“まさにマリウポリに地獄が存在” 市長が被害の実態明らかに

ウクライナ東部の要衝マリウポリの市長がNHKとのインタビューで、ロシア軍の攻撃による市民の犠牲は2万人を超えたと、深刻な被害の実態を明らかにしました。

ボイチェンコ市長は11日、NHKのオンラインインタビューに応じ「侵攻するロシア軍の兵力が防衛している私たちの兵力を明らかに上回っている。これまで46日間、マリウポリを防衛してきたが非常に困難な状況だ」と戦局の厳しさを語りました。

そして「ロシア軍とウクライナ軍の支配地域の割合は60対40、あるいは50対50で推移している」と述べ、各国にすみやかな軍事支援を訴えました。

ボイチェンコ市長によりますと、マリウポリでは先月21日から市街戦が始まり、戦闘の巻き添えになる市民が急増したということです。

市長は「先月21日の時点で市民の犠牲者は5000人以上と確認した。大統領も述べているように、今では2万1000人の市民が殺害された」と述べました。

この数は軍事侵攻前のマリウポリの人口のおよそ5%にあたり、ボイチェンコ市長は「まさにマリウポリには地獄が存在した」と述べたうえで「ロシアはウクライナで戦争犯罪を犯しており、ウラジーミル・プーチンは指令を出した戦争犯罪者だ」と非難しました。

また、今もおよそ12万人が市内にとどまっていると明らかにし「市民全員を安全な場所に避難させることが必要だ。しかし、ロシア軍は避難しようとする市民に対して検問所で市内に戻るよう命令している」と述べ、ロシア軍が市民の避難を妨害していると批判しました。

そのうえで今後の戦いについては「領土も市民もロシアに渡すつもりはない。悪は罰せられるべきだ。われわれが攻勢に移るとき、ロシア軍はわれわれの士気と勇気を知ることになるだろう」と述べ、徹底抗戦の構えを改めて示しました。