなポイントになる」との見方を示しました。