岸田首相 物価上昇対策 予備費活用で対策の検討加速を指示

ウクライナ情勢に伴う物価の上昇を受けて、岸田総理大臣は、緊急対策の取りまとめに向けた関係閣僚会議の初会合を開き、今年度予算の予備費を活用した迅速な対応を優先する考えを重ねて示したうえで、対策の検討を加速するよう指示しました。

この中で岸田総理大臣は「世界規模で不確実性が高まっており、原油や穀物の国際価格は高い水準で推移している。このような価格の高騰が国民生活や経済活動に重大な影響を及ぼし、コロナ禍からの経済社会活動の順調な回復を妨げることを避けなければならない」と指摘しました。

そして「緊急かつ機動的に対応すべき課題を整理したうえで、まずは一般予備費、コロナ予備費を活用した迅速な対応を優先し、原油価格や物価高騰などの影響を受ける人たちに必要な支援が行き届くよう具体的な施策の検討をお願いする」と述べ、関係閣僚に対し与党とも連携し対策の検討を加速するよう指示しました。

立民 大串氏「補正予算案の編成を」

衆議院予算委員会で野党側の筆頭理事を務める立憲民主党の大串博志氏は、党の会合で「新型コロナ対策の予備費が目的外のことに使われるようなことはあってはならない。現在の経済状況を踏まえれば、補正予算案を編成した対策でなければ不十分だ」と述べました。

このほか、会合に出席した議員からは「予備費は、今後の新型コロナの感染の再拡大に備えて残しておくべきだ」とか、「予備費は通常、自然災害の被害の復旧など、予見しがたい事態に使うもので、すでに起きている物価上昇の対策に使うのはおかしい」といった意見が出され、政府に対し改めて補正予算案の編成を求めていく方針を確認しました。

国民 玉木代表「補正予算案編成が必要」

国民民主党の玉木代表は、記者会見で「今年度予算の予備費は、新型コロナ対策にしか使えないと定められており、それ以外に使った場合は、財政民主主義に明確に反することになる。ウクライナ情勢や原油価格の高騰などへの十分な対策を空白なく行うためには、補正予算案を編成し、今国会中に成立させることが必要だ」と述べました。

そのうえで「物価が上昇する中で経済が縮む、いわゆる『スタグフレーション』が起こっている時は消費税の減税が最も効果的だ。党として、家計の減税を中心におよそ18兆円規模の緊急経済対策案をまとめ、政府に申し入れたい」と述べました。