ロシア追加制裁 石炭段階的禁輸 政府 代替エネルギー確保課題

ウクライナ情勢をめぐり、政府は、ロシアへの追加の制裁措置として石炭の輸入を段階的に削減し最終的に禁止することを決めました。政府としては、国際社会との結束を優先した形ですが、国内への影響を抑えるためロシア産石炭に代わるエネルギーをどう確保していくかが課題となる見通しです。

ウクライナ情勢をめぐり、岸田総理大臣は8日の会見で「ロシアによる残虐で、非人道的な行為が次々と明らかになっている。断じて許されない戦争犯罪だ」と述べ、5つの追加制裁を科す方針を表明しました。

そして、
◇石炭の輸入の禁止
◇機械類や一部の木材、ウォッカなどの輸入禁止措置の導入、
◇ロシアへの新規投資の禁止
◇ロシア最大の金融機関「ズベルバンク」などの資産凍結それに
◇資産凍結の対象に400人近くのロシア軍関係者や議員などを加えることを説明しました。

また、日本に駐在するロシア大使館の外交官ら8人を追放することも明らかにし国際社会との結束を優先する姿勢を鮮明にしました。

とりわけ、「石炭の輸入禁止」は日本へのエネルギー供給に関わる初めての措置で、政府はできるだけ早く代替策を確保し、段階的に輸入を削減してエネルギー分野でのロシアへの依存度を低減させたい考えです。

ただ、場合によっては、電力の需給ひっ迫など国内への影響も予想されることから、岸田総理大臣も「非道な侵略を終わらせ、平和秩序を守るための正念場だ」と述べ、国民に理解と協力を呼びかけていて、ロシア産石炭に代わるエネルギーをどう確保していくかが課題となる見通しです。

来週中にも制裁の具体的な内容を正式決定へ

5つの柱からなる追加制裁のうち新規投資の禁止について政府は、外国為替法に基づき、
▼ロシアの法人に対し新たに一定の比率以上の株式を取得するケースや、
▼設備投資などを想定して新たに貸し付けを行うケースを念頭に、許可制とすることで事実上、投資を禁止する方向で調整しています。

一方、新たに資産凍結の対象となる2つの金融機関は、日本国内にも一定の資産を保有するとみられ、資産の移動を封じ込めることで、欧米と連携して制裁の抜け穴を防ぎ、効果を高めるねらいがあります。

政府はこうした措置について、法令に基づく手続きを急ぎ、来週中にも制裁の具体的な内容を正式に決定する方針です。