ウクライナ 駅攻撃され50人死亡 ロシアの短距離弾道ミサイルか

ロシア軍が攻勢を強めるウクライナ東部で、避難するため多くの人が集まっていた鉄道の駅が攻撃され、地元の州知事は、50人が死亡したと発表しました。アメリカ国防総省の高官は、ロシア軍が短距離弾道ミサイルを使って攻撃を行ったという分析を明らかにしました。

ウクライナの東部ドネツク州では8日、クラマトルスクの鉄道の駅が攻撃され、地元の州知事は、これまでに子ども5人を含む50人が死亡し、98人がけがをしたと発表しました。

ゼレンスキー大統領は、「数千人ものウクライナの人たちが避難できるのを待っていた駅が攻撃された」と強く非難しました。

この攻撃についてアメリカ国防総省の高官は8日、ロシア軍が短距離弾道ミサイルを使って行ったという分析を明らかにしました。

この高官は、ロシア軍が東部に軍事作戦の重点を移す中、交通の要衝を攻撃することでウクライナ側がこの地域に追加の部隊を投入することなどを妨げようとしているのではないかと指摘しました。

これについてロシア国防省は関与を否定した一方で、ドネツク州の他の鉄道の駅をミサイルで攻撃してこの地域に運ばれてきたウクライナ軍の兵器や装備を破壊したと発表しました。

東部で攻勢を強めるロシア側は、要衝となっているマリウポリで今月6日、親ロシア派の武装勢力が、地元の野党議員の男性を市長だとして一方的に擁立するなど支配を強めています。

ワシントンのシンクタンク「戦争研究所」は7日の分析で近くロシア軍がマリウポリを完全掌握するとみられると分析した上で「ロシア軍は、東部ドネツク州とルハンシク州での大規模な攻勢を意図していて、戦闘力を結集させている」と指摘しています。

ロシア大統領府のペスコフ報道官は8日、「特別軍事作戦の目標は軍事面と交渉のプロセスで、達成されつつあり軍事作戦は、予見可能な将来に、終わるかもしれない」と述べました。

プーチン大統領は、国民向けに「勝利した」と成果をアピールするためウクライナ東部の掌握を急ぎたい考えとみられますが、欧米の支援を受けているウクライナ軍も激しく応戦する構えで戦闘は長期化するともみられています。