尾身会長 ワクチン接種を若い世代に促す方策 岸田首相に助言

新型コロナワクチンの接種を若い世代に促す方策をめぐって、岸田総理大臣と専門家が意見を交わしました。政府分科会の尾身会長は、感染すれば後遺症が出る場合もあることなどを発信するよう助言しました。

岸田総理大臣は、政府の分科会の尾身会長や厚生労働省の専門家会合の脇田座長ら専門家と面会しました。

そして、特に感染者数が増加している若い世代にワクチン接種を促す方策について意見を求めました。

これに対し、尾身会長は「ワクチンによる重症化予防効果は間違いなくある。感染の予防効果も一定程度あることが分かっている」と説明しました。

そのうえで「感染すれば後遺症が出る場合もあるので、自分の健康を守るために接種するよう、メッセージを出してもらいたい。社会のために打つわけではないが、結果として家族や友人への感染防止にもつながる」と助言しました。

このあと、尾身会長は「ワクチンをなるべく打ってもらいたいという思いはわれわれも同じだ。何のために接種するのか、専門家と政府が同じメッセージを出す必要がある」と述べました。

岸田首相も若い世代の早期接種を呼びかけ

新型コロナ対策をめぐり、岸田総理大臣は政府の分科会の尾身会長など専門家と面会したのに続き、山際担当大臣ら関係閣僚と今後の対応を協議しました。

このあと岸田総理大臣は記者団に「足元で新規感染者数は全国的に下げ止まっていて、若い世代を中心に増加傾向だ。再拡大の兆候が見られる地域もあり『BA.2』への置き換わりにも注意が必要だ。第6波への対応として準備した医療体制を堅持しながら、オミクロン株の特徴にあわせて強化していく」と述べました。

そして、3回目のワクチンの接種率が特に低い若い世代への対応について「専門家の方々と意見交換し、若い方も感染した場合は重症化するリスクや後遺症が残る場合があるという話があった」と述べ、早めの接種を呼びかけました。

そのうえで接種の促進に向け、自治体や大学などが連携して行う大規模会場での接種に対し必要な費用を国が支援する考えを示しました。

さらに「旅行支援のブロック割は3回目のワクチン接種か検査が利用条件になっていて、今後、都道府県の判断で、例えば5人以上の会合でスマートフォンの接種証明を活用することなども考えられる。若い世代の皆さんは積極的に接種を進め、接種証明などを活用した取り組みに参加していただきたい」と述べました。

そして、今月からワクチン接種を担当している松野官房長官に対し、若者への接種促進に重点を置いて広報を強化するよう指示したと説明しました。

また、医療提供体制をめぐって、各都道府県に対し今月時点での体制を点検して報告するよう求め、まとまりしだい公表するほか、高齢者施設で感染した軽症患者を施設内で療養した場合に支給する最大30万円の補助金の対象を、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の適用地域から全国に拡大するとともに、ことし7月末まで延長する方針を示しました。

また、抗原定性検査キットについて国が必要な買い上げ保証を行い、今後6か月間で3億5000万回分を確保していると説明したうえで、積極的な活用を呼びかけました。

そして「本格的な感染再拡大を阻止しながら社会経済活動を取り戻していくため、改めてマスクの着用、手指消毒、換気、3密の回避といった基本的な感染対策の徹底をお願いする」と述べ、国民に協力を求めました。