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「帯状疱疹」コロナ禍で増えてる?症状・接種との関係は?

チクチク、ピリピリした痛みがして、体に帯状の発疹が出る。ズキズキしてきて、放っておくと重症化することも。帯状ほう疹です。

今、「コロナ禍で発症する人が増えている」と指摘する声があがっているほか、SNS上ではコロナワクチン接種との関係にも関心が高まっています。

本当に増えているの?ワクチン接種との関係は?

(ネットワーク報道部 馬渕安代 金澤志江 芋野達郎)

コロナ禍で増えている?

コロナ禍で帯状ほう疹が増えているのではないか。
SNS上ではこんな声があがっています。
「コロナで家族のこととか仕事とかストレスで帯状ほう疹になりました」

「皮膚科の看護師さんが今とても診察に来る人多いって言ってた」
先月、帯状ほう疹を発症したという茨城県に住む星野さん(43歳・女性)に話を聞きました。
星野さん
3月15日の午前4時、星野さんはわきの下の激痛で目が覚めました。

見てみると赤い発疹が3つできて、3センチほどに広がっていました。電気が走るようなしびれる痛みを感じ、手を上げることはおろか、体を動かすこともできません。

ふだんなら毎朝、別の部屋で寝ている4人の子どもたちを起こして回ります。しかしこの日は布団から出ることもできず、「起きてー」と大声で叫びました。

異常を察した夫と長女が、朝ご飯の準備など家事をしてくれたということです。

すぐに皮膚科を受診したところ「帯状ほう疹」と診断されました。痛み止めの薬を飲みましたが、けん怠感は1週間ほど続いたということです。
星野さん
あまりの痛みで記憶がないです…。
疲れやストレス、病気などで免疫力が低下すると発症するとされる帯状ほう疹。

思い当たることと言えば、子育てによるストレスでした。ちょうど地域でコロナの感染が広がっていた時期で、保育園に通っていた末っ子は自主休園させていました。
星野さん
小中学生の子どもたちも春休み中でしたが外出できず、ずっと自宅で子育てしなくてはいけません。さらに、東京に住む両親を呼んで助けてもらおうにも私は塾講師の仕事をしているので感染対策のためにはそれもできません。外食などで気分転換をすることもできませんでした。そういうことでストレスがたまっていったのだと思います。
コロナ禍になって帯状ほう疹の患者が増えていると感じるという医師もいます。茨城県古河市の皮膚科クリニック院長の生垣英之医師です。
生垣英之医師
生垣医師は「統計はとっていないので数値での比較はできない」としたうえで、特にコロナの感染が拡大して多くの人が重症化を心配していた去年の夏ごろに患者が増え、ことしになっても減っていないとしています。

さらに、発症する世代にも違いが出ていると感じています。
生垣医師
もともと帯状ほう疹は高齢者が多いと言われていますが、コロナ禍での特徴としては、中高生や大学生など若い世代の患者の比率が増えているようにも感じます。

診察の際、患者さんに免疫が下がることが原因だということを伝えると『コロナ禍でストレスがたまっている』と話す人も多いです。若年層では学校や部活動などの活動が制限され、ストレスがたまりがちなのも背景にあるかもしれないですね。

帯状ほう疹ってどんな病気?

帯状ほう疹とはどんな病気なのか、皮膚科の専門医で近畿大学医学部皮膚科学教室の大塚篤司主任教授に聞きました。以下、大塚教授の話です。
大塚篤司主任教授
チクチクした痛みに続き、体の右側か左側のどちらか一方に赤く小さな水ぶくれを伴う発疹が帯状に現れます。発疹は体の至るところに現れますが、最も多いのは胸から脇腹にかけてです。顔や目の周りに現れることもあります。

【原因は】
原因は、子どもがかかることが多い「水ぼうそう」と同じウイルスです。水ぼうそうは多くの場合1週間程度で治りますが、回復後もウイルスは体内からはなくならずに体の中に数十年以上潜みます。

そして、加齢や疲労、ストレスや病気などで免疫力が低下すると神経に沿って体の表面に現れ、帯状ほう疹を発症します。

【どんな人の発症が多い?】
患者は50歳以上の人が多く、高齢化が進むと発症率も上がります。また、糖尿病などの生活習慣病のある人や、関節リウマチなどで免疫の働きを抑える薬を使っている人、それにがんをわずらった人は免疫が低下しているため、帯状ほう疹を発症する可能性が高くなります。

どんな症状が出たら帯状ほう疹を疑えばいいの?

最初はズキンとした痛みやヒリヒリした痛み、チクチクした痛みを感じます。かゆみを伴う場合もあります。
軽症の患者 外山望医師より画像提供
痛みを感じて整形外科を受診し、レントゲン写真では異常がなく、あとからブツブツが出てきて帯状ほう疹だと分かるケースもあります。

初期症状の場合は、飲み薬を1週間程度服用することで治ります。

放っておくと重症化や後遺症も

ただ、放っておくと痛みが後遺症として残り、長いケースだと半年や1年以上続くことがあります。
中等症~重症の患者 外山望医師より画像提供
重症化した場合にはウイルスが脳まで広がり、まれにウイルス性の髄膜炎や脳炎を引き起こすこともあります。重症化した場合の治療は点滴で、1日3回薬を投与する必要性があります。

本当に増えてる?コロナ禍以前は増加傾向か

さて、本当にコロナ禍で帯状ほう疹は増えているのか。

厚生労働省に聞いてみましたが、「水痘」=水ぼうそうについては全国的な調査を行っているものの、帯状ほう疹については年間の患者数の全国的な統計データはないということです。

一方、調べてみると宮崎県内については帯状ほう疹のデータがあることがわかりました。調査をしている宮崎県日南市の皮膚科の外山望医師に聞きました。
外山望医師
外山医師は1997年から、宮崎県皮膚科医会に所属する医療機関から患者のデータを集めています。

その結果、まずコロナ禍の2019年までは患者数が年々増えていたことがわかっています。
1997年は4243人だったのが年々右肩上がりに増え、2019年には6948人と、20年余りで1.6倍以上になりました。

増加の理由について外山医師は(1)「高齢化」と(2)「水ぼうそうワクチンの定期接種」があると考えています。

それぞれの内容は以下のとおりです。
(1)高齢化
水ぼうそうは5歳までに85%の人がかかり、多くの場合1週間程度で治りますが、水ぼうそうのウイルスは体内からなくならず、加齢などで免疫の働きが低下すると、帯状ほう疹を発症します。

50歳以上の人が患者全体の7割を占めていて、高齢化が進むと患者の数も増えることになります。

(2)水ぼうそうワクチンの定期接種
帯状ほう疹の予防には、実は水ぼうそうのウイルスにある程度触れて、免疫を活性化させたほうがよいことがわかっています。これは「ブースター効果」と呼ばれています。

日本国内では2014年10月に水ぼうそうワクチンの定期接種が始まり、水ぼうそうを発症する子どもは減少しています。しかしそれに伴い20代から40代の親の世代が「ブースター効果」を得る機会も減りました。
これによって近年、子育て世代の患者数が多くなっているというのです。
一方で外山医師の調査では、コロナの感染拡大以降、宮崎県内の患者数は2020年には6853人、2021年には6469人と2年連続でやや減少に転じました。
外山医師
減少に転じた理由について分析中なのではっきりしたことは言えません。ただ「高齢化」と「水ぼうそうワクチンの定期接種」という状況は変わらないので、コロナ禍での受診控えが影響した可能性が考えられます。

コロナワクチンとの関係は?

「コロナ禍で帯状ほう疹の患者が増えている」との指摘については明確な統計はなく、宮崎県内でのデータではやや減っていて受診控えの影響も考えられるというところまでわかりました。

一方、SNS上では新型コロナウイルスのワクチンとの関係を知りたいという声もありました。
「因果関係は不明ですが、会社でコロナワクチン接種後に帯状ほう疹になった人がいました」

「接種後に帯状ほう疹になる人が多いと聞いたんだけど」
厚生労働省によりますと、帯状ほう疹はワクチン接種後に起きる副反応に現時点で含まれていないということです。

ホームページなどに掲載されている説明書にも、副反応についての項目には頭痛、けん怠感、発熱、ごくまれなケースとして血栓症などを発症した例が海外で報告されているという記載はありましたが、帯状ほう疹については書かれていません。
近畿大学医学部の大塚教授は海外の研究データにも触れたうえで、関係ははっきりわかっていないと話しています。
大塚教授
「スペインの論文では新型コロナウイルスのワクチンを接種した人のうち10%程度が帯状ほう疹の原因となるウイルスが再活性化したという報告がありました。ただ、帯状ほう疹がワクチンの副反応によるものなのか、たまたま何かが重なっているのかは分かっていません」

予防するにはどうすれば?

さまざまなデータを見てきましたが、ここまでくると一番知りたいことは「どうすれば予防できるの?」だと思います。特に一度発症した経験があってあの痛みや辛さを知る人にとっては今後の予防策は切実です。

その予防策、発症率が高くなる50歳以上については、任意のワクチン接種があります。

2種類あって、ひとつは「不活化ワクチン」。
もうひとつは子どもが接種する水ぼうそうのワクチンと同じ「生ワクチン」です。

いずれも帯状疱疹の診察や治療を行う皮膚科の医療機関では行っているところがあるので問い合わせてほしいとしています。
大塚教授
効果が高いのは『不活化ワクチン』です。『不活化ワクチン』は2回の接種が必要ですが、費用は1回あたり2万円程度と高額です。自治体によっては補助を行っている地域もあるので、医療機関でワクチンの取り扱いがあるかを確認するとともに、自治体のホームページなどで補助についても確認をすることをお勧めします。
一方で、ワクチン接種の対象になっていない50歳未満の人たちの予防についても聞きました。
これをしたら絶対に予防できるというものは残念ながらありませんが、免疫機能が低下する時に発症する病気なので、規則正しい生活を送る、睡眠や食事をしっかり取るといった基本的なことを心がけることが大事だと思います。

規則正しい生活を 発症してしまったら早期治療を

帯状ほう疹、本当に身近な病気です。

取材班の記者・デスク4人のうち半数の2人は自身がかかったことがあり、もう1人も家族にかかった経験がありました。

このうち記者の馬渕は10年前、右の後頭部に帯状ほう疹が出ました。それまで感じたことがない頭痛に、首の後ろ側にできたしこり。すぐ総合病院にいきましたが、原因はわかりませんでした。

2日後、首の後ろ側に発疹ができたのを見つけて皮膚科のクリニックに駆け込み、すぐに治療薬を処方してもらったおかげで痛みは徐々になくなり、後遺症はありません。

実は皮膚科に急いだのは、その数か月前に帯状ほう疹を経験した母の話を聞いていたからでした。母の場合は、虫刺されだと思って痛みに耐えながら3週間ほど放置してしまい治療が遅れました。その結果、10年以上たった今も後遺症のしびれが残っています。早期治療が本当に大切な病気です。

コロナ禍の今、私たちは気付かないうちにいつも以上にストレスをため込んでいます。もしもピリピリした痛みがして、体の片側に原因不明の発疹ができたら…帯状ほう疹を疑ってみてください。

でもそれ以上に大切なのは、食事や睡眠をしっかりとっての規則正しい生活。どんな病気を防ぐのにも大切なことですが、健康維持に「秘策」なしと思って、まず自分自身の生活を見直してみたいと思います。

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