マリウポリにある大学の教授「科学と人道上の最大の惨事」

激しい戦闘が続くウクライナ東部のマリウポリにある大学の教授が、交流のある北海道室蘭市の大学の共同研究者に現地の悲惨な状況をビデオメッセージで伝え「科学と人道上の最大の惨事だ」と支援を訴えました。

マリウポリにあるプリアゾフスキー国立工科大学のヴェスリー・エフレメンコ教授は、学術交流協定を結ぶ室蘭工業大学の清水一道教授と共同研究を続けています。

マリウポリがロシア軍に包囲され激しい攻撃を受ける中、6日、別の町に避難しているエフレメンコ教授から清水教授に3分50秒の英語のビデオメッセージが届きました。

この中で、教授はロシア軍のミサイルが大学の建物に直撃したと証言し「マリウポリではもう科学の研究はできない。授業もないし学生もいない。通りには廃虚と市民の遺体があるだけだ。私たちは家を失い、仕事を失い、避難民になった。これは第2次世界大戦以降のヨーロッパで科学と人道上の最大の惨事だ」と現地の状況を伝えています。

そのうえで「私は声の届く人すべてに訴えたい。ウクライナを支援してください。皆さんの政府に人道的、財政的な支援を呼びかけてください」と訴えています。

エフレメンコ教授によりますと、教授の教え子で、かつて室蘭工業大学に留学した女性研究者2人の安否も分からなくなっているということです。
メッセージを受け取った清水教授は「彼は研究が好きな人なので、すごくショックを受けていると思う。心配することしかできないが、早く和平交渉が進んでほしい」と話しています。