プーチン大統領の作戦継続発言 ゼレンスキー大統領は強く非難

ロシア軍がウクライナ東部を中心に空爆を続けるなど攻勢を強める中、プーチン大統領が現時点では停戦に応じず、軍事侵攻を続けていく考えを強調したことについて、ウクライナのゼレンスキー大統領は「自国の兵士の多くの命を犠牲にする計画を誰が承認するのか」と強く非難しました。

プーチン大統領「目的達成されるまで軍事作戦は継続」

ロシア軍は、ウクライナ東部を中心に空爆を続けるなど攻勢を強めていて、アメリカ国防総省の高官は12日、ロシア軍が軍事侵攻を開始して以降、これまでに1540発以上のミサイルを発射したと指摘し、ウクライナ東部への重点的な空爆を続けているとの見方を示しました。
また、ウクライナに投入されているロシア軍の戦力について、侵攻を始める前と比べて80%余りに低下したと推定されるものの、東部ハルキウ州にあるイジュームの北側およそ60キロの地点では、部隊への補給などを目的としたロシア軍の車列が確認できるとしています。
こうした中、ロシアのプーチン大統領は12日、ロシア極東で行ったベラルーシのルカシェンコ大統領との首脳会談のあと会見し、ウクライナと行っている停戦交渉について「ウクライナが合意から後退し、こう着状態に陥った」と非難しました。

そのうえで「目的が達成されるまで軍事作戦は継続する」と述べ、現時点では停戦に応じず軍事侵攻を続けていく考えを強調しました。

これに対し、ウクライナのゼレンスキー大統領は13日に公開したビデオメッセージで「このような作戦を世界の誰も理解することができない。わずか1か月余りで自国の兵士の多くの命を犠牲にする計画がどうしたら出てくるのか。誰が計画を承認するのか」と強く非難しました。

一方、東部の要衝マリウポリでロシア軍が有毒物質を使った攻撃を行ったという情報があることについて、アメリカ国防総省の高官は12日に「現時点で化学物質の使用について確認できておらず今も評価を続けている」と述べ、状況を注視していく考えを示しました。

また、OPCW=化学兵器禁止機関の報道官も12日、声明を出し「ウクライナの状況を注視しており、マリウポリでの化学兵器の使用に関して、メディアで伝えられた未確認の情報について懸念している」として、今後も状況を監視していくとしています。

松野官房長官「ロシアの責任 厳しく問われなければならない」

松野官房長官は、午前の記者会見で「プーチン大統領の発言は承知しているが、コメントは差し控えたい。わが国はロシア軍によりウクライナで多くの市民が犠牲になっていることを極めて深刻に受け止めている。こうした残虐な行為の真相は明らかにされ、ロシアの責任は厳しく問われなければならない」と述べました。

そのうえで「一刻も早くロシアの侵略をやめさせ、撤退させるため、引き続きG7=主要7か国を含む国際社会と連携して適切に対応していく」と述べました。

また、記者団から「プーチン大統領は経済制裁に対して強気な姿勢を示したが、日本の経済制裁の効果は」と問われたのに対し「経済制裁の効果が出るまでは一般に一定の時間を要すると考えられるが、物価の上昇や外国企業の撤退、操業停止など、すでにロシア経済にさまざまな影響が出ている。引き続きG7をはじめとする国際社会と連携し、ロシアに対する外交的、経済的圧力を強化し、強固な制裁を講じていく」と述べました。