“ロシア兵から性的暴行”訴え 人権団体「明らかな戦争犯罪」

ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナで市民がロシア兵から性的暴行を受けたと被害を訴えるケースが相次いでいるとして、人権団体は「性暴力が市民への武器として使われている。明らかな戦争犯罪にあたる行為であってはならない」と強く非難しています。

国際的な人権団体、「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」は、今月、ウクライナ国内でロシア兵による市民への性的暴行があったとする報告書を発表しました。

報告書によりますと、東部ハルキウの31歳の女性が学校の地下に家族で避難していたところ、ロシア兵が侵入し、女性は上の階の教室に連れて行かれたということです。女性はこめかみに銃を突きつけられるなどして脅され、何度も性的暴行を受けたうえ、ナイフで首や髪の毛を切られたということです。

団体ではこのほかにもチェルニヒウやマリウポリなどで3件の性的暴行が疑われる報告があり、調査を進めているということです。

ヒューマン・ライツ・ウォッチの笠井哲平さんは「ロシア兵が性暴力という戦争犯罪を隠蔽するために被害者を殺害したり、遺体を焼いたりしている可能性がある。明るみに出る被害はごく少数で、大勢の被害者がいることが懸念される」と指摘しています。

そのうえで、「戦争や紛争地域では、これまでにも性暴力が市民に対する武器となっていたが、今回も同じことが起きている。明らかな戦争犯罪に当たる行為で、あってはならない」と強く非難しました。

市民への性暴力を巡っては、ウクライナのベネディクトワ検事総長もフェイスブックで、「ロシア兵による女性、男性、子ども、高齢者への性的暴行が多数報告されている。すべての殺害された女性たちが被害を受けた可能性があるため調査が必要だ」としているほか、被害者が医師や調査員、メディアなどの問いかけに応じることで、さらなるトラウマを抱えてしまわないよう配慮する必要があると呼びかけています。