“ロシア 米へ外交文書で軍事支援やめるよう警告” 米メディア

ウクライナへの侵攻を続けるロシア軍は、東部の要衝マリウポリへの攻勢を強めるとともに、首都キーウ近郊をミサイルで攻撃し、今後、攻撃を増やすことも辞さないとしています。

こうした中、ウクライナのゼレンスキー大統領は欧米など各国のいっそうの支援が必要だという認識を示しましたが、アメリカのメディアは、ロシアがアメリカへの外交文書でウクライナへの軍事支援をやめるよう警告したと報じています。

マリウポリの掌握に向け攻勢を強める

ウクライナへの侵攻を続けるロシア軍は、東部の要衝マリウポリの掌握に向けて攻勢を強めています。

ロシア国防省は15日、マリウポリでウクライナ側が拠点としていた工場を新たに掌握したと主張し、ウクライナ国防省も、ロシア軍が爆撃機などでマリウポリを空爆し続け、さらに地上部隊が港を掌握しようとしていると発表しました。

さらに、ロシア国防省は15日、首都キーウの近郊でウクライナ軍の軍事施設を巡航ミサイルで破壊したと発表しました。

ロシア側は、ウクライナと国境を接するロシア西部の町などがウクライナ軍の攻撃を受けていると主張していて、ロシア国防省のコナシェンコフ報道官は「ロシア領土へのテロ攻撃や破壊活動に応じ、キーウへの攻撃の回数と規模が増していく」と警告しました。

ウクライナ側はロシア領内への攻撃を否定しています。

また、ロシアが併合したウクライナ南部クリミアでは、ロシア側が火災のあと沈没したと発表した黒海艦隊の旗艦「モスクワ」をしのぶ式典が15日、行われました。

「モスクワ」について、アメリカ国防総省の高官はNHKの取材に対し、ウクライナ軍の巡航ミサイル「ネプチューン」2発の攻撃を受けたことを確認したと明らかにしました。

ロシアがアメリカに外交文書送り警告

こうした中、アメリカの複数のメディアは、ロシアがアメリカに外交文書を送り、ウクライナへの軍事支援について「予見できない結果をもたらす」として、やめるよう警告したと報じました。

一方、アメリカの有力紙ワシントン・ポストは複数の関係者の話として、ゼレンスキー大統領がアメリカのバイデン大統領と行った電話会談で、ロシアをテロ支援国家に指定するよう要請したと報じました。

バイデン大統領は、具体的な対応については言及しなかったとしていますが、ウクライナとロシアの両国とも戦況を有利に導こうと、国際社会への働きかけを続けていると見られます。

ゼレンスキー大統領 東部や南部「非常に困難な状況だ」

ウクライナのゼレンスキー大統領は、15日に公開したビデオメッセージで、ロシア軍が攻勢を強めている東部や南部について「非常に困難な状況だ」としたうえで「ロシア軍は残酷な行為で東部のドンバス地域やハルキウ州などを征服しようとしている。こうした残酷な行為はロシアでは尊ばれているのかもしれないが、ウクライナではさげすまれ、必ず罰せられているものだ」と非難しました。

また「南部ヘルソン州や南東部ザポリージャ州の占領されている地域では、ロシア軍が市民を脅かし続けている。彼らはウクライナ軍や政府機関と関わったことのある人たちを探し出せば地域を掌握しやすくなると考えているが、ロシア軍を受け入れていないのは一部ではなく、すべてのウクライナ人だ。ロシアはウクライナ、そして全世界を永遠に失ったのだ」と述べました。

そのうえで「私たちが要求している武器をより多く、より早く手に入れられれば、立場はいっそう強固になり、平和が早く訪れる。民主主義の国々が、ロシアからの石油の輸入禁止や金融部門の完全な封鎖が平和に向けて必要なものだと早く認識すれば、戦争はそれだけ早く終わる」と述べ、欧米など各国のいっそうの支援が必要だという認識を示しました。