米政府 上海総領事館の職員などに退避命じる コロナで外出制限

中国の上海で新型コロナウイルスの感染拡大による厳しい外出制限が続く中、アメリカ政府は上海の総領事館の職員やその家族などに対して、現地からの退避を命じました。

中国の上海では、新型コロナウイルスの感染者が11日、無症状の人を中心に2万3342人確認され、10日と比べて減ったものの、依然として一日当たりの新規感染者は2万人を超えています。

こうした中、中国にあるアメリカ大使館は、上海の総領事館の職員やその家族について、緊急の業務などがない人は、現地からの退避を命じたと発表しました。

命令は、11日付けで「アメリカの市民の安全と安心に勝る優先事項はない」としています。

アメリカ大使館は今月9日、上海の総領事館の職員やその家族などが希望すれば退避を認めたことを発表していましたが、その後も感染の拡大が続く中、命令に格上げした形です。
中国に駐在するバーンズ大使はこれまでも、中国政府に対し、厳しい外出制限を含む感染対策について繰り返し懸念を表明し、今回の退避命令についてもすでに通知したとしています。

中国外務省は、アメリカが希望者の退避を認める措置をとった時点で「中国の感染対策を理由もなく非難している」などと反発しており、今回の措置を受けてさらに反発を強めるとみられます。

中国外務省「退避を政治問題化したことに強烈な不満 断固反対」

中国外務省の趙立堅報道官は12日の記者会見で、中国の感染対策は科学的かつ、効果的なものだと強調したうえで、「アメリカが、総領事館職員の退避を政治問題化したことに強烈な不満を表明し、断固反対する」と反発し、アメリカ側に厳正な申し入れを行ったことを明らかにしました。

そして、「アメリカは中国の感染状況を政治的にもてあそんだり、中国を中傷したりすることを直ちにやめるべきだ」と述べました。