国際

“プーチン大統領は政権崩壊への危機感から侵攻”元駐ロ米大使

アメリカの駐ロシア大使も務めた著名な政治学者、マイケル・マクフォール氏がNHKのインタビューに応じました。

この中でマクフォール氏は、ロシアのプーチン大統領がウクライナへの軍事侵攻に踏み切ったのは、同じ国だと見なすウクライナが、より民主的になることで、自身が率いる独裁的な政権が崩壊するのではないかと、危機感を抱いたためだという見方を示しました。
マイケル・マクフォール氏は、ソビエト崩壊後のロシアの民主化などについて研究を続けている著名な政治学者で、2012年1月、当時のオバマ政権下でロシア大使として2年間モスクワに駐在したあと、現在はスタンフォード大学で教授を務めています。

このほどNHKのインタビューに応じたマクフォール氏は、1999年当時、エリツィン大統領の辞任に伴って大統領代行に就任したプーチン氏について「当時は欧米志向で、いまよりも市場原理に基づく考えを持ち、われわれは協力できると考えていた」と振り返りました。

そして「プーチン氏が一夜にして民主主義者から独裁者になったというのは間違いだ。時間をかけて独裁的になり、独裁的になればなるほど、民主主義からの挑戦を受けるようになった」と指摘しました。

マクフォール氏によりますと、プーチン氏が民主主義からの挑戦だと捉えているのは、
▽2003年、ジョージアで市民の抗議活動により大統領が辞任に追い込まれた「バラ革命」
▽2004年、ウクライナで大規模な抗議活動をきっかけに政権交代が起きた「オレンジ革命」
▽2011年、中東各地で独裁的な政権が次々と崩壊した民主化運動「アラブの春」
そして
▽2012年にロシアの首都モスクワで繰り返された市民の大規模な抗議活動です。

なかでもモスクワで行われた抗議活動は、当時首相だったプーチン氏が3期目の大統領として返り咲くため立候補した選挙を前に行われただけに、プーチン氏にとって「非常に重要な局面だった」と分析しました。

マクフォール氏は「プーチン氏は『革命の背後にアメリカがいる』と非難した。エジプトやジョージアなどでなくまさにロシアで、彼の政権に反対する大規模なデモが起きたことによって、彼は強い恐怖を感じたのだ。そして、民主的な考えやそれを支持する人たちに対して、病的なほどに疑い深くなった。われわれは反体制派に資金提供をしていないし、デモを組織してもいないが、彼は『われわれのせいだ』と非難した」と述べました。

さらに、ロシアとウクライナの関係について「プーチン氏は、ロシアとウクライナは別の国だと考えていない。長い歴史に言及し、一つの国だったと説明しようとしている」と指摘しました。

そのうえで、マクフォール氏は「ロシアと同じ文化や歴史を共有しているウクライナ人が民主的になれば、ロシアという独裁体制にとって直接的な脅威になる。だからこそプーチン氏は、武力を使ってウクライナを取り込もうとし、民主主義を弱体化させようとしたのだ」と述べ、プーチン氏が軍事侵攻に踏み切ったのは、同じ国だと見なすウクライナが、より民主的になることで自身が率いる独裁的な政権が崩壊するのではないかと危機感を抱いたためだという見方を示しました。

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