震度6強の地震から1か月 被災者用住宅の確保課題 福島

福島県と宮城県で最大震度6強の揺れを観測した地震から16日で1か月です。

福島県内では被害を受けた住宅が1万棟を超えましたが、避難所に身を寄せている人はわずかで、防犯面の不安などさまざまな事情からやむをえず危険な状態の自宅に住み続けている人もいます。

先月16日の深夜、福島県沖を震源とするマグニチュード7.4の地震があり、福島県と宮城県で最大震度6強の揺れを観測しました。

このうち福島県内では1人が死亡、101人が重軽傷を負い、県内の自治体の63%に当たる37市町村で住宅被害がありました。

自治体の調査が徐々に進み、被害を受けた住宅は全壊73棟、半壊999棟、一部破損1万512棟の合わせて1万1584棟と、この2週間余りで4.6倍に増えました。

被害が大きかった地域では申請件数の半分ほどしかり災調査が終わっていない自治体もあることから、住宅被害の数はさらに増えるとみられます。

震度6強の激しい揺れを観測した相馬市は特に被害が深刻で、15日時点で、14世帯19人が避難所に身を寄せていますが、防犯面の不安などさまざまな事情から、やむをえず危険な状態の自宅に住み続けている人もいます。

相馬市では自宅が被害を受けた人への市営住宅の提供がいまだに始まっておらず、被災者から生活再建への不安の声が上がっています。

やむをえず被災した自宅にとどまる人も

先月の地震で震度6強の激しい揺れを観測した福島県相馬市では、建物全体がゆがみ、ドアや窓の開け閉めができなくなってしまったため、防犯上の不安などから、やむをえず被害を受けた住宅に住み続けている人がいます。

このうち尾浜地区の竹口敬子さん(73)の自宅は玄関の引き戸が開きにくくなったうえ、家じゅうの窓が施錠できなくなってしまいました。

竹口さんは「り災調査の結果はまだ出ていませんが、建物の基礎の周りに地割れが起きているので、建物自体も損傷しているのではないかと思います。家の中は壁がはがれてしまい、ひどい状態ですが、鍵が閉まらず、盗もうと思えば何でも盗める状態なので、長時間家を空けることはできません」と話していました。

地震が起きたあと被災地では、警察などが不審者に注意するよう呼びかけていて、竹口さんは「先日、うちにもボランティアを名乗る見知らぬ人が突然訪ねてきました。貴重品だけでも持ち出して市営住宅などに移り住みたいですが、まだ入居できるか分からないので、しばらくはこの家に住み続けるしかありません」と話していました。

避難所生活のつらさ忘れられず

福島県相馬市尾浜地区の菊地美江子さん(78)の自宅は震度6強の激しい揺れを観測した先月の地震で被害を受け、基礎と建物がずれて隙間が空いてしまいました。

建物全体がゆがんだため、玄関のドアや居間の窓と壁の間にも隙間ができていて、室内に風が吹き込んできてしまいます。

菊地さんは「垂直に立っている柱は1本もなく、風が吹くと『ミシッ』と音がして怖いです。床も波打っているようで、どこにいても安心できず、夜も眠れません。家を調査した保険会社の担当者に『この家は住めません。今度大きな地震が来たら倒壊しますよ』と言われました」と話していました。

しかし足が不自由なうえ、東日本大震災で経験した避難所生活のつらさが忘れられない菊地さんは避難所に身を寄せることもできず、今もこの家に住み続けています。

菊地さんは「先日、ある人に『もう疲れたから死にたい』と言ったら、『何考えているの』と叱られましたが、こんな生活はもう疲れました。とにかく落ち着いて住める場所が欲しい、ただそれだけです。ほかに望みは何もないです」と話していました。

被災者用住宅の確保難航

竹口さんも菊地さんも生活再建のため、安全でプライバシーが保たれる市営住宅への入居を希望していますが、相馬市がこれまでに確保できたのは41戸と、入居希望70件の6割ほどにとどまっています。

市は限られた住宅を被害の大きさや被災者の年齢など考慮して、より必要性の高い人に割り当てる方針で、まだ入居が決まった人はいません。

相馬市の石原佳樹建設部長は「多くの市民が困っていることは把握しているが、限られた市の資産を公平・公正に提供していくため、優先順位を考えながら判断していかなければならない。非常に大きな災害で線引きが難しく、もどかしさもあるが、その中で合理的に判断していくしかない」と述べました。

そのうえで、「市営住宅の提供のほか、家賃補助や県が管理する住宅の提供などの支援も考えている。市民が1日でも早く安全な日々を取り戻せるよう適切な措置を講じていきたい」と話していました。