国連安保理 常任理事国拒否権行使 説明義務づける決議案提出へ

国連の安全保障理事会でウクライナをめぐる決議案がロシアの拒否権によって否決されたことを受け、安保理の機能不全が指摘される中、今後、常任理事国が拒否権を行使した場合、国連総会で理由を説明することを義務づける決議案が、近く提出されることになりました。

この決議案は、ヨーロッパのリヒテンシュタインが取りまとめているもので、安保理で常任理事国が拒否権を行使した場合、10日以内に国連総会の会合を開き、拒否権を行使した理由を説明することを義務づけるとしています。

リヒテンシュタインの国連代表部によりますと、すでに40か国以上が共同で決議案を提案する意向を示していて、来週にも国連総会に提出するということです。

決議案についてアメリカのトーマスグリーンフィールド国連大使は声明を発表し、共同提案国に加わったことを明らかにしたうえで「常任理事国の説明責任や透明性に向けた重要な一歩になる」と評価しました。

安保理ではことし2月、ロシアに対してウクライナからの軍の即時撤退などを求める決議案がロシアの拒否権によって否決されました。

安保理が機能不全に陥っていると指摘される中、今回の決議案が常任理事国による拒否権の行使に歯止めをかけることにつながるのか、注目されます。

松野官房長官「共同提案国になること決定」

松野官房長官は、午後の記者会見で「政府としては、従来、常任理事国による拒否権の行使は最大限自制されるべきと考えている。こうした観点から岸田総理大臣の指示により、わが国として本決議案の共同提案国になることを決定した。本決議案の採択に向けた動向を関心を持ってフォローしていく考えだ」と述べました。

そのうえで「わが国は安保理をこの時代にふさわしい組織とするべく、長年改革の必要性を訴え、積極的に活動してきた。各国の複雑な利害が絡み合う安保理改革は決して簡単ではないが、岸田政権のもと引き続き多くの国々と協力し、日本の常任理事国入りを含む安保理改革の実現に向け、リーダーシップをとっていく考えだ」と述べました。