ロシア軍 ウクライナ東部へのミサイル攻撃強める

ロシア軍は、ウクライナ東部で、ヨーロッパから供与された地対空ミサイルシステムを破壊したと発表するなど、東部を中心にミサイルでの攻撃を強めています。

一方、プーチン大統領は11日、軍事侵攻後、EU=ヨーロッパ連合の首脳では初めてオーストリアの首相をモスクワに招いて会談し、対話を拒まない姿勢も示しています。

ロシア国防省は11日、東部のドニプロペトロウシク近郊を巡航ミサイル「カリブル」で攻撃し、ウクライナ軍の地対空ミサイルシステム「S300」を破壊したと発表しました。

戦闘機やミサイルを撃ち落とす能力を持つ「S300」は、今月8日、スロバキアが、ウクライナに供与したことを明らかにしています。

ロシア国防省は「ヨーロッパから提供された兵器を破壊した」として具体的には明らかにしていませんが、ウクライナへの軍事支援を強化する欧米を強くけん制するねらいとみられます。

またロシア軍は、東部ドネツク州の各地をミサイルで攻撃したと発表するなど、東部を中心に攻勢を強めていて、イギリス国防省は11日、ロシア軍は、人体に深刻な被害が出る白リン弾を「ドネツク州で使用したことがある」としたうえで、ドネツク州の「マリウポリでも使われる可能性がある」と分析しています。

さらにロシア軍は、精密な誘導ができない爆弾を多用していると指摘したうえで「標的を定めて攻撃を行う能力が低下し、市民が犠牲になるリスクが格段に高まっている」と警鐘を鳴らしています。

ゼレンスキー大統領は10日夜、国民向けに新たな動画を公開し「東部ではロシア軍がさらに大規模な軍事作戦に移行するだろう。さらなるミサイル攻撃や空爆が行われる可能性がある」と警戒感を示しました。

一方、ロシアのプーチン大統領は11日、軍事侵攻後、EU=ヨーロッパ連合の首脳では初めてオーストリアのネハンマー首相をモスクワに招いて会談しました。

ネハンマー首相は、9日にはウクライナの首都キーウでゼレンスキー大統領と会談していて、「われわれは軍事的に中立だが、ウクライナへの侵略についての立場は明確だ。プーチン大統領は止まらなければならない」とツイッターに投稿し、停戦や避難ルートの設置などを求める考えを示しています。

プーチン大統領は、ウクライナ東部への攻勢を強める一方、欧米側からの非難が高まるなかで対話を拒まない姿勢も示しています。