コロナ 上海 外出制限の一部緩和方針も多くの地域で制限続くか

新型コロナウイルスの感染拡大で厳しい外出制限が続く中国の上海で当局は9日、外出制限を一部、緩和する方針を示しました。ただ、感染者数は過去最多を更新し続けていて、多くの地域では外出制限が続くとみられます。

中国の上海では、新型コロナウイルスの感染者が8日一日で、無症状の人を中心に2万3624人確認され、8日連続で過去最多を更新しました。

上海では感染拡大に歯止めがかからない中、9日から最大で5万人が収容できるという感染者の隔離施設の運用を開始しました。

こうした中、上海市当局は9日、今後は感染リスクに応じて対策を分類すると発表し、14日間以内に住宅地などで感染が確認されなければ、一定の条件のもと自分の住む行政区域内では外出できるとしています。

一方、14日間以内に住宅地などで感染が確認されていると、敷地内からは出られないなどとしていて、多くの地域では外出制限が続くとみられます。

こうした措置がいつから始まるか明言されていませんが、外出制限による市民生活や経済への影響がさらに長期化する懸念も出ています。

このほか、南部・広東省の中心都市・広州では8日の感染者数は3人だったものの、およそ1800万人のすべての住民を対象にPCR検査を行うなど、中国政府が徹底して感染を押さえ込む「ゼロコロナ」政策を続ける中、各地で厳しい対策が続けられています。

広州 3人感染確認で全住民約1800万人にPCR検査

中国南部の中心都市・広州では8日、新型コロナウイルスの感染者が無症状の人も含めて3人確認されたことを受けて、およそ1800万人のすべての住民を対象とした臨時のPCR検査が8日の夜から始まりました。

地元政府によりますと、感染はいずれもオミクロン株によるもので、上海で感染が急拡大したことを踏まえ、対応を急いだとみられます。

地元政府は、感染者が出た住宅地の周辺を封鎖し、付近を通る地下鉄やバスの運行を停止するなど警戒を強めています。

住民の間では、上海のような厳しい外出制限が行われるかもしれないという懸念が強まり、食料の買いだめも始まっていて、一部のスーパーでは野菜や肉、コメなどが品切れの状態になっていました。

住民は「感染の拡大が心配だ」とか「準備ができておらず、すぐに都市を封鎖するような対応はしてほしくない」といった不安の声が聞かれました。

在中国アメリカ大使館 希望する職員など退避認める声明

新型コロナウイルスの感染拡大で上海で厳しい外出制限が続く中、中国にあるアメリカ大使館は9日、上海の総領事館の職員やその家族などが希望した場合、退避することを認めたという声明を発表しました。

それによりますと中国に駐在するバーンズ大使は中国側に感染対策を巡って懸念を表明し、希望する職員などが退避することについて通知したということです。

これについて、中国外務省の趙立堅報道官は9日夜コメントを発表し「アメリカが中国の感染対策を理由もなく非難したことについて強い不満と断固たる反対を表明する」として、アメリカ側に抗議したことを明らかにしました。