中国 上海 感染者が最多更新 厳しい外出制限で不満も高まる

新型コロナウイルスの感染拡大で厳しい外出制限が続く中国の上海では、12日の一日の感染者数が2万6000人余りに上り、過去最多を更新しました。
上海市当局は、外出制限を緩和する措置を始めていますが、対象者は全体のおよそ2割にとどまり、食料などの調達が難しくなる中、市民の不満が高まっています。

中国の上海では、新型コロナウイルスの感染者が12日、無症状の人を中心に2万6330人確認されました。

一日の感染者数は11日、前の日に比べて11日ぶりに減少しましたが、12日は再び増加し、過去最多を更新しました。

上海市当局は、厳しい外出制限を行う一方で、直近の14日間に感染者が確認されなかった地区では範囲を限定するなどし、外出を認める措置を始めています。

ただ、12日午前の時点で住宅の敷地内から出られないなど外出が制限されている人はおよそ1680万人だった一方、制限が緩和された人はおよそ480万人と、全体のおよそ2割にとどまっているとしています。

さらに市の当局は、制限が緩和された地区についても不要不急の外出を控え、主に住宅の敷地内で行動するよう呼びかけています。

上海では、食料などの生活物資の調達が難しくなっていて、市の共産党トップが視察中に市民から批判されたとする動画がSNS上に拡散するなど市民の不満が高まっています。

外出制限が続く地区では食料購入できない厳しい状況も

上海西部のマンションに住む30代の中国人男性は、別の棟で新型コロナの感染者が確認されたことから、市の当局が全域で段階的に厳しい外出制限を始める以前の先月中旬から外出できない状態が断続的に続いています。

今月1日から西部で外出制限が始まる前に食料などの生活物資をまとめ買いしようとしたものの売り切れが相次ぎ、調達できませんでした。

今月初めに1度だけ当局から食料の支給がありましたが、現在は卵1つとビスケット1箱しか残っておらず、食料はほぼ底をついているということです。

男性は先月転職して、新しい職場で働く予定でしたが、外出制限で出勤できず収入のめどが立っていないということです。

男性は「食料を買いたいが値段が通常の倍以上になっていて、配達料も高騰して調達することができない。希望も何もない。とにかく早く外出できるようにしてほしい」と訴えていました。

NHKカメラマン居住のマンションでは敷地内限定で外出認められる

上海西部にあるNHKのカメラマンが住むマンションでは、12日から敷地内に限定して外出が認められ、久しぶりに外に出て散歩や縄跳びをして体を動かす人や元気に走り回る子どもたちの姿が見られました。

しかし、マンションの敷地の出入り口には外出を制限するためのロープが張られたままとなっています。

出入り口に設けられた住民が注文した生活物資を受け取るための棚には荷物がほとんど届けられておらず、周辺のスーパーやコンビニエンスストアも閉まったままで、厳しい外出制限の影響で人や物の動きが滞っている様子がうかがえます。