ブチャから避難のウクライナ人「ロシア兵の行為は獣のよう」

多くの住民が犠牲となったウクライナの首都キーウ近郊のブチャから隣国ポーランドに逃れたタチアナ・ガルクーシャさん(26)が7日、NHKのインタビューに応じました。

ガルクーシャさんは、ロシア軍がウクライナに侵攻した2日後のことし2月末、身の危険を感じて家族とともに車で避難しました。

ガルクーシャさんは、避難した時の様子を振り返り「移動している途中、前方から炎上しながら道を逆走する車を見ました。乗っている人は生きていないようで、彼らを救うことはできませんでした。自分たちも同じ目にあわないよう無事に避難できるよう祈りながら移動しました」と話し、ロシア兵に見つかると殺されるという恐怖の中、2週間かけて今の避難先までたどりついたといいます。

そしてブチャの状況について、現地に残っていた住民から聞いた話として「住民たちは長くシェルターに隠れていたため食料や水がなくその場で多くの人が亡くなりました。また、亡くなった人の遺体に爆弾がしかけられていることもあり、遺体を埋めようと持ち上げただけで爆発し、犠牲になる住民もいました」と証言しました。

また、現地に残っていた知人の話としてガルクーシャさんは「彼がフェンスに隠れて街の様子を見ていたとき、目の前で住民が戦車に撃たれて殺されるのを目撃しました。その人は、ただ道を歩いていただけなのに理由もなく殺されてしまいました」と語りました。

さらに「ロシア兵が子どもたちの目の前で親を撃ち殺すケースもありました。彼らは『ロシア側の主張を認めれば命は奪わない』などと子どもたちに迫ったといいます。残された子どもたちはこれからどうやって生きていけばいいのでしょうか。ロシア兵の行為は、人間のものとは思えず、まるで獣のようです。人の命を軽んじているとしか思えません」と語り、ロシア兵の残虐行為に対し怒りをあらわにしました。

そしてガルクーシャさんは故郷のブチャについて「ロシア軍によってほとんどの建物が破壊され、すべてが奪われました。子どもたちが遊ぶような公園にも地雷が残っていて、散歩することもできません。美しい街だったのにロシア軍によって地球上から消し去られ自分の夢もすべて消えてしまいました」と苦しい胸のうちを明かしました。

そのうえで「多くの人々が私が生まれた国や街のことを心配してくれて感謝しています。破壊された街を立て直すため、先進国の方々に支援してもらいたいです」と話し、街の復興に向けてさらなる支援の必要性を訴えました。