拉致被害者 蓮池薫さん「日朝会談へ具体案検討を」

北朝鮮による拉致被害者の蓮池薫さんがNHKのインタビューに応じ、ウクライナ情勢を受けて、北朝鮮の後ろ盾となっているロシアの立場に変化が起きれば、拉致問題にも影響が及ぶ可能性があると指摘しました。
そのうえで、政府は日朝首脳会談の実現に向けて努力するとともに、被害者の帰国と引き換えに北朝鮮に何を示すのか、具体的な検討を急ぐべきだと訴えました。

蓮池薫さんは昭和53年に北朝鮮に拉致され、20年前の平成14年10月、ほかの4人の被害者とともに帰国を果たしました。

3月末、インタビューに応じた蓮池さんは北朝鮮がことしに入ってミサイルの発射を繰り返していることについて、「核保有国として、アメリカと対等な立場で軍縮交渉を行うのが北朝鮮の最終目的で、そのための過程を歩んでいる」としたうえで、「5年前にICBM=大陸間弾道ミサイル級のミサイルを発射した時とは違い、国連の安全保障理事会で制裁は実現しなかった。北朝鮮にとっては劇的な変化で、ウクライナ情勢の間隙(かんげき)を縫う形で1段階、ステップアップしている」と指摘しました。

また、蓮池さんはロシアによるウクライナ侵攻の影響について、「大きな影響を与えるとは今の段階では思えない。ただロシアは北朝鮮の後ろ盾となっており、ロシアの国際的な地位が大きく低下し、仮に政権が変わるようなことにでもなれば北朝鮮は孤立する。世界は大きく動いており、北朝鮮の立場が変われば拉致問題を進める雰囲気が出てくる可能性はある」と話しました。

そして政府に対し日朝首脳会談の実現に向けた努力を求めたうえで、「『条件をつけずに会う』というだけでは、北朝鮮が首脳会談に応じる可能性は無いに等しい。被害者を返す代わりに日本は何をするのか、具体的な案をつくって北朝鮮や国際社会、そして被害者家族に示す必要がある」と話し、検討を急ぐよう求めました。

拉致問題をめぐっては去年12月、田口八重子さんの兄で拉致被害者の家族会代表を長年務めた飯塚繁雄さんが死亡するなど、被害者との再会を果たせないまま家族が相次いで亡くなっています。

蓮池さんは、「私たちが帰国してから10月で20年となるが、この間、残された被害者の帰国が実現していないことを政府は深刻に受け止めるべきだ。家族が再会できてこその拉致問題の解決であり、そのためのロードマップや戦略、期限を決めてほしいという家族会の要望に、政府は応えてほしい」と話していました。