ウクライナ東部 ロシア軍による攻撃 被害のさらなる拡大に懸念

ウクライナ東部ではロシア軍による激しい攻撃が続いていて、ハルキウ州では子ども1人を含む10人が死亡したと地元の知事が明らかにしました。ウクライナのゼレンスキー大統領は「東部ではロシア軍がさらに大規模な軍事作戦に移るだろう」との見方を示し、被害がさらに大きくなることへの懸念が強まっています。

ウクライナ東部ではロシア軍による激しい攻撃が続いていて、ハルキウ州の州知事は10日、州内で子ども1人を含む10人が死亡したとSNSで明らかにしました。

また、ドニプロペトロウシク州のドニプロでは10日、相次ぐロシア軍の攻撃によって空港やその周辺のインフラが破壊され、少なくとも6人がけがをしてこのうち1人は重体だということです。

さらにドネツク州のクラマトルスクで8日に起きた鉄道の駅への攻撃では犠牲者の数がさらに増え、子ども5人を含む57人が死亡したことを地元の州知事が明らかにしました。

ウクライナのゼレンスキー大統領は10日、国民向けに新たな動画を公開し「東部ではロシア軍がさらに大規模な軍事作戦に移るだろう。さらなるミサイル攻撃や空爆が行われる可能性がある」と警戒感を示しました。

イギリス国防省もロシア軍が兵士を増強する動きがあるとする分析を明らかにしていて、被害がさらに大きくなることへの懸念が強まっています。

一方、ロシア軍が撤退した首都キーウ近郊では殺害されたとみられる市民の遺体が相次いで見つかっています。

キーウから西に30キロ余り離れた村、ブゾワでは数十人の遺体が見つかったとロイター通信が伝えました。

地元の行政府につとめる女性は取材に対して「50人以上が殺害された。至近距離から発砲されたほか、17歳の少年の焼死体が車から発見された」と話しています。

キーウ近郊の状況についてウクライナのベネディクトワ検事総長はキーウ州で10日朝までに1222人の死亡が確認されたと明らかにしました。

こうした中、11日にはオーストリアのネハンマー首相がロシアの首都モスクワを訪問してプーチン大統領と会談する予定になっているほか、EU=ヨーロッパ連合が外相会合を開いてロシアへの対応を協議する見通しです。