日銀 地域経済報告 8地域で景気判断 引き下げ

日銀は11日公表した「地域経済報告」で、全国9つの地域のうち、8つの地域で景気判断を引き下げました。オミクロン株の感染拡大で消費が落ち込んでいるほか、部品の供給不足が続いているためだとしています。

日銀は、3か月に1度の支店長会議をおよそ2年ぶりに各支店長らが本店に集まる形で開催し、全国の景気の現状をまとめた「地域経済報告」を公表しました。

それによりますと、全国9つの地域のうち、
北海道、東北、北陸、関東甲信越、東海、近畿、四国、九州・沖縄の8つの地域で、前回の報告から景気判断を引き下げました。

一方、中国は前回から据え置きました。

8つの地域で判断を引き下げたのは、自動車関連などで半導体などの部品の供給不足が続いていることやオミクロン株の感染拡大で飲食や宿泊などのサービス関連を中心に消費が落ち込んでいるためです。

特に個人消費については、9つの地域すべてで判断を引き下げました。

日銀は、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて原油や小麦などの原材料価格が上昇していることから、経済や物価に与える影響を注意深く見ていくとしています。

大阪支店長「持ち直しの動きがみられているが…」

今回の地域経済報告で、近畿の景気判断を引き下げたことについて、日銀大阪支店の高口博英支店長は、11日の記者会見で「ことし1月半ば以降、オミクロン株の急拡大を受けて個人消費がいったん大きく下押しされた。3月半ば以降、まん延防止等重点措置が解除されたもとで、持ち直しの動きがみられているが、水準でみるとことし1月初めまでには戻っていない」と説明しました。

そのうえで、先行きについては「ウクライナ情勢の緊迫化は、関西でもエネルギーや食料品、原材料などの物価上昇を通じて個人消費や企業収益、さらには設備投資を下押しするおそれがある」と述べ、ウクライナ情勢による関西経済への影響を注意深くみていく考えを示しました。