【解説】停戦交渉での“橋渡し役”? アブラモビッチ氏とは

ロシア軍は、ウクライナ東部への部隊の投入を進めているとみられ、市民の被害のさらなる拡大が懸念されています。

こうした中、停戦交渉について、ゼレンスキー大統領は4日「ロシア軍の非道な行為が日増しに明らかになっていて、交渉が長引くほど、ロシア側にとって結果は悪くなるだろう。もし彼らにまだ考える能力があるならば、交渉は早く進めたほうがよい」と述べました。

しかし、ロシア側は、早期の合意に否定的な考えを示していて、ロシア外務省のザハロワ報道官が「ウクライナ政府の目的は、停戦交渉を混乱させ、暴力をエスカレートさせることにある」と一方的に主張するなど、停戦交渉の進展が見通せない状況が続いています。

停戦交渉はどうなるのか。ロシアを長年取材してきた石川一洋解説委員は「仲介者」が1つのカギを握っていると指摘します。

(動画は5分52秒です。データ放送ではご覧になれません)。

「一つは黒海地域の大国であるトルコです。ロシア、ウクライナともに良好な関係を保ち、地域の不安定化が長期化することを防ごうと思っています。

また、ユダヤ系のネットワークも仲介者としての役割を果たしています。ユダヤ人はロシアやウクライナなど、かつてのロシア帝国の領内に600万人住んでいたといわれ、その出身者はイスラエルやアメリカに数多くいて国の枠を越えたネットワークを持っています。

私がいま注目しているのはロシアの大富豪でありユダヤ系の財閥のアブラモビッチ氏です。先日のイスタンブールでの交渉の映像では双方の間にいます。

アブラモビッチ氏は90年代のロシアの初代大統領、故エリツィン氏と密接な関係を持ち「ファミリー」の一員と呼ばれてきました。プーチン氏が大統領になった2000年にはプーチン氏への権力の移譲でも大きな役割を果たしプーチン大統領はいまも恩義を感じています。

ウクライナのゼレンスキー大統領もユダヤ系で、アブラモビッチ氏の参加はウクライナ側の求めとも言われています」。

アブラモビッチ氏はどんな人物なのか、また停戦交渉ではどんな役割を果たし、何を期待されているのか。

また最近のプーチン大統領の態度に変化はみられるのか。

解説です。