【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(2日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交などウクライナ情勢をめぐる2日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

※NHKは首都キエフなど、一部にロシア語に由来する地名を使ってきましたが、原則としてウクライナ語に沿った呼称に改めました。「キエフ」は「キーウ」、第2の都市「ハリコフ」は「ハルキウ」などとなります。一方、ウクライナ語に由来する「マリウポリ」などの呼称は変わりません。

イギリス国防省「首都近郊でウクライナ軍が優勢」

イギリス国防省は2日、ウクライナの戦況分析を公表し「首都キーウの近郊では、ウクライナ軍が撤退するロシア軍への攻撃を続けている。ウクライナ軍は、キーウ北西のイルピンから、さらに北のブチャやホストメリに向けて前進を試みている」と指摘しました。

そして、侵攻初日の2月24日、ロシア軍の空てい部隊が襲撃し一時占拠していたホストメリのアントノフ空港から「ロシア軍が撤退したとみられる」としています。

ウクライナ軍はキーウの東で複数の村を奪還したということで、首都近郊の戦闘の主導権を握っていることが分かります。

一方、東部にある第2の都市ハルキウについては「激しい戦闘の末、ウクライナ軍は、ハルキウの東側にある主要なルートを守りきった」と指摘しました。

ウクライナから国外に避難 413万人余(4月1日時点)

UNHCR=国連難民高等弁務官事務所のまとめによりますと、ロシア軍の侵攻を受けてウクライナから国外に避難した人の数は、1日の時点で413万人余りとなっています。

主な避難先は、
▽ポーランドがおよそ240万人、
▽ルーマニアがおよそ62万人、
▽モルドバがおよそ39万人、
▽ハンガリーがおよそ37万人などとなっています。

また、ロシアに避難した人は、3月29日の時点でおよそ35万人となっています。

イギリス国防省「ロシア軍の補給に影響」と分析

ウクライナとの国境に近い、ロシア西部の都市ベルゴロドの石油貯蔵施設で1日、火災が起きたことについて、イギリス国防省は「火災によって貯蔵施設の複数の石油タンクが破壊された」と被害の状況を明らかにしました。

さらに3月30日には、ベルゴロド近郊にあるロシア軍の弾薬庫で爆発が確認されたとしたうえで「こうした施設からの燃料や弾薬の供給が不足し、ロシアの供給網がさらにひっ迫するとみられる」と指摘しました。

そのうえで、ウクライナ東部のハルキウなどに侵攻したロシア軍部隊の補給に影響を及ぼす可能性があると分析しています。

ベルゴロドの石油貯蔵施設の火災について、ウクライナのゼレンスキー大統領は1日、アメリカのテレビ局FOXニュースのインタビューで、ウクライナ軍の関与について問われたところ、「軍の最高司令官として下した命令について話すことはない」とこたえ、肯定も否定もしませんでした。

マリウポリ住民ら乗せたバス ザポリージャに到着

ロシア軍が1か月にわたって包囲し、水や電気の供給が止まるなど人道危機が深刻化する東部の要衝マリウポリでは、戦闘の合間を縫って取り残された住民を避難させる活動が続いています。
AP通信によりますと、ウクライナ南東部のザポリージャに1日夜、マリウポリなどの住民を乗せたバス少なくとも25台が到着したということです。

現地からの映像では、赤十字のマークがついたバスが次々と到着し、車内には多くの住民の姿が確認できます。

また、担架に乗せられバスから降ろされるお年寄りの姿もみられます。

マリウポリから避難したという女性は「どうして一般市民がこんな目に遭わなければならないのか。私たちの生活は壊され、すべてを失った。離れて暮らしていた息子は行方不明で、彼の身に何が起こったのかわからない」と話していました。

米 ウクライナに戦車供与 米紙報道

アメリカの有力紙、ニューヨーク・タイムズは1日、アメリカ政府関係者の話としてバイデン政権が、ウクライナへの戦車の供与を支援すると報じました。

供与の対象となるのはウクライナ軍が扱いに慣れている旧ソビエト製の戦車で、ロシアが軍事作戦の重点を移すとしているウクライナ東部で、長距離の砲撃が可能になりウクライナ軍の防衛力の強化につながるとしています。

戦車の供与は近く始まるということですが、どの国から何両送られるのかについては明らかにされていないということです。

戦車の供与をめぐっては、ウクライナのゼレンスキー大統領が要請していたものの、西側諸国はロシア側との緊張を高めるおそれがあるなどとして攻撃力の高い兵器の供与には慎重な姿勢を示しています。

このため、実際に戦車が供与されれば初めてのケースとなり、軍事支援がいっそう強化されることになります。

ウクライナ国内の宗教施設・歴史的建造物に被害 ユネスコ

ユネスコは1日、ロシアによる軍事侵攻でウクライナ国内にある少なくとも53の教会や歴史的建造物などが被害を受けたことを明らかにしました。

内訳は、宗教施設が29、歴史的建造物が16、博物館が4、記念碑が4となっていて、特にロシアの激しい攻撃を受けている第2の都市ハルキウでの被害が顕著だということです。

一方、首都キーウにある聖ソフィア大聖堂など、ユネスコの世界遺産に登録されている施設などでは今のところ被害は確認されていないということです。

米国防総省 ウクライナに追加軍事支援

アメリカ国防総省は1日、ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナに対して3億ドル、日本円にしておよそ360億円の追加の軍事支援を行うと発表しました。

今回の軍事支援には、レーザー誘導ロケットシステムや爆弾を搭載して戦車や装甲車などに自爆攻撃をする無人機、それに暗視装置や弾薬などが含まれるということです。

アメリカはウクライナの自衛能力を強化するため軍事支援を続けていて、バイデン政権発足以降、合わせて23億ドル以上、日本円にして2800億円以上の支援を行ったとしています。

ゼレンスキー大統領「6266人を避難させることに成功」

ウクライナのゼレンスキー大統領は日本時間の2日午前、国民向けに新たな動画を公開し、「ウクライナ東部のマリウポリの住民3071人を含む、6266人を避難させることに成功した」と明らかにしました。

そのうえで、「負傷した兵士を含む国民の避難については、仲介役となっているトルコと協議している」と述べ、近く詳細を明らかにする考えを示しました。

また、戦況については、「ウクライナ北部ではロシア軍がゆっくりと、しかし目に見えて撤退している」とした一方で、「東部では非常に困難な状況が続いている。ロシア軍はドンバスやハルキウで軍備を増強していて、新たな攻撃に向けて準備している」と述べ、ロシア軍による激しい攻撃が迫っているとして懸念を示すとともに、徹底抗戦を続ける姿勢を強調しました。

米 ロシア・ベラルーシの航空宇宙関連企業を輸出規制対象に

アメリカのバイデン政権は1日、ロシアとベラルーシの防衛や航空宇宙産業に関連する120の企業や研究所を輸出規制の対象に追加したと発表しました。

いずれも、ウクライナへの侵攻に使われる軍事品などを支援しているためだとしています。

これで、アメリカによる一連の輸出規制の対象となった団体は合わせて260に上っています。

レモンド商務長官は声明で「ロシアの孤立化をさらに進める」と強調しました。

国連 “事務次長がロシアとウクライナの首都を訪問へ”

国連のグテーレス事務総長は1日、ニューヨークの国連本部で記者団に対し、ウクライナでの人道的な停戦の実現に向けて人道問題を担当するグリフィス事務次長が3日からロシアの首都モスクワを訪問する予定だと明らかにしました。

グリフィス事務次長はその後、ウクライナの首都キーウ、ロシア語でキエフも訪問するということです。

グテーレス事務総長は4日前の会見で、ウクライナでの人道的な停戦の合意に向けて可能性を探るようグリフィス事務次長に指示したと発表していて、その後ロシアとウクライナの双方が事務次長の訪問を了承したとしています。

一方、グリフィス事務次長が訪問中に誰と会談するのかなど詳しいことは明らかにしませんでした。

マリウポリで撮影された映像では甚大な被害の様子

ロシア軍が掌握を目指して攻勢を強めているウクライナ東部のマリウポリで4月1日に撮影された映像では、多くの建物が焼け焦げたり崩れ落ちたりして、甚大な被害が出ている様子がわかります。

映像では、疲れた表情でたたずむ子どもや通りを歩く人の姿のほか、車や戦車が走っている様子が確認できます。

路上には、がれきが散乱し、ウクライナ軍と親ロシア派の武装勢力との戦闘について停戦監視にあたっていたOSCE=ヨーロッパ安全保障協力機構のロゴが入った車両が放置されている様子も確認できます。

また、銀行の建物は壁に大きな穴が開き建物内にあるATMが壊れていました。

さらに、孤児院では室内に子ども用の自転車や靴、衣服などが散らばっていました。

ウクライナ大統領 仏大統領にロシアへ停戦働きかけを要請

ウクライナのゼレンスキー大統領は1日、フランスのマクロン大統領と電話会談しました。

フランス大統領府によりますと、ゼレンスキー大統領は、ロシア軍が攻勢を強めるマリウポリでの人道支援活動や市民の避難を可能にするため一時的な停戦をロシア側へ働きかけるよう要請したということです。

これに対して、マクロン大統領はマリウポリの人たちが望むところへ避難し、十分な人道支援が届くために必要な停戦を実現できるよう努力を続けると応じたということです。

トルコ大統領 みずからの仲介による首脳会談開催に意欲

トルコ大統領府によりますと、エルドアン大統領は4月1日、ロシアのプーチン大統領と電話会談を行いました。

この中でエルドアン大統領は、3月29日にイスタンブールで行われたロシアとウクライナの停戦交渉について「会議は肯定的で建設的に行われ、和平への希望を芽吹かせた」と評価したということです。

そして「双方が冷静に行動し、対話を続けることが大切だ」と述べたうえで、みずからの仲介によって、プーチン大統領とウクライナのゼレンスキー大統領との首脳会談を開くことに重ねて意欲を示しました。

また、ロシア大統領府によりますと、プーチン大統領も仲介役を務めるエルドアン大統領に謝意を示したうえで、停戦交渉の状況を伝えたとしています。

医療支援へ JICAが隣国モルドバの病院視察

多くのウクライナの人たちが避難している隣国のモルドバで、医療分野で必要とされる支援を検討するため、JICA=国際協力機構の調査団が首都キシニョフの「国立共和国病院」を訪れ手術室や入院病棟を視察しました。

病院の担当者は人工透析の装置が老朽化していることや人工呼吸器の修理が必要となっていることなどを説明していました。

JICAは以前、この病院に医療機器を提供したり人材育成を支援したりしたことから、今後も機器のメンテナンスや人材の派遣など必要な支援を検討することにしています。

ウクライナの公共放送 現況を国内外に英語で発信

ウクライナの公共放送は動画投稿サイト、ユーチューブで現地の状況を連日、国内外に英語で発信しています。

4月1日に公開された放送では、第2の都市、ハルキウ近郊の高速道路で、近くの集落から避難していた市民が乗る20台以上の車がロシア軍の砲撃を受け、複数の市民が死亡したと伝えています。

現場を撮影した写真では、ボンネットが壊れドアが開いたままになっている車や焼けて骨組みだけになっている車が道路上に残されていることが確認できます。

また、北東部のスムイ州では、ロシア軍が占拠する地域で市民の連れ去りや略奪行為が相次いでいると伝えています。

映像では、攻撃を受けてがれきの山となった建物や室内が荒らされた住宅などが映し出され、市民によりますと野菜などの食料のほか家具さえも奪われているということです。

IAEA事務局長 支援を本格化させる考え

今週、ウクライナ国内の原子力発電所の安全に向けた支援を行うため現地を訪れていたIAEA=国際原子力機関のグロッシ事務局長は、4月1日、本部があるオーストリアのウィーンで記者会見を開き「戦闘が続く前例のない状況のなかで原発が稼働している」と、現状に懸念を示し、来週から支援を本格化させる考えを明らかにしました。

また、グロッシ事務局長は、ロシア軍が一時占拠し、IAEAが繰り返し懸念を示していた北部のチョルノービリ原発、ロシア語でチェルノブイリ原発についても触れ、周辺の放射線のレベルは通常どおりだと説明しました。

IAEAは来週からウクライナへの支援を本格化させるということで、原発の安全に必要な物資の輸送や専門家の派遣を検討しているということです。

国連 “ウクライナで3月31日までに1276人の市民が死亡”

国連人権高等弁務官事務所は、ロシアによる軍事侵攻が始まったことし2月24日から3月31日までに、ウクライナで少なくとも1276人の市民が死亡したと発表しました。

このうち115人は子どもだということです。

死亡した人のうち、425人は東部のドネツク州とルハンシク州で、851人はキーウ州や東部のハリキウ州、北部のチェルニヒウ州、南部のヘルソン州などで確認されています。

また、けがをした人は1981人に上るということです。

多くの人たちは砲撃やミサイル、空爆などによって命を落としたり負傷したりしたということです。

今回の発表には、ロシア軍の激しい攻撃を受けている東部マリウポリなどで確認が取れていない犠牲者の数は含まれておらず、国連人権高等弁務官事務所は実際の数はこれよりはるかに多いとしています。

台湾 ウクライナ支援の寄付金 1か月間で約40億円集まる

台湾外交部はウクライナの人たちを支援するため、4月1日までの1か月間に専用の口座で受け付けた寄付金が9億3400万台湾元、日本円にしておよそ40億円が集まったと発表しました。

外交部は、迅速な支援を行うためとして、このうち一部をウクライナから避難した人を最も多く受け入れているポーランドを中心にすでに送っています。

また、3月18日までに毛布や医薬品など650トンの支援物資も外交部に寄せられ、スロバキアとポーランドを通じてウクライナに届けられるということです。

ウクライナから国外に避難 410万人超(3月31日時点)

UNHCR=国連難民高等弁務官事務所のまとめによりますと、ロシア軍の侵攻を受けてウクライナから国外に避難した人の数は、3月31日の時点で410万人を超えています。

主な避難先は
▽ポーランドがおよそ238万人
▽ルーマニアがおよそ62万人
▽モルドバがおよそ39万人
▽ハンガリーがおよそ37万人などとなっています。

また、ロシアに避難した人は、3月29日の時点でおよそ35万人となっています。