ロシア軍「マリウポリでウクライナ兵1000人超が投降」と主張

ロシア軍はウクライナ東部への攻勢を強め、要衝マリウポリではウクライナ軍の兵士1000人以上が武器を捨てて投降したと主張するなど、戦闘を優位に進めていると強調しています。
これについて、ウクライナ国防省の報道官は「そうした情報はない」としています。

また、停戦交渉について、プーチン大統領は現時点では停戦に応じない構えを示し、ウクライナ代表団も「極めて難しい」と発言するなど困難な状況に陥っています。

ウクライナ国防省は投降について「そうした情報はない」

ロシア国防省は13日、ウクライナ各地をミサイルなどで攻撃し、東部ハルキウ州にあるウクライナ軍の施設を破壊したなどと発表しました。

また、国防省のコナシェンコフ報道官は、東部の要衝マリウポリについて、ロシア軍と親ロシア派の武装勢力の攻撃によって、ウクライナ軍の兵士1000人以上が武器を捨てて投降したと主張し、マリウポリの掌握に向け、戦闘を優位に進めていると強調しています。

一方、これについて、ウクライナ国防省の報道官は「そうした情報はない」としています。

ロシア軍の動きについて、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は、12日の分析で、首都キーウ周辺から撤退した部隊がウクライナ東部との国境に近いロシア西部のベルゴロドなどに移り、立て直そうとしているものの、戦闘再開に向けてウクライナに再び投入されるには至っていないとしています。

これについて、ウクライナ側の分析として、ロシア軍の兵士の士気が下がっているという見方も示しています。

また、イギリス国防省は、13日、ロシア軍によるウクライナでの軍事作戦で、南部軍管区のトップ、ドボルニコフ司令官が新たに指揮をとることになったと伝えられたことについて、戦況を打開するため、指揮統制の一元化を目指し、東部での作戦を再検討するねらいがあると指摘しています。

一方、双方の停戦交渉について、ロシアのプーチン大統領は、12日の会見で「ウクライナが合意から後退し、こう着状態に陥った」と非難したうえで「目的が達成されるまで軍事作戦は継続する」と述べ、現時点では停戦に応じず、軍事侵攻を続けていく考えを強調しています。

また、ウクライナ代表団のポドリャク大統領府顧問も12日、交渉は作業部会のレベルでオンライン形式で続いているとする一方で「協議の進展は極めて困難だ。感情的な背景があって難しい」と述べ、停戦交渉は厳しい状況に陥っています。

ロシア軍 ドンバス地域での新たな軍事作戦展開か

人工衛星を運用するアメリカの企業「マクサー・テクノロジーズ」は、ロシア軍の車両などがロシア西部からウクライナ東部にかけて展開している様子を捉えた衛星画像を公開しました。

この企業は、ロシア軍がウクライナ東部のドンバス地域での新たな軍事作戦に向けた備えを進めているとみられると分析しています。

衛星画像などでは今月11日、ロシア西部、ベルゴロド州のソロティからウクライナの国境に向かう幹線道路などで、軍用の車両やテントが展開されているのが捉えられたとしています。

また、今月12日、ウクライナ東部のハルキウ州のビリフワトカ付近の幹線道路では、ロシア軍の数十の車両が連なっている様子が確認されたとしています。

「マクサー・テクノロジーズ」は、撮影された衛星画像からは戦車なども含まれていることが確認できるとしていて、ロシア軍がドンバス地域での新たな軍事作戦に向けた備えを進めているとみられると分析しています。

「マクサー・テクノロジーズ」は、このほかロシア軍による激しい攻撃が続くウクライナ東部・マリウポリで、建物から出ている煙や炎が確認できるとする画像や、ロシア軍のものとみられる補給などのための拠点がウクライナ南部やクリミアに設置され、マリウポリなどでの作戦の支援に活用されている可能性があるとする分析を、衛星画像とともに明らかにしています。