ウクライナ 駅にミサイル52人死亡 市民の犠牲者増え続ける

ウクライナでは、避難するために多くの人が集まっていた東部の駅がミサイルで攻撃を受けて子ども5人を含む合わせて52人が死亡するなど、市民の犠牲が増え続けています。
イギリス国防省は、ロシア軍が市民を巻き添えにする危険性が高いインフラ攻撃を続け、道路脇に仕掛ける簡易の爆弾も使っていると分析し、ロシアへの非難がさらに強まっています。

ウクライナ東部のドネツク州、クラマトルスクでは8日、鉄道の駅がミサイル攻撃を受け、これまでに子ども5人を含む52人が死亡しました。

ロシア側は「ウクライナ軍による攻撃だ」と主張していますが、ロシア軍が避難するために多くの市民が駅に集まっていた時間帯をねらったのではないかと批判する声が上がっています。

イギリス国防省は9日、ロシア軍が東部ルハンシク州で人体に有毒な硝酸の貯蔵タンクを攻撃するなど、市民を巻き添えにする危険性が高い、インフラをねらった攻撃を続けていることや、IEDと呼ばれる道路脇に仕掛ける簡易の爆弾を使っていることなど、最新の戦況分析を明らかにしました。

またロシア軍が撤退した首都キーウ近郊でも多くの市民の犠牲が次々に明らかになっています。

このうちキーウから西におよそ50キロ離れたマカリウでは、射殺された132人の住民の遺体が見つかったとウクライナの複数のメディアが伝えています。

また、キーウ北西にあるボロジャンカに7日、食料などを運ぶボランティアとして入った男性はNHKのインタビューで「がれきの撤去は始まったばかりだったが、すでに何人も遺体で見つかっていた。まだ数十人はがれきの下にいると思う」と証言しました。
市民の犠牲が増え続ける中、イギリスのジョンソン首相がロシアによる軍事侵攻後、G7=主要7か国の首脳として初めてキーウを訪問し、ゼレンスキー大統領と会談しました。

会談後、ジョンソン首相はビデオ声明で改めてロシアを非難するとともに「制裁という形でロシアに圧力をかける必要がある。そして、今こそロシアのエネルギー資源を完全に禁輸するときだ」と各国に強く呼びかけました。

ゼレンスキー大統領「外交で解決の機会あるなら逃したくない」

ウクライナのゼレンスキー大統領は9日、首都キーウの大統領府でAP通信のインタビューに応じ「国民に拷問を加えた人たちと誰も交渉を望んではいない」と述べる一方「外交で解決する機会があるのなら逃したくはない」と強調し、ロシア軍による攻撃で市民が巻き込まれる中でも交渉を通じた停戦は模索していく姿勢を示しました。

そのうえでゼレンスキー大統領は「要衝マリウポリや東部地域の戦闘で立場が強くなれば交渉のテーブルが近づき、有利な交渉ができる」と述べ、停戦交渉で弱い立場に置かれないようロシアへの反撃を続けるとして、欧米に対しさらなる軍事支援を求めました。