国際

ウクライナから避難民20人 羽田空港到着 外相帰国に合わせ避難

ウクライナからの避難民20人を乗せた政府専用機は、5日午前、日本に到着しました。
政府は、自治体や企業などとも連携しながら、避難してきた人たちをきめ細かく支援していく方針です。
ウクライナからの避難民への支援をめぐっては、林外務大臣が、岸田総理大臣の特使として今月2日からポーランドを訪れ、避難民の滞在施設の視察や政府要人との会談を行うなどして、日本での受け入れや支援に対するニーズを探りました。

その結果、日本への避難を希望しているものの、自力で渡航手段を確保することが困難な20人について、人道的な観点から、林大臣の帰国に合わせて政府専用機の予備機に乗せ、日本時間の4日夜、現地を出発しました。

そして、林大臣ら政府関係者が乗った政府専用機が、5日午前11時前に羽田空港に帰国したのに続いて、避難民を乗せた予備機も午前11時半すぎに到着しました。

今後、避難民は、検疫や入国手続きを経て、国内の滞在先に移動するなどし、速やかに受け入れが進められることになります。

政府は、今回入国する20人も含め、国内で受け入れるすべての避難民に対し、自治体や企業などとも連携しながら、きめ細かな支援を行いたい考えです。

松野官房長官「到着時の抗原定量検査は全員陰性」

松野官房長官は、午後の記者会見で「来日した避難民20人は6歳から66歳までで、男性が5人、女性が15人となっており、到着時の抗原定量検査の結果は全員が陰性だった。日本に親族や知人のいない方も含まれているがプライバシー上の問題があるため、それ以上の詳細は差し控えたい」と述べました。

そのうえで「今後、避難民の方々に対しては、入国後の各場面に応じてさまざまな支援策を実施していきたい。きのうまでに計679件の支援の申し出を受けていて、内訳は、民間企業から321件、地方公共団体から147件、NPOとNGOから17件だ」と述べました。

また、政府専用機を利用した避難民の受け入れの法的根拠を問われたのに対し「調整の結果、林外務大臣に同行する形で来日していただくことになったもので、外務大臣の政府専用機の使用は自衛隊法第100条の5の国賓等の輸送の規定に基づく」と説明しました。

そして、今後、紛争から逃れてきた人たちを積極的に受け入れる考えがあるか記者団から問われたのに対し「一国が他国の領土を侵略するという国際社会でまれに見る暴挙が行われているウクライナの危機的状況を踏まえた緊急措置として、避難される方々に安心できる避難生活の場を提供すべく、政府全体として取り組んでいる」と述べました。

そのうえで「現在のウクライナの方々への対応と、それ以外の方々への対応とを一概に比較して論じること自体が困難で、適当ではない。海外からわが国に避難してきた方々に対しては本国の情勢や個々の置かれた状況などにも配慮しながら、政府全体として適時適切に対応していく」と述べました。

金子総務相「関係省庁と協力し的確に対応」

金子総務大臣は、閣議のあと記者団に対し「総務省としては、出入国在留管理庁と連携し、一元窓口の設置など政府の取り組みを周知しているほか、自治体からの問い合わせや相談を聞き取り、情報提供を行っている。今後も関係省庁と協力し、的確に対応していきたい」と述べました。

就労やことばの壁に不安の避難者も

ウクライナから避難してきた人たちの中には、日本での生活の長期化を見据え、就労やことばの壁に不安を感じている人もいます。

先月10日、夫と孫と一緒に日本に入国したリボフ・ヴィルリッチさん(59)は、埼玉県にある娘のユリアさんと日本人の夫の自宅で避難生活を送っています。

入国からおよそ1か月がたち、気持ちは徐々に落ち着いてきましたが、ウクライナ語しか話せないため、買い物や通院などで外出する際に、ことばの壁を感じる機会も増えているということです。

また、避難生活の長期化を見据え、娘夫妻に負担をかけないためにも日本で仕事を探す必要があると考えています。

ヴィルリッチさんは「日本に来て安心感をすごく感じていますが、ことばが通じないので買い物や病院に行く時には不安があり、翻訳機や日本語を学ぶ場が必要だと感じています。また、避難して来る人は最低限の生活費がかかるのでことばが分からなくてもできる簡単な仕事でもあったらすごく助かると思います」と話していました。

避難民を受け入れる家族にとっては子どもの心のケアも心配の1つです。

ヴィルリッチさんと一緒に避難してきた孫のブラッド・ブラウンさん(12)は、ウクライナで通っていた学校の授業にオンラインで参加していますが、友人たちと直接、触れ合う機会はありません。

ユリアさんは「おいは日本語が話せないので同年代の子たちとも遊べません。この生活が長期化すれば精神的にもダメージがあると思うのでメンタルのサポートも必要になると思います。早く戦争が終わっておいが友達と過ごせるふだんの生活に戻ってほしいです」と話していました。

日本への家族呼び寄せ断念した人も

日本で暮らすウクライナ人の中には、自治体などに問い合わせても具体的に、どのような支援を受けられるか分からず、家族を呼び寄せることを断念したという人もいます。

システムエンジニアで埼玉県に住むロマンさんは、ロシア軍の激しい攻撃を受けているウクライナ第2の都市、ハルキウ出身で両親や妹が住む家もそれそれ攻撃を受けたといいます。

両親は今もハルキウにとどまっていますが、妹のビクトーリヤさんは9歳と11歳の2人の子どもとともにいったんブルガリアに避難したということです。

ロマンさんは、先月2日に政府がウクライナから避難民を受け入れる方針を明らかにしたあとの先月上旬、妹たちを日本に呼び寄せようと考え、地元の自治体などの行政機関や支援を表明した企業にどのようなサポートを受けられるか電話などで問い合わせました。

しかし、いずれも「具体的には何も決まっていない」という回答で、どのような教育や医療が受けられるのか、先が見通せないため、妹たちを日本に避難させることを断念したといいます。

妹一家はその後、ロマンさんが知人を通じて見つけたドイツのホストファミリーのもとに身を寄せ、子どもたちはすでに学校にも通っているということです。

ロマンさんは「私以外のウクライナ人たちも日本では、どこに問い合わせればどのような支援が受けられるか情報が一か所にまとまっていないと話していました。家族で海外に住んでいるのは私だけで、妹たちの力になりたかったので、何もできなくて残念です」と話しています。

そのうえで、「ドイツではすぐに学校に入ることができ、今月の一時支援金も先月末には振り込まれました。避難民を受け入れる日本の対応は改善されているとは思いますが実績があるドイツと比べるとまだまだ遅いと思います」と述べました。

妹のビクトーリヤさんは「ドイツでは半年間の滞在許可のあと2年間、ビザを延長できます。戦争はいつ終わるか分からず、日本で生活した場合、どのような選択肢があるか分かりませんでした。ドイツでの生活は気に入っていますが、兄の所に行けなくて悲しかったです。兄と一緒に暮らしたかったです」と話しています。

出入国在留管理庁は現在、ウクライナから避難してきた人たちを対象にした相談ダイヤルを設けるとともに通訳を募集するなどしていて、さらに対応を充実させたいとしています。

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