“高齢者施設で治療行える体制を” 病床ひっ迫に備え国が通知

新型コロナウイルスによる病床のひっ迫で高齢者施設の利用者が入院できないケースが相次いだことから、厚生労働省は施設に医師を派遣して治療などを行える体制を目指すよう自治体に通知しました。

オミクロン株の感染が拡大した「第6波」では高齢者施設での感染が相次ぎ、厚生労働省によりますと、クラスターや2人以上が感染した事例はことし1月以降、合わせて3000件を超えています。

病床も一時各地でひっ迫し、入院できず施設で療養中に症状が悪化した利用者が相次いだということです。

このため厚生労働省は全国の自治体に対し、施設でも治療などを行える体制を目指すよう通知しました。

具体的にはすべての施設で利用者や職員の感染が判明した場合に、医師や看護師の往診や派遣を受けられる医療機関を確保しておくよう求めています。

これまで国は感染した高齢者に原則入院してもらう方針を示していましたが、体調や病床のひっ迫具合などに応じて施設での療養もできるようにするということです。

また感染が広がらないよう施設から要請を受けた場合は24時間以内に医師や看護師などでつくるチームを派遣し、生活空間の分け方や防護服の着脱のしかたなども指導するとしています。

厚生労働省は「原則入院という方針に変わりはないが、再び感染が拡大した場合に備えて医療機関以外でも療養できる体制を整えたい」としています。