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【きょうの動き】ウクライナからの避難民20人 日本に到着

ウクライナから避難してきた人たちを乗せた政府専用機が5日午前、羽田空港に到着しました。避難してきた人たちの受け入れや支援の動きなど、時系列で詳しくお伝えします。

全国知事会 連絡調整本部を設置 “安心して滞在できる環境を”

全国知事会の会長を務める鳥取県の平井知事は記者会見で「日本のそれぞれの地域で、ウクライナの方が安心して滞在できる環境を、国際社会の連帯のために提供していきたい。今後は、縁故のない方々の避難も予想され、関係知事で協議する場を設けたい」と述べ、知事会に連絡調整本部を設置して、自治体間や政府との調整にあたる考えを示しました。

<18:00すぎ>避難してきた2人 大阪で家族と再会

日本に到着したウクライナ人20人のうち2人を大阪 吹田市が受け入れることになりました。吹田市が受け入れるのはウクライナの首都キーウ出身で20年前に来日した重山ネリさん(59)の37歳の長女と13歳の孫の2人で、羽田空港に到着したあと国内線に乗り換え午後6時すぎに大阪空港に到着しました。

大阪空港にはネリさんが日本人の夫とともに迎えに訪れ、到着ロビーに2人が現れると涙を流しながら抱き合っていました。ネリさんは「とてもうれしいです。本当にありがとうございます」と涙ながらに話していました。またネリさんの夫は「戦禍にあるウクライナから娘と孫を迎え入れることができ、このような時間を迎えることができて本当に幸せです」と話していました。

吹田市は2人に生活の拠点として使ってもらうため市営住宅の空き部屋を無償で貸与するほか、市内にある民間企業も生活に必要な日用品や食料を提供しているということです。

福島に向かう女性「疲れたのでひと休みしたい」

政府専用機に乗って、キーウから避難してきたルヴァン・オリガさんは、スーツケース1つを持って羽田空港に到着しました。
3年ほど習っていた剣道で知り合った日本の知人を通じて、福島県二本松市で避難生活を送るということです。

オリガさんは「少し疲れたのでひと休みしたいです。侵攻から1か月ほど国内にとどまりましたがとても混乱した状況で、いつも爆撃や叫び声、警報が聞こえていました。日本まで来るのは長かったけれど、皆さんがとてもよくしてくれて快適で安全を感じることができました」と話しています。
そのうえで「ウクライナに残っている両親や親類、それに友人がどうしているか心配です。これからことばを勉強したり、仕事を探したりしなければなりません。日本を自分の2つめの家のように感じられるようになりたいです」と話していました。

<16:00ごろ>受け入れ先未定の避難民 一時滞在施設に到着

ウクライナから避難してきた人のうち国内での受け入れ先が決まっていない人たちが一時的に滞在することになっている羽田空港近くのホテルには午後4時ごろ、10人余りを乗せたバスが到着しました。中にはリュックサックを背負った子どもの姿もあり、それぞれスーツケースなどを受け取ると手の消毒をしてからホテルの中へと入っていきました。

3日目に新型コロナウイルスの検査を受けて陰性と確認されれば出入国在留管理庁が確保した別の一時滞在先のホテルへ移動し、受け入れ先となる自治体や企業などを探すことになります。

<15:40ごろ>10代後半の女性「福岡に向かい大学に留学する」

避難してきた10代後半の女性は午後3時40分ごろ羽田空港の到着ロビーに姿を現しました。女性はピンク色のリュックサックを背負っていて「長時間のフライトで疲れたでしょう」と尋ねると「イエス」と答えながらも大きなため息をついて安どしたような表情を見せていました。

日本に友人や家族がいるのか、どこに行くのかと質問すると「福岡県に向かい日本経済大学に留学する。そこに先生がいる」と話していました。女性は国内線の出発ロビーに向かうためバスに乗り、車内でほかの乗客が落としたスマートフォンを拾って手渡すなど元気そうな様子でした。

避難民全員が入国手続き終える

出入国在留管理庁によりますと、ウクライナから避難してきた人たちは全員が入国の手続きを終えたということです。受け入れ先が決まっている人は受け入れ先が用意した車や公共交通機関などで滞在先に向かうということです。一方、受け入れ先が決まっていない人は厚生労働省が入国者の待機施設として確保している羽田空港近くのホテルに滞在してもらう予定です。
厚生労働省はいずれの場合も入国後3日目に検査を受けて改めて陰性と確認されるまではできるだけ外出を控えてもらうとしています。

<14:40ごろ>避難民が空港のターミナルビルに

ウクライナから避難してきた人たちは午後2時40分ごろ、空港のターミナルビルに姿を見せました。幼い子どもの手を引いた母親とみられる人の姿や、大きな荷物をいくつも抱えた夫婦とみられる男女の姿もみられました。また報道陣のカメラに向かっておじぎをする人もいました。

<14:10すぎ>バスで移動開始

ウクライナから避難してきた人たちを乗せたと見られるバスが午後2時10分すぎ、羽田空港の第2ターミナルから第3ターミナルへと移動を開始しました。空港内の施設で上陸審査や税関の検査など入国のための手続きが行われる見通しです。手続きは一般の入国者とは別に行われ、終わり次第受け入れ先の人と面会するなどしてそれぞれの滞在先へと移動するということです。

<14:00すぎ>避難民 政府専用機から降り始める

ウクライナから避難してきた人たちは午後2時すぎ、政府専用機から降り始めました。羽田空港に到着したあと新型コロナウイルスに感染していないか調べる検査をして機内で待機していました。

<11:50すぎ>厚労省の検疫官が機内へ コロナ感染の有無を検査

ウクライナから避難してきた人たちを乗せた政府専用機に午前11時50分すぎ、厚生労働省の検疫官が乗り込みました。新型コロナウイルスに感染していないか検査するため機内で検体を採取したということです。検査結果は1時間程度で判明する見通しで、それまでは機内で待機してもらうということです。陽性になった場合は、厚生労働省が確保している待機施設に移って療養してもらうということです。

●全員の陰性確認
出入国在留管理庁によりますと、ウクライナから政府専用機で避難してきた20人は機内で受けた新型コロナウイルスの検査で全員陰性と確認されたと、厚生労働省から連絡があったということです。20人はバスで羽田空港内の施設に移動して入国の手続きを行うということです。

<11:35ごろ>避難民が羽田空港に到着

ウクライナからの避難民20人を乗せた政府専用機は午前11時半すぎ、日本に到着しました。今後避難民は検疫や入国手続きを経て、国内の滞在先に移動するなどし速やかに受け入れが進められることになります。政府は今回入国する20人も含め、国内で受け入れるすべての避難民に対し自治体や企業などとも連携しながらきめ細かな支援を行いたい考えです。

また関係者によりますと、ウクライナから避難してきた20人は女性が15人、男性が5人だということです。年齢は6歳から66歳だということです。

東京都 相談窓口を設置

東京都はウクライナから避難してきた人や支援する人などからの相談を受け付ける窓口を先月設けました。
4日までに371件の相談が寄せられ、相談は家族や知人が日本への入国を検討しているという人からが多いということですが、すでに日本に避難してきたウクライナ人やウクライナに住んでいた日本人からの相談も26件あったということです。

371件のうち最も多いのが▽住まいに関するもので166件、次いで▽生活に関するものが36件▽在留資格が35件▽教育が18件▽医療が15件▽就労が12件などとなっています。

具体的には▽都営住宅への入居の希望や▽生活費の支援、それに▽仕事探しの手助けを得たいとか▽日本語を習いたい▽子どもを学校に通わせたいといった相談が目立つということです。

相談窓口の電話番号は03‐6258‐1227で、受付は平日の午前10時から午後4時まで、日本語のほかウクライナ語とロシア語、英語などで対応しています。ウクライナ語については事前に予約が必要だということです。

また相談窓口を設けている「東京都つながり創生財団」のホームページの専用フォームでも相談を受け付けています。

民間企業でも支援の動き

民間企業の間でも支援の動きが広がっています。人材派遣会社の「アウトソーシング」は先月、避難してきた人たち100世帯の受け入れを表明しプロジェクトチームを立ち上げました。受け入れが本格化するのを前にウクライナ語の通訳1人と新たに契約し、避難してきた人の身の回りの世話や困りごとの相談にも応じることにしました。またウクライナ語と併記した日本語の簡単な会話集の作成も進めています。

この会社では日本で働く外国人の支援業務を行ってきたノウハウを生かし、日本語の教育や社員寮などの住宅の提供を行うことにしています。さらに住居が決まったあとは近くの商店などに社員が出向いて地域の人たちにも協力を求めるということです。

プロジェクトリーダーの笠井嘉明常務執行役員は「外国人が日本に住む場合、さまざまな問題が生じます。これまでの経験を生かし避難してくる人たちの立場に立って支援を行っていきたい」と話していました。

「極めて異例の対応だ」

国際NGO「難民を助ける会」の会長で人道支援に詳しい立教大学大学院の長有紀枝教授は「これまで日本政府は紛争から逃れる人を積極的に受け入れてこなかったので、政府専用機を使って移動手段を確保し生活支援まで検討するというのは極めて異例の対応だ」と指摘しています。

そのうえで「ロシアによる軍事侵攻は批判されるべきでウクライナから避難民を積極的に受け入れるのはよいことだが、アフガニスタンなど紛争によって人道的に困難な立場に置かれる人たちが出るケースはほかにもある。日本はこれをきっかけに紛争から逃れた人たちをできる範囲で積極的に受け入れていくべきで、人道的な観点から世界に貢献することは日本の国益にもかなうと思う」と話しています。

「避難民」と「難民」の違いとは?

ウクライナから日本に避難する人たちについて政府は人道上の配慮から「避難民」として日本での在留を認めていますが、この「避難民」ということばは国際条約に基づく「難民」とは異なり法律上の規定はありません。

国際条約に基づく「難民」は人種や宗教、政治的意見などを理由にその国にとどまれば迫害を受けるおそれがある人たちで、本人からの申請に基づいて法務大臣が認定します。

「難民」に認定されれば
▽定住が認められ永住許可の要件が緩和されるほか
▽年金や児童扶養手当、健康保険なども日本人と同じ条件で受けることができますが
他国からの軍事侵攻を理由に避難する人は日本では一般的に認定されません。

認定NPO法人・難民支援協会によりますと、おととしの各国の難民認定数と認定率は
▽ドイツが6万3000人余りで41.7%
▽カナダが1万9000人余りで55.2%
▽フランスが1万8000人余りで14.6%
などとなっています。
一方
▽日本は47人、0.5%で
難民を支援する団体などからは「日本は欧米と比べて認定の基準が厳しすぎる」といった批判があります。

出入国在留管理庁は難民認定が少ない理由について、申請の中に治安への不安や親族とのトラブルなど、国際条約上の『難民』に該当しないものが多いことなどを挙げています。

ウクライナから避難した人から難民申請があった場合の対応について政府は「申請内容を審査したうえで適切に認定する。難民と認められなかった場合でも人道上の配慮が必要と認められる者は在留を認めることになる」としています。

政府は生活費や医療費の支給のほか、必要に応じて子どもの教育などにかかる費用も負担する方向で検討を進めていますが、こうした対応は極めて異例です。

政治部・国際部デスク解説

Q1. 避難民受け入れの意義は?

国内にはこれまでにウクライナから避難した人は400人余りいますが、こうした人たちは日本に知人や親戚がいるなどして、自力で渡航費用を確保できた人たちです。今回避難してきた20人は自力での渡航が困難だったり、頼れる知人や親戚がいなかったりするなど、より厳しい状況にある人たちです。こうした人たちを閣僚みずから現地に行き、政府専用機に乗せて日本に来るという異例の形を取りました。これまで人道支援で貢献していくと言ってきた日本政府ですが、それをことばどおり「迅速に実行している」と国際社会に示そうとしたと言えます。

Q2. 避難した人たちに政府はどう対応する?

政府は今回入国する20人も含めすべての避難民に対し、その実情に応じてきめ細かに支援をしていく方針です。慣れない土地での暮らしなため経済面やことば、住まいなど、いろいろな分野で自治体や企業などと連携しながら支援を続けていくことにしています。

Q3. 国外避難の状況は?

UNHCR=国連難民高等弁務官事務所によりますと、ウクライナから国外に避難した人は3日の時点で421万人余りで、このうち
▽ポーランドにはおよそ245万人
▽ルーマニアがおよそ64万人
▽モルドバがおよそ39万人
などとなっています。
実に多くの人が国外避難を余儀なくされているわけで、UNHCRは先月「第2次世界大戦以降のヨーロッパで最も速いペースで増え続けている」と指摘しています。

Q4. 日本にはどのような支援が期待されている?

日本の支援への期待は高く、例えばポーランドでは避難してきた人の受け入れの主体は個人やボランティアが中心で、受け入れ側は資金的にも精神的にも限界を迎えつつあるという声が聞かれます。ポーランド外務省の報道官はNHKに対して「住まいや食料の確保に向けた支援や、人道活動への資金の供与を期待したい」と述べていました。

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