アメリカ 石油備蓄放出 再実施を発表 一日100万バレルを半年間

アメリカのバイデン政権は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻をきっかけに記録的な高値になっているガソリン価格を抑えるため、過去最大の規模で追加の石油備蓄の放出を実施すると発表しました。日本などとも協調して進めたい考えで、4月1日に開かれるIEA=国際エネルギー機関の会合で、各国と協議することにしています。

アメリカのバイデン政権は3月31日、記録的な高値になっているガソリン価格を抑える対策を発表し、その柱として石油備蓄の放出を再び実施することを明らかにしました。

具体的には、一日当たり100万バレルの放出を、5月以降、半年間続けるとしていて、規模は過去最大となります。

ロシアによる軍事侵攻のあとの3月1日、アメリカは日本やヨーロッパ各国などのエネルギー消費国でつくるIEA=国際エネルギー機関の加盟国とともに石油備蓄を放出することを決めたばかりですが、今回の追加措置も協調して進めたい考えで、4月1日に開かれるIEAの会合で各国と協議することにしています。

ただ、国際的な指標となるニューヨーク原油市場のWTIの先物価格は、3月、一時、13年8か月ぶりの水準まで値上がりし、その後も高値が続いています。

さらにサウジアラビアなど主な産油国は同じ31日、5月の追加の増産を見送ることを決めていて、アメリカが主導する今回の措置が価格の抑制にどれくらいの効果があるかは不透明です。

バイデン大統領「同盟国や友好国と調整」

バイデン大統領は3月31日、記者会見で、追加の石油備蓄の放出について「全米のガソリンの小売価格は、プーチンの戦争のせいで、3か月たらずで1ガロン当たり1ドル近く上昇した。今回の措置は史上最大の国家備蓄の放出となる」と述べ、国民生活の負担となっているガソリン価格の抑制に力を入れる姿勢を強調しました。

そのうえで「今回の追加の放出は同盟国や友好国と調整していて、すでにいくつかの国が約束してくれた」と述べ、前回と同様に各国と協調して進めていく方針を示しました。

バイデン大統領はロシアに対して原油の輸入禁止など厳しい経済制裁を相次いで打ち出していますが、国内への跳ね返りの影響でインフレが加速し、支持率も依然低迷していて、今回の行動の背景には、こうした事態の打開につなげたい考えもあるとみられます。

岸田首相 価格の推移注視し対策講じる方針

原油価格の高騰をめぐり、岸田総理大臣は、自民党の麻生副総裁や茂木幹事長らと会談し、アメリカが過去最大規模の石油備蓄の放出を発表したことも踏まえ、今後の価格の推移を注視しながら対策を講じていく方針を確認しました。

岸田総理大臣は、1日午後、東京都内で、自民党の麻生副総裁や茂木幹事長と食事をとりながら、およそ1時間会談し、松野官房長官も同席しました。

会談では、アメリカのバイデン政権が、ガソリン価格を抑えるため、過去最大の規模で追加の石油備蓄の放出を実施すると発表したことを踏まえ今後の価格の推移を注視しながら対策を講じていく方針を確認しました。

松野官房長官「国際的な動向見極め 適切に対応」

松野官房長官は閣議のあとの記者会見で「アメリカと歩調を合わせて対応するのか」と問われ「アメリカやIEA=国際エネルギー機関とは日頃から緊密に連携しており、国際的な動向を見極めつつ、適切に対応していきたい」と述べました。