ウクライナ 東部ルハンシク州知事「遺体の収容さえできない」

ロシア軍が軍事作戦の重点地域として攻勢を強めている、ウクライナ東部のルハンシク州の知事が、NHKのインタビューに応じ「激しい戦闘が続き、遺体を収容することさえできない」と現地の切迫した状況を訴えました。

ロシア国防省は、軍事作戦の重点をウクライナ東部に置く方針を新たに示し、3月31日には、東部にあるウクライナ軍の複数の燃料基地を巡航ミサイルで破壊したほか、東部で掌握する地域を拡大したと発表しています。

こうした中、東部、ルハンシク州のセルゲイ・ガイダイ知事が、3月31日、NHKのオンラインインタビューに応じました。

ガイダイ知事は「砲弾が民家や幼稚園などを直撃し、戦闘が行われている場所では遺体を収容することさえできない。きのう(30日)は民家が砲撃され、住んでいた家族のうち少なくとも7人が砲弾の破片で死亡した。1歳と7歳、それに8歳の子どもが含まれていた」と述べ、市民を巻き添えにする無差別攻撃が続いていると訴えました。

また、ロシア側が支配している地域では、住民が強制的に戦闘に参加させられているとしたうえで「住民は、ウクライナ軍との戦いに参加するか、殺されるかという無理な選択を迫られる。そして訓練を受けたこともない人々が戦場に放り込まれ、数十人単位で死んでいく。前進させられ、大砲の餌食となって死んでいるのだ」と述べ、悲惨な人道状況を訴えました。

ガイダイ知事は、戦闘を続けるうえでの最も深刻な課題のひとつとして、外国政府が支援のため送ったはずの武器や防弾チョッキが、東部には届いていないと指摘しました。

知事は「ルハンシクはウクライナの最も東に位置している。すべての支援の装備は西のポーランド国境から入り、首都のキーウのほか、北部のスムイなど激戦地で配られるため、われわれには届かない」と支援品が届かない実態を明らかにしました。

そして「防弾チョッキや武器が手に入れば、戦闘に参加できる人が増える。われわれは、戦うための道具を本当に必要としている」と支援国に訴えました。

ガイダイ知事は「ロシアは攻撃的で、うそつきで、世界の敵だ。そして帝国主義的な侵略計画を持っている」と非難し、ウクライナ侵攻のあとには、ポーランドやバルト3国がロシアの標的にされる可能性があると指摘しました。

そのうえで「今こそ、世界の国々が連帯して、この新たな疫病とも呼べる国を止めなくてはならない」と述べ、対ロシア包囲網の強化を呼びかけました。