ウクライナ ロシア軍がマリウポリ掌握に向け攻勢強める

ウクライナへの侵攻を続けるロシア軍は、軍事作戦の重点をウクライナ東部に移すとしていて、要衝マリウポリの掌握に向け攻勢を強めています。また、作戦を大幅に縮小するとした首都キーウ周辺でも軍事的な圧力を維持しているもようで、依然として緊張が続いています。

ロシア国防省は3月31日、ウクライナ東部にあるウクライナ軍の複数の燃料基地を巡航ミサイルで破壊したと発表するなど、軍事作戦の重点を移すとした東部での攻勢を強めています。

NHKのインタビューに応じた東部ルハンシク州のガイダイ知事は「砲弾が民家や幼稚園などを直撃し、戦闘が行われている場所では遺体を収容することさえできない」と述べ、ロシア軍が市民を巻き添えにする無差別攻撃を続けていると非難しました。

また、ロシア軍が包囲を続けている東部の要衝マリウポリについて、ゼレンスキー大統領は31日、ベルギーの議会で行ったオンライン形式の演説で「ロシア軍は街への入り口をすべて閉じている。食料も水も医療品もない。生命を維持するためのものは何もない」と述べて、深刻な人道危機が続いていると訴えました。

一方、親ロシア派の武装勢力の指導者、プシリン氏は、マリウポリに「地方行政機関を設立する」と主張するなど、支配地域への影響力を広げ、市内の完全掌握に向け攻勢を強めています。

また、ロシア側が軍事作戦を大幅に縮小するとしている首都キーウ、ロシア語でキエフ周辺について、NATO=北大西洋条約機構のストルテンベルグ事務総長は31日の会見で「ロシアの部隊は撤収ではなく再配置されている。キーウなどへの圧力は続いており、今後さらなる攻撃が予想される」と述べ、警戒を怠るべきではないという考えを示し、依然として緊張が続いています。

一方、ロシアとウクライナの停戦交渉について、トルコのチャウシュオール外相は31日「トルコが仲介役となり、1、2週間のうちにロシアとウクライナの外相会談を行う可能性がある」と述べました。

ウクライナ側が停戦交渉で提案した、NATOへの加盟を断念する代わりとなる新たな安全保障の枠組みなどに対する、ロシア側の対応が焦点となっていて、双方は4月1日にオンライン形式で協議を続ける見通しです。

ただ、ロシア外務省の高官は「ウクライナ側との外相会談は可能だが、しっかり準備され、実質的なものでなければならない」と述べていて、事態の打開に向けた交渉の進展につながるかは見通せない状況です。