中国 上海 コロナ感染拡大続く 外出制限で経済活動停滞に懸念

厳しい外出制限が行われている中国最大の経済都市 上海では、新たに確認された新型コロナウイルスの感染者が5日連続で過去最多となりました。上海市当局は市内全域で再び、検査を実施して外出制限を続ける方針を示し、経済活動がさらに停滞することへの懸念が強まっています。

中国の上海では新型コロナの感染が5日、無症状の人を中心に1万7077人確認され、5日連続で過去最多を更新しました。

感染の拡大に歯止めがかからない中、上海市当局は6日、市内全域で再び、ウイルス検査を実施すると発表しました。

そのうえで、結果を分析して今後の対応を決めるまで、外出制限を続ける方針を示しました。

こうした中で、上海に進出する日本企業が休業などの対応を余儀なくされているほか、上海からの部品供給が滞って三菱自動車工業が、愛知県にある工場で操業の一時停止を決めるなど影響が広がっています。

また上海以外の地域でも感染が拡大していて、全土で5日、新たに確認された感染者は上海も含めて2万472人となりました。

中国では、5日まで3連休でしたが各地の感染拡大によって、期間中に国内を旅行した人は去年の同じ時期より26.2%減り、個人消費の動向にも影響が出ています。

専門家の中には、今月から3か月間の中国のGDP=国内総生産の伸び率の予測を引き下げる動きも出ていて、経済活動が今後、さらに停滞することへの懸念が強まっています。

自動車メーカー 部品の調達滞り生産現場の影響広がる

中国 上海で、厳しい外出制限が続き部品の調達が滞っているため、自動車メーカーが工場の操業を停止するなど国内の生産現場にも影響が広がっています。

このうち三菱自動車工業は、愛知県岡崎市にある完成車の組み立て工場で、今月11日から15日までの5日間、操業を停止します。

上海で、厳しい外出制限が続いている影響で、物流が混乱し現地からの部品の調達が滞っているためで、従業員は一時帰休の措置を取るということです。

また中国から部品の調達が滞っている影響で、マツダは5日までの2日間、ダイハツ工業は4日、それぞれ一部の国内工場で操業を取りやめました。

一方、電機業界では、上海にある工場で操業を止めています。

このうちソニーグループは、テレビやビデオカメラなどを製造する工場で、東芝はエレベーターの生産工場で操業の停止が続いています。

また日立製作所は、グループ会社のエレベーターの生産工場の一部で操業を停止しているほか、再開した工場も稼働率を下げているということです。

自動車部品メーカーの日立アステモも工場の操業を止めています。

制限解除の時期が見通せない中、上海の外出制限の影響は現地に進出する日本企業に加え、国内の生産現場にも広がっています。

なぜ日本に部品が来ないのか

中国 上海周辺から日本への部品供給が滞っているのは、厳しい外出制限によって現地での生産や運送が、ふだんどおりできなくなっているためです。

上海市当局はメーカーに対し、従業員が自宅から通勤せず、勤務先で寝泊まりする場合などは工場の稼働を認めていますが、多くの部品メーカーにとって、こうした対応は難しく、操業を停止せざるをえない状況です。

このうちの一つ、電子部品などを作る日系のメーカーは、少なくとも今月10日ごろまでは生産ができない状況が続くと見込んでいます。

また、部品を運ぶ物流網も混乱しています。

運送を担う運転手が不足しているため、部品があっても日本などに出荷する拠点となる空港や港まで送ることができるか不透明な状況になっています。

さらに国際線が就航する上海の空港では、出勤できない航空会社の従業員もいて、日本との間を結ぶ一部の貨物便の欠航が続いているほか、世界最大のコンテナ取り扱い量がある上海港でも貨物を配送するドライバーが不足しています。

上海市当局は、全市民を対象にしたウイルス検査の結果を分析して、今後の対応を決めるまで、外出制限を続ける方針を示していて、影響が長期化することへの懸念が強まっています。

日本企業展開の店舗も休業続く

中国の上海では、新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからず、市内全域での外出制限が続いていて、日本の流通各社が現地に展開している店の多くが依然、休業を続けています。

このうちコンビニエンスストアでは、
▽セブン‐イレブンが、上海におよそ150ある店舗のほとんどで休業し、
▽上海におよそ1500店を展開するファミリーマートが外出制限の対象地域にある店を休業しているほか、
▽上海とその周辺に2300店余りを展開するローソンも外出制限の対象地域にある店のおよそ8割を休業しています。

また、衣料品や雑貨のチェーンでは、
▽ユニクロを展開するファーストリテイリングが、上海にある86店舗すべてで休業し、
▽無印良品を展開する良品計画が、上海に35あるすべての店で休業しているということです。

さらに外食業界では、サイゼリヤが制限の対象地域にある店を休業しています。

一連の休業は、厳しい外出制限が始まった先月28日以降順次行われていて、各社では今後も、当局が外出制限を解除するまで、多くの店で休業が続くとしています。

制限解除の時期が示されない中、営業の再開が見通せない状況で、上海に進出する日本企業のビジネスへの影響が広がっています。