【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(7日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交などウクライナ情勢をめぐる7日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

G7首脳声明 ロシアからの石炭輸入禁止など盛り込む

ウクライナの首都近郊で多くの市民が殺害されているのが見つかり、ロシアの責任を問う声が一層広がる中、G7=主要7か国は首脳声明を発表し、ロシアを厳しく非難するとともにロシアからの石炭の輸入の禁止などを進めていくことを打ち出しました。
首脳声明では「G7の首脳は、ブチャ及びその他のウクライナの街におけるロシア軍による恐るべき残虐な行為を最も強い言葉で非難する」としています。
そのうえで、エネルギーなどロシアの経済の主要な分野への新たな投資を禁じることや、ロシアからの石炭の輸入を禁止するなどしてロシアへのエネルギー依存をさらに減らすことなどを盛り込んでいます。

ルハンシク州知事「避難 この数日間が最後のチャンス」

ロシア軍が攻撃を強めているウクライナ東部の戦況について、イギリス国防省は7日、ロシア軍がインフラを標的としながら砲撃や空爆を続けているとしたうえで「ロシア軍はウクライナ東部に焦点を置いている。インフラへの攻撃はウクライナ軍の補給能力を弱め、ウクライナ政府への圧力を強めることが狙いとみられる」という見方を示しています。
一方、ウクライナのベレシチュク副首相は6日、東部のルハンシク州やドネツク州のほか、ハルキウ州の一部地域の住民に対し「攻撃にさらされ助けられなくなる」として早期の避難を呼びかけました。
ルハンシク州の知事も7日、自身のフェイスブックに投稿し「避難を引き延ばさないで。この数日間が最後のチャンスだ。敵は移動経路を断とうとしている」と呼びかけています。

ロシア報道官 米の追加制裁に「間違いなく報復」

アメリカのホワイトハウスがロシアに対する新たな制裁としてプーチン大統領の娘2人を制裁の対象にしたことについて、ロシア大統領府のペスコフ報道官は7日「ほかの制裁と同じように、とにかくさまざまな制限を科そうと狂ったような政策を続けていて、家族にも行ったということだ。理解しがたい。ロシアは間違いなく報復し、必要と思われる措置をとる」と述べ、報復措置をとると警告しました。
また、ペスコフ報道官はアメリカがウクライナへの軍事支援を強化する動きを見せていることについて「ウクライナにさまざまな形式の兵器を提供することは、ロシアとウクライナの交渉の成功につながらない。非常に悪い結果になることは間違いない」と述べて、ウクライナとの停戦交渉に影響が及ぶとけん制しました。

東洋大学 キーウの大学から学生受け入れへ

東京 文京区にキャンパスがある東洋大学は、ボリス・グリンチェンコ記念キーウ市立大学から学生を受け入れる方針で、具体的な支援の内容などについて両校の学長などがオンラインで協議しました。
協議では、東洋大学が日本語を学んでいる学生などあわせて4人を受け入れることで合意し、ヴィクター・オグネヴィウク学長は「絶対にウクライナを、学生たちや大学を守ります。今回の提案を心より感謝します」などと述べました。
東洋大学は4人の学費を免除し、日本への渡航費を負担するほか、宿舎の提供や生活費の支給も行うということで、在日ウクライナ大使館などと調整し、来日に必要な手続きを進めることにしています。
東洋大学の矢口悦子学長は「学生たちの学びを支え、さらに必要なことがあれば追加の支援や受け入れも検討していきたい」と話していました。

オデーサから避難の親子 大阪の民間団体の支援受け到着

ロシアによる軍事侵攻から逃れ、避難してくる人たちを支援する民間の団体「ウクライナ避難民を日本に迎える会」が大阪で立ち上がり、ウクライナ人の親子3人が団体による渡航費などの支援を受けて7日、大阪に到着しました。
到着したのは、ウクライナ南部の都市オデーサからルーマニアを経由して避難してきたナタリア・オレイニクさん(49)と息子のマクシムさん(16)、娘のダリーニャさん(13)の親子3人です。
ナタリアさんは知人を通じて支援の存在を知り、日本への避難を決めたということで「私たちはチケットを買うお金もなかったので、迎える会の支援がなければ日本に来ることも出来なかった。感謝しています」などと話していました。
団体は今後、生活基盤をどう作っていくかが課題になるとして、就業支援やウクライナ人どうしのコミュニティー作りについても支援したいとしています。

すべての生活費工面は難しく “サポートあるとうれしい…”

横浜市に住むウクライナ人のイリーナ・ルミナさん(42)は先月17日、ウクライナ西部のリビウから日本に避難してきた母親のテチャーナ・ルミナさん(69)とそのパートナーのヴォロディミル・マリノフスキーさん(74)と再会しました。
日本人の夫と3人の子どもと暮らすイリーナさんは、現在、自宅に母親たちを受け入れていますが、今後は横浜市の支援で1年間、無償で提供される予定の市営住宅の部屋に移ることを検討しています。
横浜市からは照明やカーテンなども無償で提供されるということですが、生活必需品の多くは自分たちで準備しなければならないうえ、今後、病院にかかった場合の医療費などを考えるとウクライナで年金で暮らしていた母親たちがすべてを工面するのは難しいといいます。
イリーナさんは「母親たちはいつも『私に迷惑していないか』とたずねてきて、不安な気持ちでいっぱいなようです。いつウクライナに帰れるのかはわからないのでサポートがあるとうれしいです」と話しています。
一方、横浜市国際局は「市営住宅を貸し出すこと以外の支援策については現在検討している段階です。避難してきた人たちが安定した生活を送れるよう速やかに検討を進めます」と話しています。

プーチン大統領の2人の娘 米バイデン政権発表の制裁対象に

アメリカのバイデン政権が6日に発表した制裁対象にはプーチン大統領の2人の娘、カテリーナ・チホノワ氏とマリヤ・ボロンツォワ氏が含まれています。
娘を対象としたねらいについて、バイデン政権の高官は「プーチン大統領とその多くの取り巻きたちが、家族のもとに財産を隠していると信じるだけの根拠がある」と述べ、制裁の抜け穴を塞ぎ、実効性を高めることにあると強調しました。
このうち次女のカテリーナ・チホノワ氏はサンクトペテルブルク大学で東洋学を専攻し、日本語を勉強したことでも知られています。リズミカルな音楽に合わせて、ダンスの動きや体操の技を披露する「アクロバット・ロックンロール」と呼ばれるスポーツにも取り組み、2013年の世界選手権では5位に入賞しました。地元メディアなどによりますと、現在はモスクワ大学の数理学系の研究所の副所長のほか、研究支援などを行う財団のトップを務めているということです。
この財団と深いつながりがあるとされるのが「イノプラクティカ」という組織で、その理事会のメンバーにはロシア最大の石油会社「ロスネフチ」のセーチン社長や、最大の政府系ガス会社「ガスプロム」のミレルCEO、さらに国営軍事企業「ロステク」のチェメゾフCEOなど「オリガルヒ」と呼ばれる富豪たちが名を連ねています。
一方、長女のマリヤ・ボロンツォワ氏は、遺伝子工学の発展計画に関する政府の評議会の役員のほか、保健省の研究機関の主席研究員を務めているということです。

8歳男児「自分の国から逃げるのはとても悲しかった」

ウクライナ中南部の都市クリビリフで暮らしていた、チュプラ・イリーナさんと、8歳の息子で小学2年生のチュプリーイ・マークくん、そしてイリーナさんの母親の合わせて3人は軍事侵攻を受け、滋賀県栗東市に住むイリーナさんの姉を頼って今月2日に日本に到着しました。
3人はいまは姉の自宅で隔離期間を過ごしていて、今週NHKのオンラインでの取材に応じました。
イリーナさんはいったん西部のリビウに避難したものの、次第に攻撃が激しくなったといい「多くのまちが包囲され、食料もなにもない状態になった。生きるか死ぬかわからないなかで、安全なところに逃げたほうがいいと思った」と、国外への避難を余儀なくされた理由を振り返りました。
息子のマークくんは「空襲のサイレンが鳴るとすぐに逃げて隠れないといけない。それがいちばん怖くて不安だった」と、攻撃におびえていたことを話していました。
軍事侵攻が始まってから学校に通えなくなったというマークくんは「自分の国から逃げるのはとても悲しかった。いまは安心しています。また学校に行って、友達に会いたいです」と話していました。
母親のイリーナさんは「夫はまだウクライナに残っているので早く戦争が終わって1日も早く自分の国、自分の家に戻りたいです。もし長期化したら息子も日本の学校に行って日本語も覚えて友達を作ってくれたらと思います」と話していました。

米が供与 自爆型無人攻撃機100機 近く現地到着

アメリカ国防総省の報道官はバイデン政権がウクライナへの軍事支援として供与する自爆型の無人攻撃機100機が、近く現地に到着するとの見通しを明らかにしました。
アメリカが供与するのは「スイッチブレード」という無人攻撃機で、弾頭を搭載して戦車や軍用車両などにミサイルのように突っ込む自爆型の兵器です。
先月、バイデン政権がウクライナへの軍事支援として供与すると発表していたもので、アメリカ国防総省のカービー報道官は6日、この無人攻撃機100機の発送が完了し、近く現地に到着するとの見通しを明らかにしました。
この無人攻撃機の使い方は2日程度で習得できるということで、ロシア軍による侵攻が始まる前からアメリカ国内に滞在していたウクライナの兵士を対象に訓練を行っていたということです。
カービー報道官は「われわれは今後もウクライナ側と話し合い、必要であれば追加で調達できるように支援する」と述べて、さらなる供与に前向きな姿勢を示しました。

ゼレンスキー大統領 ロシア軍が住民殺害の証拠隠滅図ると指摘

ウクライナのゼレンスキー大統領は7日、公開したビデオメッセージで「ロシアの指導者はブチャで見た惨状がロシアが撤退したほかの都市でも起きている可能性があるため世界の怒りを買うことを恐れているようだ。ロシア軍が方針を変え、殺害した住民を占領地の路上や地下室から動かそうとしているという情報がある。これは証拠隠滅の試み以外の何ものでもない」と述べ、ロシア軍が市民を殺害した証拠を隠そうとしていると指摘しました。
そのうえで「彼らの試みは成功しない。責任を免れることはできない。調査や目撃証言、衛星による監視などのおかげで私たちは多くのロシアの戦争犯罪の状況を明らかにするだろう」と述べ、責任の追及を進める考えを示しました。
ロシア軍が現在包囲し、激しい攻撃を続けている東部の要衝マリウポリでも、多くの市民の犠牲者が出ているとみられていますが、地元の市議会が6日「ロシア軍が移動式の火葬施設を運用している」とSNSに投稿するなど、ロシア側が市民の遺体を焼却して証拠の隠滅を図っているという指摘が出ています。
また、ゼレンスキー大統領は、アメリカとイギリスが発表したロシアに対する追加の経済制裁を歓迎する一方「まだ十分ではなく、ロシア軍がウクライナ各地で行っている行為とは釣り合わない」と述べ、ロシアの金融機関を国際的な金融制度から完全に締め出すことや、欧米各国によるロシア産の原油の輸入停止を訴えました。

ロシア大統領府報道官 “ウクライナとの交渉は難航”

ロシア大統領府のペスコフ報道官はフランスのテレビ局で6日に放送されたインタビューの中で、ウクライナとの停戦交渉について「交渉は困難だ。ウクライナの『中立化』は必須条件だが、クリミアやウクライナ東部の2つの地域の独立も承認されなければならない」と述べ、交渉は難航しているという認識を示しました。またフランス政府が多数のロシアの外交官の追放を決めたことについては「追放は外交の窓口を閉ざすことだ。われわれが直面している異常な状況においてこそ外交が必要だ」と述べ、不快感を表しました。
そしてロシア側の発表以上にロシア軍に多くの戦死者が出ているのではないかという指摘に対しては「戦死者の数は国防省の発表のとおりだ」と述べる一方「われわれの目的が達成されロシアの安全保障が確立されるまで戦わなければならない」として、現時点で戦闘を停止することはないという考えを示しました。
一方、ウクライナの首都近郊のブチャで多くの市民が殺害されたことを示す映像や写真については「組織的にねつ造されたものだ」と述べ、ロシアの関与を否定する主張を繰り返しました。

米財務長官 “G20閣僚会議 ロシア参加なら欠席”

G20=主要20か国からロシアを排除すべきだという立場を示しているアメリカのイエレン財務長官は、G20の閣僚による会議にロシアが参加する場合、欠席する意向を示しました。
イエレン財務長官は6日、議会下院の公聴会に出席しG20の会議にロシアが参加する場合の対応について「私は議長国のインドネシアに対してロシアが参加する場合は多くの会議に参加しないことを明確にしている」と述べ、欠席する意向を示しました。今月20日にはワシントンでG20の財務相・中央銀行総裁会議が開かれることになっていて、ロシアのシルアノフ財務相らが参加するかどうかが当面の焦点になります。
G20をめぐってアメリカのバイデン大統領は11月に予定されている首脳会議に関してロシアを排除すべきだなどと発言しましたが、議長国のインドネシアや中国は排除に賛同しない意向を示し、各国の間で立場の違いが出ています。ホワイトハウスのサキ報道官は6日の記者会見で、イエレン財務長官の発言について「バイデン大統領は『ロシアを排除すべき』だと発言したが、われわれが首脳会議をボイコットする計画があるという意味ではない」と述べ、あくまで閣僚による会議の欠席を指していると説明しました。

国連人権理事会 ロシアの資格停止求める決議案採決へ

ウクライナの首都近郊などで多くの市民の遺体が見つかったことを受けて、ロシアの国連人権理事会の理事国としての資格を停止するよう求める決議案が国連総会に提出され7日、是非を問う採決が行われることになりました。決議案は「ロシアによる重大かつ組織的な人権侵害に強い懸念を表明する」としています。国連人権理事会の理事国は47か国で、国連総会の採決で3分の2の賛成があれば理事国としての資格を停止させることができます。

米・英が新制裁発表 “ロシアへの新規投資禁止”

アメリカのホワイトハウスは6日、ウクライナの首都キーウ北西の町ブチャで多くの市民が殺害されているのが見つかったことなどを受けて、ロシアに対する新たな制裁としてアメリカ人によるロシアへの新規の投資を禁止すると発表しました。
さらにロシア最大の金融機関「ズベルバンク」や国内4位で民間最大の金融機関である「アルファバンク」について、アメリカの国民や企業とのすべての取引を禁止するとしています。またプーチン大統領の成人した娘2人のアメリカ国内の資産を凍結するとしています。
またイギリス政府も6日、アメリカに歩調を合わせる形でロシアに対する追加制裁を発表しました。ロシア最大の金融機関「ズベルバンク」の資産を凍結するほか、ロシアへの新規投資を禁止するなどとしています。おととしのイギリスのロシアに対する投資額は110億ポンド余り、日本円でおよそ1兆7000億円で新たな措置はロシア経済に大きな打撃を与えるとしています。

首都周辺“ロシア軍地上部隊 完全に撤退”米国防総省高官

アメリカ国防総省の高官は6日、ウクライナの首都、キーウ周辺に展開していたロシア軍の地上部隊が完全に撤退したという見方を初めて示しました。また北部のチェルニヒウ周辺に展開していた部隊も完全に撤退したとしています。さらにこれらの部隊が、ウクライナと国境を接するベラルーシとロシア国内で補給活動を始めていることも確認したとしています。
この高官はこれらの部隊がウクライナ国内に再配置されたことは確認されていないとする一方、ロシアが軍事作戦の重点をウクライナ東部に移すとしていることから、部隊の再整備や補給に多くの時間はかけない可能性があるという見方を示しました。
ロシアがウクライナ東部で攻勢を強めていることについては、長期的な目標が明らかではないと指摘したうえで▽ウクライナ側との交渉の材料にしようとしているのか▽東部や南部だけを奪おうとしているのか、あるいは▽これらの地域を制圧したのちほかの地域に進出しようとしているのかなどを注視しているとしています。キーウについては再び攻撃が行われる可能性は排除されていないという見方を示しています。
東部の要衝、マリウポリについては引き続き孤立しているものの、まだロシア側に制圧されてはいないという見方を示しています。一方、首都キーウの北西の町、ブチャで多くの市民が殺害されているのが見つかったことについて「画像を見ると手を後ろに縛られ頭を撃たれており、計画的で意図的に行われたように見える」と指摘しました。

ブチャ 住民たちが遺体を埋葬

ロシア軍が撤退したあと多くの市民が殺害されているのが見つかったウクライナの首都キーウ北西の町、ブチャでは発見された遺体の埋葬が住民たちによって行われました。ブチャでは5日、ロシア軍の撤退前に母親に食料を届けに行って行方がわからなくなり数日前に遺体で見つかった男性の埋葬が行われました。埋葬は男性の友人たちによって行われ、友人たちは遺体にことばをかけながら涙を流していました。
住民の証言によりますと、男性の遺体には至近距離から頭を撃たれた痕や殴られた痕もあったということです。友人の1人は「恐ろしいです。私たちはみな仕事を持ちすべてが順調でしたが、ロシア軍がやってきてこの悲しみをもたらしました。とても同じ人間とは思えません」と話していました。
ブチャの路上には6日現在、破壊されたロシア軍の戦車が多く残されていて、その中を住民が水などを手に持って歩いていました。住民の1人は「私は陸軍にいましたがこのような光景は見たことがありません。なぜ市民を殺す必要があるのか私にはわかりません」と話していました。

ウクライナ市民 少なくとも1563人死亡 国連

国連人権高等弁務官事務所は、ロシアによる軍事侵攻が始まったことし2月24日から今月5日までにウクライナで少なくとも1563人の市民が死亡したと発表しました。このうち130人は子どもだということです。
死亡した人のうち▽1076人はキーウ州や東部のハルキウ州、北部のチェルニヒウ州、南部のヘルソン州などで▽487人は東部のドネツク州とルハンシク州で確認されています。またけがをした人は2213人にのぼるということです。
多くの人たちは砲撃やミサイル、空爆などによって命を落としたり負傷したりしたということです。今回の発表にはロシア軍の激しい攻撃を受けている東部マリウポリなどで確認がとれていない犠牲者の数は含まれておらず、国連人権高等弁務官事務所は実際の数はこれよりはるかに多いとしています。

隣国モルドバ ワインの輸出に影響

ウクライナの南に位置するモルドバは世界最古のワイン発祥地の一つともされ生産量の9割ほどは輸出していますが、ロシアによる軍事侵攻を受けて輸出港だったウクライナ南部のオデーサ・ロシア語でオデッサが閉鎖されたほか、主要な取り引き先のロシアやウクライナ、それにベラルーシへの輸出ができなくなっていて影響が広がっています。
首都、キシニョフ近郊の国営のワイナリーでは現在オデーサではなくルーマニアの港を利用していますが、港までの輸送距離が長くなるなどして費用は以前に比べ2割以上増えているということです。モルドバ国営のワイナリーで総支配人をつとめるビオレル・ガラズさんは「軍事侵攻によってワインの販売は大きな影響を受けています。他の市場を探さなくてはなりませんがコストもかかり、すぐに対応するのは難しいです」と話していました。

ポーランドの学校 ウクライナの子ども増え続ける

250万人近くが避難している隣国のポーランドでは地元の学校に通うウクライナの子どもたちが増え続けていて、南東部ジェシュフにある学校には避難してきた子どもたち90人が通い全体の15%に上っています。
何も持たずに避難してきた子どもたちも多く、学校では地元の企業などから寄付された文房具やバッグなども提供しています。授業ではポーランド語からウクライナ語に通訳する補助教員が子どもたちのサポートに当たっていました。
東部ドニプロの近くから避難してきた12歳の男の子は「ことばはよくわからないけれどポーランドの人たちと話すのは好きです。ここで新しいことばを学びたいです」と話していました。南東部のザポリージャから来た12歳の女の子は「学校がとても好きです。音楽も数学も体育も、そして絵を描くのも楽しいです」と学校生活になじんでいる様子でした。学校では今後、心に傷を負った子どもたちのためにカウンセラーを配置することも検討しています。
ポーランド政府によりますと、これまでに16万人を超えるウクライナの子どもたちが幼稚園や学校に通っていて、今後その数はさらに増える可能性があるということです。

ウクライナからの国外避難者427万人余 国連

UNHCR=国連難民高等弁務官事務所のまとめによりますと、ロシア軍の侵攻を受けてウクライナから国外に避難した人の数は5日の時点で427万人余りとなっています。主な避難先はポーランドがおよそ249万人、ルーマニアがおよそ65万人、モルドバがおよそ39万人、ハンガリーがおよそ39万人などとなっています。またロシアに避難した人は先月29日の時点でおよそ35万人となっています。

ルーブル相場 このところ持ち直しも

ロシアの通貨ルーブルはウクライナへの軍事侵攻に対する欧米の経済制裁を受けて急落したあと、このところは持ち直しがみられ、当局による市場介入の影響などを指摘する声が出ています。
軍事侵攻前に1ドル=80ルーブル程度で取り引きされていたルーブルは軍事侵攻後、欧米の経済制裁を背景に急落し3月上旬には1ドル=150ルーブル前後とこれまでの最安値をつけました。しかしその後は値を戻し、4月6日時点では1ドル=80ルーブル程度と軍事侵攻前の水準を回復しています。
アメリカなどはルーブルの下落を通じてロシア国内のインフレを加速させ経済制裁の効果を高めたい考えですが、現時点では通貨下落に歯止めがかかっています。
市場関係者は▽ヨーロッパとの天然ガスなどの取り引きは続いているためルーブルに一定の需要があるとみられるほか▽当局が手持ちの外貨を使って市場介入を続けているとの見方を示したうえで、いわば官製相場とも言える状況で今後の値動きは不透明だと話しています。

ロシア財務省 ドル建て国債 ルーブル払い

ロシア財務省は6日、今月4日に期限を迎えたドル建ての国債の償還と利払い合わせて6億4920万ドル、日本円でおよそ800億円について自国通貨のルーブルで支払いを行ったと発表しました。ドルでの支払い手続きを海外の銀行から拒否されたためだとしています。
アメリカ財務省は今月4日からアメリカの金融機関を介してロシア政府がドル建て国債の利払いなどを行うことを認めない措置をとっていました。
ロシア財務省は「アメリカ財務省の非友好的な行動により、ロシアの金融機関に支払いを依頼することを余儀なくされた」としたうえで、債務はすべて履行されたとの認識を示しています。またロシア大統領府のペスコフ報道官は6日「ロシアには資金がある。理論的にはデフォルト=債務不履行の状況になるかもしれないが、それは単純に人為的につくられたものだ。デフォルトの根拠は全くない」と強調しました。今回の利払いなどには30日間の猶予期間がありますが、ルーブルでの支払いは一方的な返済条件の変更に当たるとしてデフォルトと認定される可能性があります。