旭川 女子生徒死亡 第三者委員会が会見 いじめの詳細明らかに

去年、北海道旭川市の雪の積もった公園で女子中学生が死亡しているのが見つかった問題で、市教育委員会の第三者委員会が15日会見を開き、中間報告でいじめと認定した詳しい内容を明らかにしました。性的な行為の要求や繰り返しおごらせる行為など、数多くのいじめが認定され、市の教育長が謝罪しました。

去年3月、旭川市の中学2年生だった廣瀬爽彩さん(当時14)が雪の積もった市内の公園で死亡しているのが見つかり、市教育委員会の第三者委員会は、関係する生徒や教職員への聞き取りなどをもとに、先月27日、爽彩さんに対して6つの項目でいじめが認定されたとする中間報告を遺族側に伝えました。

第三者委員会の辻本純成委員長は15日午後、会見を開き、性的な行為の要求や繰り返しおごらせる行為など、中間報告で認定した数多くのいじめの詳しい内容を明らかにしました。

それによりますと、3年前の4月、爽彩さんが中学校に入学後、知り合いになった上級生の男子生徒3人とオンラインゲームをする際、3人からグループ通話で性的な話題を繰り返され、4月中旬か下旬ころ、このうちの1人に公園で体を触られたということで、こうした行為が1つ目の項目のいじめにあたると認定されました。

そして、4月から5月にかけての連休中の深夜3時ごろ、上級生の男子生徒3人と公園に集まる話になり、爽彩さんが約束を守るため自宅を出て母親に連れ戻された一方、3人は結局外出せず、それを爽彩さんにも伝えていなかったということでこうした行為が2つ目の項目のいじめにあたると認定されました。

その後、5月中旬から6月中旬とされる期間、上級生の女子生徒が爽彩さんと公園で会うと頻繁に菓子や飲み物の代金をおごらせていたということで、3つ目の項目のいじめにあたると認定されました。

この間の6月3日、別の中学校に通う上級生の男子生徒が爽彩さんとLINEでやりとりをした際、4時間半にわたってほぼ一貫して性的な行為の動画送信を求め続けたということで、4つ目の項目のいじめにあたると認定されました。

この男子生徒は送信された画像を別の生徒に送信したり、受け取った生徒がまた別の生徒に見せたりしたということで、これについてはいじめとは認定されないものの、「いじめと同様に考える必要がある」としています。

さらに、6月15日、爽彩さんの中学校と別の中学校の2つの学校の合わせて男女5人の上級生の生徒は、嫌がる爽彩さんに自分で性的な行為を行うよう繰り返し求めたり、それを止めようとしなかったりしたということで、一連の行為が5つ目の項目のいじめにあたると認定されました。

そして、6月22日、動画の送信を要求したとされる上級生の男子生徒が、公園で爽彩さんをからかい続けたほか、爽彩さんが「もう死にます」と言ったのに対し、おごらせていたとされる上級生の女子生徒が「死ぬ気もないのに死ぬとか言ってんじゃないよ」などと突き放すような不適切な発言をしたということでこれらの行為が6つ目の項目のいじめと認定されました。

爽彩さんはこのあと、雨で増水した川に入り、引き上げられたあとも「死にたい」と繰り返してパニックになり、その後入院しました。

教育長「ご遺族に深くおわび申し上げます」

会見に出席した旭川市教育委員会の黒蕨真一教育長は、当時、関係する生徒に踏み込んだ聞き取りが足りなかったとしたうえで、「教育委員会として大変重く厳粛に受け止めており、当時、いじめの認知に至らなかったことをご遺族に深くおわび申し上げます」と謝罪しました。

第三者委員会の辻本委員長は、「調査に長い時間がかかったという指摘があるが、委員会としては最善を尽くしてきた。ご遺族に寄り添うことを心がけてきたが、結果的に不十分であれば最終報告に向けて埋めていきたい」と述べました。

第三者委員会は今後、▽爽彩さんが亡くなったいきさつ、▽学校や市教育委員会の対応、▽それに再発防止策について調査を進め、最終報告をことし8月末をめどにとりまとめることにしています。

爽彩さんの母親のコメント「命の重さを感じてほしい」

第三者委員会の会見のあと、遺族側の代理人の弁護士が記者会見し、爽彩さんの母親のコメントを読み上げました。

このなかで母親は、「ようやくいじめが認定されました。今も心が折れそうになることがあり、この1年はずっとその繰り返しでした」と今の心境を明らかにしました。

また、学校や教育委員会が相談を受けてからおよそ3年間いじめを認定してこなかったことについて、「学校は誰が見てもいじめだとわかる状況だったのに、なぜ、『いじめではない』と断言できたのか今でも疑問です。娘が苦しんでいるのをずっと目の前で見てきて、亡くなる直前まで苦しんでいたあのときの姿を思い出すと、本当につらくて、つらくて、涙がこぼれてきます。あのとき、いじめだと認めてほしかった」と対応に疑問を投げかけています。

そのうえで加害者側に対し、「いじめは人の命を奪う恐ろしいものだということを加害生徒たちは自覚して、命の重さを感じてほしいと願っています」と、訴えました。

遺族側の代理人弁護士「教育者としての責任感見いだせない」

第三者委員会の会見のあと、遺族側の代理人の弁護士が会見しコメントを発表しました。
この中では、はじめに中間報告の内容について「遺族が主張するいじめが幅広く認められたものと受け止めている」としています。

一方、学校や教育委員会の対応について「なぜ、いじめの認定をかたくなに避け続けたのか、なぜ爽彩さんの命を救うことができなかったのか、その責任を厳しく問われなければならない。当然のことを認定するまでどうして3年もの期間を要したのか理解に苦しみ、早期発見、早期対応とはかけはなれた学校の姿勢には、子どもの命や健康を守り抜く教育者としての責任感、使命感を見いだすことはできない」と厳しく批判しました。

そのうえで、教職員に対し、「いじめ被害の早期発見、早期対応を徹底していれば、爽彩さんはことし3月、中学校を卒業していた。どうして爽彩さんはたった1人の卒業式を迎えなければならなかったのか教壇に立つ教職員の皆さんに、自分の問題として胸に刻んでほしい」と呼びかけています。

遺族側は今回の中間報告では遺族の声が反映されていない部分もあるほか、いじめの認定で重要な被害者の受け止めに関する事実認定が欠けているなどとする「所見」を第三者委員会へ提出する方針だということです。