モルドバ「避難民受け入れで経済影響深刻」大統領が支援求める

ウクライナから大勢の避難民を受け入れているモルドバに対する支援を話し合う会合が開かれるのを前に、モルドバのサンドゥ大統領は、避難民の受け入れによって、経済に深刻な影響が出ているとして、国際社会からの支援を強く求めました。

ウクライナから隣国モルドバに避難してきた人は、これまでにモルドバの人口の15パーセントにあたる39万人に上っていて、滞在する場所の不足や国内経済への影響が懸念されています。

フランスやドイツなども参加してモルドバへの支援を話し合う会合が、5日にドイツで開かれるのを前に、モルドバのサンドゥ大統領は4日、首都キシニョフで、「この戦争はすでにモルドバの経済に深刻な影響を与えており、今後も続くだろう。モルドバは支援が必要だ」と述べ支援を強く求めました。

モルドバでは、経済面だけでなく、安全保障上の懸念も強まっています。

モルドバの東部には1990年にモルドバから一方的に分離独立を宣言し、ロシア軍が駐留している「沿ドニエストル地方」があり、ロシア軍は、親ロシア派の武装勢力が影響力を持つウクライナ東部から沿ドニエストル地方にかけて支配しようとしているともみられています。

これについてサンドゥ大統領は「現時点で沿ドニエストル地方で大きな動きはないが脅威はあり、状況はいつ変わってもおかしくない。常に注意が必要だ」と指摘し、会合では、安全保障面についても、意見が交わされるという見方を示しました。

4日は“追悼の日”に 首都キシニョフの政府庁舎では半旗も

ウクライナの首都キーウ近郊などで多くの市民が死亡しているのが見つかったことを受け、ウクライナから大勢の避難民を受け入れている隣国のモルドバでは、4日を追悼の日とし、首都キシニョフにある政府庁舎には半旗が掲げられました。

この日、行われた記者会見に黒い服で臨んだサンドゥ大統領は「すべてのモルドバ人に、殺された人々の写真や映像を見てもらいたい。特に、この戦争に反対していない人たちに見てもらいたい。ロシアによる軍事侵攻が始まった日からモルドバはロシア軍による攻撃に反対し、平和を常に求めてきた」と述べ、ロシア軍によるウクライナの市民への残虐な行為は許されないと非難しました。

そして、避難民の受け入れなどウクライナへの支援を強化する必要があるとして国民に連帯を呼びかけました。