“市内の犠牲者は2万人超か” ウクライナ東部 マリウポリ市長

ロシア軍がウクライナ東部への攻勢を強める中、東部の要衝マリウポリの市長がNHKの取材に応じ、市内の犠牲者は2万人を超えるとみられるという深刻な被害の実態を明らかにしました。

ウクライナ国防省は、その東部でロシア軍が、まもなく大規模な攻撃を始めるという情報があるとして警戒を強めています。

ウクライナへの侵攻を続けるロシア軍は東部への攻勢を強めていて、ロシア国防省は11日、東部ドネツク州の各地を攻撃し、極超音速ミサイルだとする「キンジャール」を使ってウクライナ軍の司令部施設を破壊したと発表しました。

こうした中、東部の要衝マリウポリのボイチェンコ市長が11日、NHKのインタビューに応じ、ロシア軍の攻撃による市内の犠牲者は2万人を超えるという見方を示しました。

これはマリウポリの人口のおよそ5%に当たりボイチェンコ市長はさらに、10万から12万人の市民が今も避難できずにいると明らかにしたうえで、「ロシア軍はバスや車が市外に出るのを認めず、検問所では市内に戻るよう命令している」と述べ、ロシア軍が市民の避難を妨害していると批判しました。

マリウポリについて、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は10日、ロシア軍によって市内が分断され、ウクライナ軍が孤立しているという分析を明らかにしました。

11日には、親ロシア派の武装勢力の指導者プシリン氏が「マリウポリの港を完全に掌握した」と宣言し、ロシア軍が支配地域を拡大しているとみられます。

ウクライナ国防省の報道官は11日「敵は、ウクライナ東部への攻撃準備を ほぼ完了させ、攻撃はまもなく始まるだろう。これは欧米側の情報に基づくものだ」と述べ、ロシア軍が近く東部で大規模な攻撃を始めるという見方を示しました。

そして「ウクライナ軍は準備ができている」と述べ、徹底抗戦する構えを強調しました。
これに対し、ロシアのラブロフ外相は11日、国営テレビのインタビューで「ウクライナ側との停戦交渉で最終的な合意にいたるまで、軍事作戦を中断することはない」と述べ、攻撃を続ける意向を示しました。
またロシア大統領府は、プーチン大統領が12日、ロシア極東のアムール州にあるボストーチヌイ宇宙基地を訪れ、航空宇宙関係の行事に出席するとともに、同盟関係にあるベラルーシのルカシェンコ大統領と会談する予定だと発表しました。

ベラルーシ政府は、両首脳がウクライナ情勢や経済制裁について協議するとしていて、欧米側に対抗するための結束を確認するものとみられます。