広島「戦争反対」抗議活動相次ぐ 原爆ドーム前には約750人参加

ロシア軍のウクライナへの軍事侵攻が続く中、広島市では10日「戦争反対」などと訴える抗議活動が相次いで行われました。

このうち広島市中区の原爆ドーム前では、平和への思いや侵攻に抗議する人たちの姿を映像で表現して、世界に発信する抗議活動が行われました。

1000人の参加を目指して今月6日からSNSなどで参加が呼びかけられた活動には、目標に届かなかったものの、およそ750人が参加しました。

参加した人たちは平和への祈りをささげたあと、日本語や英語、それにロシア語で「戦争反対」などと書かれた紙を持ち、原爆ドームの周辺に立ちながら反戦の思いを訴えました。

活動の様子はカメラやドローンで撮影され、SNSで配信されたほか、今後、編集して英語とロシア語の字幕をつけたうえで、投稿される予定だということです。

ウクライナ人の母親とロシア人の祖母をもつ高校生の平石幸一さんは「両方の国のルーツを持つ者、16年間広島で育った者として、何かやらなくてはと思い参加しました。去年の夏にウクライナに行きましたが、半年前に歩いたきれいな街が悲惨な状況になっていることが苦しいです」と話していました。

活動を企画したカクワカ広島共同代表の田中美穂さんは「原爆ドームから声を上げることが、私たちにできるいちばんパワフルなメッセージだと思い企画しました。少しずつ思いをともにする人が増えていけば」と話していました。

一方、原爆慰霊碑の横では、県社会福祉士会による抗議活動が行われました。

新型コロナウイルスの感染が再拡大する兆しを見せていることから、無言で抗議の意思を示す「サイレントデモ」という形で行われた活動には、高齢者施設や障害者施設などで働く人など14人が参加しました。

活動では「広島から戦争反対!」「子どもたちの明るい未来を奪わないで!」などと書かれた紙が掲げられ、通りかかった人は足を止めてメッセージを見つめていました。

県社会福祉士会の三上和彦会長は「平和都市広島の一市民として戦争はいけないことだと声を発することが大きな意味を持つと思います」と話していました。