上海 感染者数最多更新続く 一方で外出制限の緩和地区公表も

新型コロナウイルスの感染拡大で、厳しい外出制限が続く中国の上海では、一日の感染者数が10日連続で過去最多を更新しました。一方、上海市当局は直近14日間に感染が確認されなかったとして、外出制限を緩和する地区について、11日から公表を始めました。

中国の上海では新型コロナウイルスの感染者が10日、一日で無症状の人を中心に2万6087人確認され、10日連続で過去最多を更新しました。

上海市当局は、大部分の地域で厳しい外出制限を続けてきた一方、直近14日間に感染が確認されなかった地区については、一定の条件のもとで外出を認める方針を示していて、この方針に基づき11日から制限を緩和する地区の公表を始めました。

制限が緩和される対象は、11日時点で7500余りの地区だとしていて、NHKの取材では実際に11日、制限が緩和されたところもあったということです。

ただ、制限が緩和された地区でも、感染者が1人でも確認された場合、再び14日間の外出制限が行われるとしています。

上海では3月中旬以降、厳しい外出制限が1か月近く続いているところもあり、現地に滞在する日本人の中でも、食料や生活物資の調達などに大きな影響が出ています。

1か月近く外出制限の人も

上海では、3月28日から市内全域を対象に段階的に厳しい外出制限が行われてきましたが、中にはそれより前から外出を制限されている人もいます。

このうち、上海東部の浦東新区に住む会社員の木口彰さん(44)は、自宅周辺で感染者が確認されたため、3月13日から外出制限が始まっていて、すでに1か月近く不自由な生活を強いられています。

3月下旬の2日間以外は、部屋から出られないなど外出が制限される状況が続いていて、政府からの通達が前触れもなく突然行われたため、買い出しなどの準備はほとんどできなかったということです。

当局からの食料の支給は4月上旬に2回だけしかなく、現在は同じマンションの住民と共同で購入したり、勤務先の会社が調達してくれたりした食料で乗り切ろうとしていて、1日2食の節約した生活を強いられたこともあるということです。

木口さんは「自分が住むマンションでは、ずっと感染者が出ていないので、解放してほしいと思うが、それがまだなされておらず、不信感を抱いている。同じマンションに住む中国人の間にも同じ疑念が出ている。こういった封鎖を強制するのであれば、食料の安定供給や日用品の供給確保を保証してほしい」と話していました。

そのうえで木口さんは「どういうふうに外出制限を解除していくかわからないので、不安を感じている。世界中ではウィズコロナの動きになってきて、2年ちょっと前の生活を取り戻しつつあるが、中国でも同じ流れになってほしい」と話していました。