「本屋大賞」に逢坂冬馬さんの小説「同志少女よ、敵を撃て」

全国の書店員が「いちばん売りたい本」を投票で選ぶ、ことしの「本屋大賞」に、逢坂冬馬さんの小説「同志少女よ、敵を撃て」が選ばれました。

ことしで19回目となる「本屋大賞」は、全国の書店員が「いちばん売りたい本」を投票によって選ぶ賞で、過去に受賞した作品の多くがベストセラーとなり、テレビドラマや映画化もされるなど影響力の大きい賞として注目されています。

6日、ことしの授賞式が東京で開かれ、ノミネートされた10作品の中から、逢坂冬馬さんの小説「同志少女よ、敵を撃て」が選ばれました。

この作品は、旧ソビエトとドイツによる「独ソ戦」のさなか、ドイツ軍の襲撃で母親と故郷を奪われた少女が狙撃兵となり、復しゅうを果たすために女性だけの狙撃隊の一員として過酷な戦場を生き抜く姿を描いた物語です。

性別や出身、軍における立場の違いなどによる差別が常につきまとう登場人物たちの悩みや苦しみを巧みに表現し、女性たちが命の危険と隣合わせの戦場で戦い抜く姿を丁寧に描写しています。
逢坂冬馬さんは、埼玉県出身の36歳。

大学を卒業後、会社員として働きながら執筆活動に取り組み、去年8月、今回の受賞作でもある「同志少女よ、敵を撃て」でアガサ・クリスティー賞を受賞してデビューしました。

デビュー作での本屋大賞の受賞は、2009年の湊かなえさんに続いて2人目です。

逢坂さん「戦争に反対 平和構築のための努力する」

逢坂さんは、「この作品は出版前から多くの書店員に愛されていると実感することが多く、このようなすばらしい賞をデビュー作にもかかわらず選んでいただき、感謝の気持ちで胸がいっぱいです」と感謝の思いを述べました。

一方、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続いていることを受けて、「私の心はロシアによる軍事侵攻が始まって以降、深い絶望のふちにあります。私が小説の中で情熱を傾けたロシアに対して、いったい何を思うべきなのだろうと終始考え続けました。その中で、プーチン大統領ではないロシアというものが少しずつ見えてきて、国内で戦争に反対する人たちもロシアであり、それは小さな声であるかもしれないけれど、その声に耳を傾け、忘れないようにしながら、できるだけ声を増幅させていきたい」と述べました。

そのうえで、「私が作品で描いた主人公が、現在の光景を見たならば、悲しみはしても絶望はせず、町に出て自分が必要とされていることをするだろうと思います。なので私も絶望するのはやめて、小説を書くとき、そしてそれ以外の場面においても、戦争に反対し、平和構築のための努力をします」と思いを述べました。